【元戦闘用奴隷ですが、助けてくれた竜人は番だそうです。】3話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【元戦闘用奴隷ですが、助けてくれた竜人は番だそうです。】第3話をネタバレありで解説する
セレストの番であると告げられた八番。第3話「名前」では、彼女がその運命とどう向き合うのか、大きな一歩を踏み出す様子が描かれます。セレストの親友ウィルの登場により、物語は新たな局面を迎えることになりました。
セレストの親友、ウィルとの対峙
セレストと共に生きるべきか、それとも…。一人では答えを出せない八番は、十七番に連れられて部屋の外へ出ます 。初めて見る様々な種族が暮らす世界に驚く二人でしたが、その前に一人の男性が立ちはだかりました 。彼はセレストの親友、ウィルジール。しかし、その第一声は衝撃的なものでした。
「はっきり言って君のことあんまり好きじゃない」
突然の言葉に戸惑う八番。ウィルが彼女を快く思わない理由は、彼が敬愛する親友セレストが、八番の煮え切らない態度のせいで苦しんでいるからでした 。竜人にとって番を得ることは至上の喜びであり、普通は羨ましがられるほどの幸運なのです 。
少女の葛藤と、竜人の幸せの形
ウィルに「なんでセスに引き取られるのを悩んでる?」と核心を突かれた八番は、十七番の助けを借りながら、胸の内を明かします 。それは、「番という立場でセレストさんを利用してることにならないか」という、あまりにも健気なためらいでした 。
これを聞いたウィルは、思わず大笑いしてしまいます 。そして、八番の誤解を解くように言いました。竜人は番を喜ばせることが何よりの幸せであり、そのためならどんなことでもしたいと願う種族なのだ、と 。だから、八番がセレストに頼ることは、セレスト自身の喜びにも繋がる。彼はこう続けます。
「好きなだけ利用すればいい」
それは、お互いが幸せになるための、最良の選択肢だという彼なりのアドバイスでした。
決意と、与えられた新しい「名前」
ウィルの言葉で迷いが晴れた八番は、戻ってきたセレストに「せれすとさんといっしょに…いく」と、自らの意志を伝えます 。その言葉に、セレストは心からの笑顔を見せ、「ありがとう ございます」と深く感謝するのでした 。
未来への道が決まったことで、少女たちはセレストに「名前」をねだります 。名付けのセンスがないと謙遜しつつも、セレストは彼女たちに新しい名前を贈りました。八番はフランス語の「8」から「ユイ」へ、十七番は「17」から「ディシー」へ 。数字で呼ばれていた二人が、一人の人間としてアイデンティティを得た瞬間でした 。
それぞれの未来へ、新たな出会い
ユイの未来が決まった一方、ディシーの身の振り方も解決します。そこに現れたのは、セレストの同僚であるエルフの女性、ヴァランティーヌ 。彼女がディシーの里親になることを申し出たのです 。
これは、ユイと離れたくないと願ったディシーの希望でもありました 。セレストと同じ職場の人に引き取られれば、いつでもユイに会えると考えたのです 。竜人が職場に番を伴うのは珍しいことではないため、二人が離れ離れになる心配はなくなりました 。
「利用する」という名の、前向きな覚悟
全ての問題が解決し、新たな一歩を踏み出すことになったユイ。彼女は心の中で静かに、しかし強く決意を固めます。ウィルの言った「利用する」という言葉を、彼女は自分なりに昇華させました。
「わたしはわたしのためにこのひとをりようする」
それは、誰かの重荷になるのではなく、自分の足で未来を掴むために、与えられた環境を最大限に活かすという前向きな覚悟の表れでした。優しい人たちに迷惑をかけないように、自分自身のために頑張る。一人の少女の、大きな成長が垣間見えるラストシーンです。
まとめ【元戦闘用奴隷ですが、助けてくれた竜人は番だそうです。】第3話を読んだ感想
第3話は、ユイの心理的な成長が丁寧に描かれた、非常に感動的な回でした。物語を動かしたのは、セレストの親友ウィルという存在です。最初は少し乱暴な人物かと思いきや、彼の言動はすべて親友を想うがゆえ。彼の言葉がなければ、ユイは決断できなかったかもしれません。不器用ながらも的確な助言で主人公の背中を押す、素晴らしいキャラクターだと感じました。
また、「名前」というテーマが非常に効果的に使われています。数字で呼ばれる奴隷から、名前を持つ一人の個人へ。この変化が、彼女たちの解放と自立を象徴しているようで、ユイとディシーが新しい名前を喜び合うシーンでは、思わず笑みがこぼれました。
そして何より、最後のユイの決意には心を打たれます。「利用する」という言葉を、依存ではなく自立へのエネルギーに変える彼女の強さ。これからの彼女が、セレストと共にどのように成長し、幸せを掴んでいくのか、ますます楽しみになりました。友人との絆も守られ、希望に満ちた未来が見える、読後感のよい素晴らしい一話です。
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