【傷ついた心に帰る場所はない】7話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- ドミニクはベラにスープを差し出すも、それはパールの好物であり、ベラはシーフードアレルギーだと告げ、彼の決定的な無関心を浮き彫りにします。
- ドミニクがベラに関心を向けたことに嫉妬したパールは、体調不良を装い、ベラとドミニクの交際を発表するためのパーティーを中止させました。
- ベラは表向きはそれを受け入れつつ、心の中では家族全員に最後の別れを告げます。
- 翌日が18歳の誕生日であり、ついに家を出て自由になることを固く決意したところで、物語は終わりました。
【傷ついた心に帰る場所はない】第7話をネタバレありでわかりやすく解説する
消された誕生日
物語は、ベラが自由への扉を開くはずだった、運命の日、18歳の誕生日当日から始まります。しかし、陽光が差し込むブラウン家の邸宅に、彼女を祝う温かな雰囲気など微塵もありませんでした。その中心で、天使のような微笑みを浮かべている主役は、姉のパール。
「パール、お誕生日おめでとう」「ああ、私たちの可愛いパール。特別なプレゼントをご用意したわ」。
両親からの、ほとんど信仰に近いような溺愛に満ちた言葉が飛び交う中、ベラはただ、その輝かしい輪の外で、まるで色のない影のように静かに佇むだけでした。「パールは私より1歳年上なだけで、誕生日は同じ日。なのに、みんなが祝うのは彼女だけ」。ベラのために開かれるはずだったささやかなパーティーは、パールの我儘ひとつで、まるで最初から存在しなかったかのように、いとも簡単に消し去られてしまったのです。
18歳という、人生の輝かしい門出であるべき特別な日が、彼女にとっては、自分がこの家でいかに価値のない、存在しない人間であるかを、改めて魂に刻みつけられるための、残酷な儀式と化していました。
二つの贈り物と、一瞬の希望
そのとき、喧騒をかき分けるようにして、恋人であるドミニクが、ブランド名の入った二つのプレゼントの袋を手にやってきます。それを見たパールは、世界の全てが自分のものだと信じて疑わない子供のように、無邪気に、そして強欲に目を輝かせました。「まあ、ドミニク!もしかして、二つとも私に?」。しかし、ドミニクはその言葉を穏やかに遮るように、一つの袋を手に取り、まっすぐにベラの元へと歩み寄ります。
「ベラ、お誕生日おめでとう」。
その静かな一言に、ベラの心に、ほんの僅かな、そしてあまりにも儚い希望の光が灯ります。「そうか、ドミニクだけは…。この地獄のような家で、たった一人、ドミニクだけは、今日が私の誕生日だって覚えていてくれたんだ」。誰からも忘れ去られた存在である自分が、たった一人でもいい、確かにここにいると認めてくれる人がいる。その事実が、厚い氷に閉ざされていた彼女の心を、ほんの少しだけ溶かした瞬間でした。
「おまけ」という名の侮辱
しかし、そのダイヤモンドの欠片のように儚い希望は、近くで様子を窺っていたヘンリーの放った、無慈悲で下品な一言によって、容赦なく粉々に打ち砕かれます。彼は、ベラが受け取ったプレゼントを、値踏みするように嘲笑いながら言い放ちました。
「ああ、それね。そのブランド、買い物するといつも試供品をつけてくれるんだよ。まあ、彼女にはお似合いの“贈り物”なんじゃないか」。
その言葉は、ドミニクのかすかな善意の可能性を、汚泥のような悪意で塗りつぶし、「施し」へと貶める、精神的な毒でした。ベラの心は、一瞬で温もりを失い、再び絶対零度の絶望の色に染まります。「何を期待していたんだろう?ドミニクが心の底から愛しているのはパール。そんな彼が私にくれるものなんて、どうせパールへの豪華な贈り物の“おまけ”に決まってる」。ヘンリーの言葉を真実として受け入れてしまった彼女は、最後の希望だったドミニクに対しても、完全に心を閉ざしてしまったのです。
死へのドライブ
ドミニクは、ベラの失望に満ちた表情を見て、慌てて「いや、そういうわけじゃ…」と弁解しようとします。しかし、その声は、再び場の主役の座を奪い返すことに成功したパールの、猫なで声によって無情にもかき消されます。「そうだわ、私、運転免許を取ったのよ!ねえ、ドライブに行かない?」。そして彼女は、ベラに向かって、美しい蛇が獲物に絡みつくように、ねっとりとした、しかし決して逆らうことのできない言葉を投げかけます。
