【傷ついた心に帰る場所はない】18話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • メアリーの告発を受け、母親のカレンは、自分たちがベラの子供時代を奪い、親としての責任を果たしてこなかったことを、夫ジョナサンに告白し、後悔の念に苛まれました。
  • 追い詰められたパールは、最後の手段として「自分を愛しているなら、メイドではなく自分を信じるべきだ」と、愛を盾に家族を脅迫します。
  • しかし、その言葉はもはやドミニクには通じず、彼は「ベラには正義が必要だ」と宣言しました。
  • 物語は、ドミニクが、自らの手で真相を突き止めるため、街で一番腕の立つ私立探偵に、ベラに関する徹底的な調査を依頼する場面で終わりました。

【傷ついた心に帰る場所はない】第18話をネタバレありでわかりやすく解説する

真実の報告書

物語は、ドミニクが依頼した私立探偵からの調査報告書が、まるで死刑宣告書のように届けられる場面から始まります。

自らの嘘と罪が、白日の下に晒されることを悟ったパールは、「やめなさい!」と絶叫しながら、ドミニクの手からその真実の塊を奪い取ろうとします。しかし、時すでに遅し。ドミニクは、その報告書の、あまりにも衝撃的で、あまりにもおぞましい内容に、すでに目を通してしまっていました。

彼の顔は、血の気を失い、これまでパールに向けてきた盲目的な愛情など微塵も感じさせない、冷たい怒りと、自分自身への深い嫌悪に満ちています。

「君は…病気ですらなかったんだな。ベラに輸血を続けさせるためだけに、何年もの間、医療記録を偽造し続けてきた…」

その言葉は、もはや問いかけではありません。動かぬ証拠を前にした、冷徹な事実の通告でした。そして、彼は、これまで自分が、この悪魔の芝居に加担してきた罪の重さに打ちひしがれながら、吐き捨てるように言います。

「君はベラを、まるで“歩く輸血バンク”のように扱ってきた…。正気じゃない!」

炎の中の殺人計画

その地獄の報告書は、続いて、震えるヘンリーの手に渡ります。そして彼は、そこに記された、さらなるおぞましい真実を、その目で直接目の当たりにすることになりました。

「…そういうことだったのか。ベラに金がなかったのは、お前のせいだったんだな!」

報告書には、パールが家の会計士に指示を出し、ベラに渡されるはずだった生活費の全てを、自らの口座に、長年にわたって振り込ませていたという、陰湿な経済的虐待の事実が、克明に記されていました。

しかし、そんな金銭的な搾取など、これから明らかになる、彼女の本当の罪の重さに比べれば、あまりにも些細なことに過ぎませんでした。ヘンリーの指が、報告書のある項目で、恐怖に凍りつきます。

「それに、三年前のあの火事だ!…あれを起こしたのはお前だったのか!ベラを殺すためだけに、お前が、あの火事を!」

三年前、ヘンリー自身が死にかけ、そしてベラによって命を救われた、あの山火事。それは、決して自然災害などではなかった。パールが、邪魔な妹であるベラを、完全に、そして秘密裏に殺害するために、周到に計画し、実行した、最初の殺人未遂だったのです。

ヘンリーの脳裏で、これまでの全てのピースが、おぞましい、血塗られた絵画として、一つに繋がります。

「もちろん、彼女は逃げ延びた。そして、俺を救った。お前は、その手柄さえも、何の恥も感じずに、自分のものとして横取りしたんだな」

「化け物」の正体

その信じがたい事実に、母親もまた、過去の忌まわしい記憶を呼び覚まされ、愕然とします。「あの火事…。ベラは死にかけたというのに、私は…あの子が火事を起こしたのだと、あれほど責め立てて…」。父親もまた、これまで溺愛し、全てを捧げてきた娘の、本当の姿を悟り、「この…恩知らずが…」と、力なく、そして侮蔑的に呟くことしかできません。

