【兄だったモノ】11話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 広島での出来事がトラウマとなり、鹿ノ子は学校で上の空になってしまう。
- 友人の前で気を失ってしまった鹿ノ子は、自分が「聖を失うこと」を何よりも恐れていることに気づいた。
- そこへ兄の元恋人・カンナが現れ、この問題を解決するために「プロ」に協力を依頼したことを告げる。
- カンナが頼る「プロ」の正体は、普段はデザイナーとして働き、副業で僧侶をしている「お坊様」だった。
【兄だったモノ】第11話をネタバレありでわかりやすく解説する
カンナの紹介で、ついに「プロ」と対面することになった鹿ノ子。しかし、目の前に現れた人物は、彼女の想像とは少し違う、飄々とした不思議な男性でした。彼の口から語られるのは、事態の核心を突く、鋭い分析と恐ろしい可能性でした。
デザイナー兼お坊様・藤原頼豪
プロとの対面
カンナに連れられてやってきた喫茶店。そこにいたのは、柔和な笑顔を浮かべた壮年の男性でした。 彼の名前は藤原頼豪(ふじわら らいごう) 。本職はデザイナーで、僧侶はインターネットの通信教育で資格を取った「趣味みたいなもの」だと笑います 。 彼は、幼い頃から「いろいろと敏感なもの」で、見たくないものまで見えてしまう「質」なのだと、自らの特異体質を明かしました 。
目的は「祓う」ことではない
頼豪は、カンナや鹿ノ子の話を「本当に起こったことだ」と認識し、真摯に耳を傾けます 。 彼は、仏の道とは邪悪を滅ぼすものではなく、「悩める人々をより良き方向へ導いていくもの」だと考えている、と自らの信条を語ります 。 それを聞いたカンナは、自分たちの目的は亡霊を「祓ってほしいわけじゃないのよ」と明確に伝えます 。鹿ノ子もまた、「ほんの少しでもいい 聖さんを…兄を 助けたいんです」と、切実な想いを口にしました 。 二人の想いが「愛」であることを理解した頼豪は、本格的な調査へと乗り出します 。
亡霊の正体への疑念
加害行動をする霊の「想い」
頼豪は、「どうして恋人の男性を殺そうとするのでしょう」と、亡霊の行動に素朴な疑問を呈します 。 彼は、経験に基づく持論として、加害行動をする霊は何か強い「想い」を持っていることが多い、と語りました 。 例えば、と彼が話したのは、ある一家が引っ越し先で次々と事故に見舞われた事例です 。原因は、その家が古い井戸を潰して建てられており、井戸にいた「もの」が家を憎んで家族に危害を加えていた、というものでした 。
矛盾する二つの人物像
頼豪は、鹿ノ子とカンナから聞いた話を整理します。 生前の騎一郎は、「明るく気さくで妹想いの優しい男性」 。 死後の「お兄さん」は、「恋人の男性に執着しており 身勝手で暴力的な印象」 。 この二つの人物像は、まるで噛み合っておらず、**「別人のようだ」**と頼豪は指摘します 。
そして、彼は二人に、この事件の根幹を揺るがす、最も恐ろしい問いを投げかけるのでした。
「貴女たちはどうして その化け物をお兄さんだと思ったのですか?」「そもそも『それ』は 本当に東雲騎一郎 その人だったのでしょうか」 あの亡霊は、本当に兄・騎一郎なのか。それとも、全く別の何かが兄の姿を騙っているだけなのか。物語は、最大の謎へとたどり着きます。
【兄だったモノ】11話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、まさに「証人喚問」というタイトルにふさわしい、濃密な会話劇でした。新キャラクターの頼豪さん、最高ですね!飄々としていて掴みどころがないように見えて、その実、物事の本質を鋭く見抜く眼を持っている。彼が登場したことで、これまで感情的に進んでいた物語に、初めて論理的なメスが入ったように感じます。
特に、生前の騎一郎と亡霊の人物像が「別人のようだ」と指摘したシーンは、読んでいて鳥肌が立ちました。言われてみれば確かに、という感じで、読者が漠然と抱いていた違和感を、見事に言語化してくれたと思います。 そして、最後の「あれは本当に騎一郎なのか?」という問い。これはやられました。私たちは、鹿ノ子やカンナと同じように、あの亡霊が騎一郎であると疑いもしませんでした。しかし、もしあれが全くの別物だとしたら…?聖さんに執着している理由も、彼を苦しめる動機も、全てが根底から覆ってしまいます。これまでの恐怖が、さらに得体の知れないものへと変わっていくような、底知れぬ怖さを感じさせる最高の引きでした。
【兄だったモノ】11話のネタバレまとめ
- 鹿ノ子とカンナは、プロの僧侶である藤原頼豪と対面する 。
- 頼豪は二人の目的が「聖を救うこと」であると理解し、協力を約束する 。
- 彼は、加害行動をする霊には強い「想い」があると推測する 。
- 頼豪は、生前の騎一郎と亡霊の人物像が「別人のようだ」と矛盾を指摘する 。
- 最後に彼は、「あの亡霊は、本当に兄の騎一郎なのか?」と、亡霊の正体そのものに疑問を投げかける 。
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