「ベラも、もちろん来るわよね?私があなたのそばを長く離れられないこと、あなた自身が一番よく分かっているでしょう?」。
それは、ベラが「血液バンク」としての役割から決して逃れられないという事実を再認識させる、甘い響きを持った、紛れもない皮肉でした。ドミニクもまた、「あとでゆっくり説明すればいい」と安易に考え、ベラに同行を促します。どうせ今日で全てが終わる。この人たちとの関わりも、あと数時間のこと。そう考えたベラは、「ええ…いいわよ」と、その死のドライブへの誘いを、静かに受け入れてしまうのでした。
憎悪のアクセル
しかし、それがパールが周到に仕掛けた、最後の、そして最も恐ろしい罠でした。邸宅の車寄せで、車の運転席に座ったパールの表情から、聖女のような仮面は音を立てて剥がれ落ち、どす黒く燃え盛る憎悪が、その美しい顔を醜く歪ませます。
「地獄に落ちて、ベラ。あなたは、最初から生まれてくるべきじゃなかった」。
その呪詛のような心の声と共に、彼女はためらうことなくアクセルを床まで強く踏み込みました。高級車は獣のような咆哮を上げ、歩いて車に向かっていたベラに、一直線に襲いかかります。そして、耳を劈くような激しい衝突音と共に、ベラの体はまるで紙人形のように宙を舞い、冷たいアスファルトの上に叩きつけられました。割れた頭から流れるおびただしい量の鮮血が、彼女の意識を急速に深い闇へと沈めていきます。
自由になるはずだった18歳の誕生日に、彼女を待っていたのは、姉からの容赦のない殺意に満ちた凶行でした。遠のく意識の中、彼女が最後に聞いたのは、血の気の引いた顔で駆け寄ってくるドミニクの、絶望に満ちた「救急車を呼んでくれ!」という叫び声だけでした。
【傷ついた心に帰る場所はない】7話を読んだ感想(ネタバレあり)
言葉を失いました。第6話のラストで、ベラの力強い決意と共に、ようやく希望の光が見えたと心から安堵しただけに、今回の第7話の展開は、あまりにも衝撃的で、残酷すぎます。読んでいるこちらの心まで、硬いアスファルトに叩きつけられたかのような、鈍い痛みと衝撃を受けました。
特に恐ろしかったのは、やはりパールの狂気です。彼女のベラに対する感情は、もはや単なる嫉妬や独占欲ではありません。それは、自分という存在を輝かせるために、妹という影の存在を完全に、物理的に排除しようとする、純粋で絶対的な殺意です。「あなたは、最初から生まれてくるべきじゃなかった」。この一言に、彼女の歪んだ自己愛と、底なしの闇の深さを見た気がします。可憐で病弱な少女の仮面の下に、これほどまでの冷酷な怪物を隠していたとは…。
そして、「おまけ」のプレゼントのシーン。一瞬の希望から絶望のどん底へ、ジェットコースターのように突き落とすこの構成は、本当に見事であり、だからこそあまりにも痛々しいものでした。ベラの心が、最後の最後でどれほど深く、そして修復不可能なほどに傷つけられたかを思うと、胸が張り裂けそうです。ヘンリーの何気ない、しかし計算された一言が、人の心をどれだけ簡単に殺すことができるのか、その恐ろしさも改めて感じました。
物語は、最悪の形で振り出しに戻ってしまいました。いや、それ以上の絶望かもしれません。ベラの命は助かるのか。そして、この白昼堂々と行われた殺人未遂は、鉄壁に見えたブラウン家の嘘と偽善を、白日の下に暴くきっかけとなりうるのか。希望と絶望が目まぐるしく入れ替わるこの物語から、ますます目が離せなくなりました。
【傷ついた心に帰る場所はない】7話のネタバレまとめ
- 18歳の誕生日当日、ベラは完全に無視され、家族はパールのためだけの盛大な誕生パーティーを開く。
- ドミニクがベラにもプレゼントを渡すが、ヘンリーに「ブランドのおまけの試供品」だと嘲笑され、ベラの最後の希望は打ち砕かれる。
- 嫉妬に駆られたパールは、ベラをドライブに誘い出すという罠を仕掛ける。
- パールは「あなたは生まれてくるべきじゃなかった」という強烈な憎悪と共に、車でベラをはね、殺害しようと試みる。
- 物語は、ベラが頭から血を流して倒れ、ドミニクが助けを呼ぶ絶望的な場面で終わる。
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