ヘンリーは、もはや何の愛情も、何の同情も浮かんでいない、冷え切った瞳で、これまで「天使」だと信じ、崇拝してきた姉を見つめます。そして、彼が下した最終的な、そして完全な評価は、あまりにも的確で、そしてあまりにも悲しい、決別の言葉でした。

「お前は、化け物だ」

その言葉は、彼が、パールという美しくも邪悪な偶像と、そして、その偶像を盲目的に信じ込んできた、愚かな自分自身と、完全に決別した瞬間を、何よりもはっきりと物語っていました。

最後の肯定

全ての嘘が暴かれ、全ての罪が白日の下に晒される。父は、最後の確認として、震える声で、この物語の最も核心的な、そして最もおぞましい問いを、パールに投げかけます。「パール…君は、自分の妹を…この手で殺そうとしたのか?」。

これまでの彼女であれば、その美しい瞳に涙を溜め、か弱い声で嘘を重ね、巧みな言葉でその場を切り抜けてきたことでしょう。しかし、もはや、その必要はありませんでした。彼女は、ゆっくりと顔を上げると、初めて、その生まれ持った本性を、何のてらいもなく、何の飾り気もなく、絶望する家族の前に、完全に晒します。

「ええ、そうよ」

その短い、あまりにも短い肯定の言葉には、反省も、後悔も、罪悪感も、人間的な感情が、一切含まれていませんでした。それは、長年被り続けてきた、重く、息苦しい仮面をようやく脱ぎ捨て、本当の自分を解放できたかのような、どこか晴れやかな、そして不気味な響きすら持っていました。ついに、怪物パールが、そのおぞましい本性を、完全に現した、戦慄の瞬間でした。

【傷ついた心に帰る場所はない】18話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回の第18話は、息をすることも忘れるほどの、怒涛の告発と、戦慄の告白の連続でした。私立探偵の報告書という、動かぬ証拠を提示する展開は、これまでの全ての嘘と、我々の甘い想像を、一気に、そして完膚なきまでに叩き潰す、見事な構成だったと思います。

パールの邪悪さについては、これまでも散々描かれてきましたが、三年前の山火事すらも、彼女がベラを殺すために仕組んだものだったという事実は、こちらの想像を遥かに超えていました。彼女のベラに対する憎悪と殺意が、いかに根深く、そして執拗なものであったか。その異常性に、改めて背筋が凍る思いでした。

そして、ヘンリーの「お前は、化け物だ」というセリフ。これは、非常に重く、そして悲しい一言でした。誰よりもパールを信じ、庇い、そのためにベラを虐げてきた彼が、自らの手で、その信仰を破壊する。彼の絶望と後悔の深さが、痛いほど伝わってきました。

最後の、パールの「ええ、そうよ」という、たった一言の告白。これは、悪役のセリフとして、ドラマ史に残るレベルのインパクトがあったのではないでしょうか。涙も、言い訳も、嘘も、もはや何もない。ただ、純粋な、生まれ持った悪意だけが、そこにある。彼女は、自分が追い詰められたことに憤慨はしても、自らが犯した罪については、おそらく微塵も悪いと思っていないのでしょう。そのサイコパス的な本性が、たった一言で、完璧に表現されていました。全ての真実が出揃った今、この地獄に取り残された家族は、一体どのような結末を迎えるのでしょうか。

【傷ついた心に帰る場所はない】18話のネタバレまとめ

  • ドミニクの元に私立探偵からの調査報告書が届き、パールが長年にわたって、病気と医療記録を偽造してきたという、決定的な証拠が突きつけられる。
  • さらに報告書を読んだヘンリーは、パールがベラの生活費を全て横取りしていたこと、そして三年前の火事が、ベラを殺害するための、パールによる計画的な放火だったという戦慄の事実を知る。
  • 命の恩人であるベラを殺そうとし、その手柄さえも恥じることなく横取りしたパールの本当の姿に、ヘンリーは「お前は化け物だ」と、完全な決別を告げる。
  • 全ての嘘を暴かれ、完全に追い詰められたパールは、ついに悪びれる様子もなく、たった一言、「ええ、そうよ」と、ベラを殺害しようとした事実を認める。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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