【兄だったモノ】1話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【兄だったモノ】第1話をネタバレありでわかりやすく解説する

噎せ返るような真夏の日差しが照りつける中、物語は始まります。 一人の少女が、見慣れない墓所の風景に少し戸惑いながら、「兄」がいた会一処と刻まれた墓石を見つめていました。

兄の墓前で交わされる、静かな会話

兄の恋人だった男・聖との墓参り

主人公の少女・鹿ノ子(かのこ)は、兄・騎一郎(きいちろう)の恋人だった聖(ひじり)という男性と共に、兄の墓参りに来ていました。 蝉の声が響き渡る静かな墓所で、聖は優しく鹿ノ子を気遣います。 「暑かったら木陰におってもええけえね」 しかし、鹿ノ子は「平気です!」と気丈に答えます。

広島特有の文化である「盆灯籠(ぼんどうろう)」が、墓石の周りを彩っています。 都会育ちの鹿ノ子はその風習を知らず、「綺麗じゃろ?」と話す聖に、少し驚いた表情を見せるのでした。

まだ実感のない兄の死

聖は、鹿ノ子が兄の死をまだ受け入れられていないことを見抜いていました。 「お兄ちゃん 本当に死んじゃったんですね…」 どこか遠くで生きているような気がする、と呟く鹿ノ子に対し、聖は「そんなん当たり前よ」と優しく声をかけます。 そして、「ゆっくり受け入れていこう ゆっくり」と、彼女の心に寄り添うのでした。

聖の家で明かされる衝撃の事実

兄の遺骨との対面

墓参りを終え、鹿ノ子は聖の家に招かれます。 古いながらも趣のある大きなお屋敷です。 そこで鹿ノ子が目にしたのは、仏壇に置かれた兄の遺骨でした。 聖は、鹿ノ子に謝罪します。 「ごめんな いつでも会える言うたんは そういう理由」 この言葉の裏には、聖が抱える深い悲しみと、ある出来事が隠されていました。

葬式に出られなかった聖の過去

食卓で西瓜を振る舞われながら、鹿ノ子は聖から過去の出来事を聞かされます。 今年の春先に行われた騎一郎の葬式に、聖は参列することができませんでした。 理由は、騎一郎の両親(鹿ノ子の両親)が、二人の関係を理由に聖を拒絶したからです。 「お父さんもお母さんも酷いんだもの 男の人同士だからって…」 鹿ノ子の言葉から、両親が二人の関係を認めていなかったことが明らかになります。聖は「家族だったのに」と、やり場のない悲しみを滲ませるのでした。

聖の「願い」と、鹿ノ子の秘めたる決意

聖からの衝撃的な告白

穏やかな時間も束の間、聖は鹿ノ子に衝撃的な事実を告げます。

「俺にはもう先がない」 自らの死期が近いことを悟っている聖は、鹿ノ子に一つの「願い」を託します。 それは、自分が亡くなった後、一人ぼっちになってしまう聖のそばにいてほしい、というものでした。 兄・騎一郎もまた、聖が寂しがり屋であることを知っていたのです。

「理解ある妹」の仮面

聖の悲痛な願いに対し、鹿ノ子はホテルを予約していることを理由に、家に泊まることを一度は断ります。 しかし、聖の寂しさを目の当たりにし、最終的には彼の家に泊まることを受け入れたかのように見えました。

物語のラスト、場面はホテルへと向かう鹿ノ子の視点に切り替わります。 ここで、彼女の本当の目的が明らかになるのです。 彼女が聖に兄の骨を渡したのは、両親への復讐心からでした。 両親が兄と聖の関係を激しく反対していたことを知っていた鹿ノ子は、「理解ある妹」を演じることで聖に近づいたのです。 彼女は心の中で呟きます。 「私は儲けをする 怪物相手に」

彼女の瞳には、悲しみとは別の、冷たく燃えるような決意の色が浮かんでいました。 物語の最後は、兄の遺影を見つめる鹿ノ子の意味深な表情で締めくくられます。

【兄だったモノ】1話を読んだ感想(ネタバレあり)

いや…これは、とんでもない物語が始まってしまったな、というのが正直な感想です。 最初は、亡くなった兄の恋人と妹が、二人で静かに悲しみを乗り越えていく、切なくも美しい話なのだろうと思っていました。聖さんの優しさや、広島の夏の情景描写が、そう思わせるには十分すぎるほど穏やかだったからです。

しかし、物語の終盤で全てが覆されました。 鹿ノ子ちゃんのあの最後の表情、そして「私の勝ちだ」というモノローグ。 鳥肌が立ちましたね。 彼女が抱えているのは、単なる兄への愛情や聖さんへの同情ではありませんでした。両親への憎しみ、そしてもっと得体の知れない、底知れぬ感情が渦巻いているように感じます。 彼女が言う「儲け」とは一体何なのか。「怪物」とは聖さんのことなのか、それとも…。 多くの謎を残しつつ、読者の心を鷲掴みにして離さない、衝撃的な第1話でした。今後の展開が全く予想できず、次回の配信が待ちきれません。

【兄だったモノ】1話のネタバレまとめ

  • 主人公の鹿ノ子は、亡くなった兄・騎一郎の恋人だったと共に、兄の墓参りへ行く。
  • 聖は、騎一郎の両親(鹿ノ子の両親)によって葬式への参列を拒まれていた。
  • 聖は自身の死期が近いことを告白し、鹿ノ子に「自分のそばにいてほしい」と願う。
  • 鹿ノ子の真の目的は、両親への復讐のために「理解ある妹」を演じて聖に近づくことだった。
  • 鹿ノ子は聖を利用して、何かを成し遂げようとしている。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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