【兄だったモノ】12話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 鹿ノ子とカンナは、プロの僧侶である藤原頼豪と対面した。
  • 頼豪は二人の目的が「聖を救うこと」であると理解し、協力を約束した。
  • 彼は、生前の騎一郎と亡霊の人物像が「別人のようだ」と矛盾を指摘する。
  • 最後に頼豪は、「あの亡霊は、本当に兄の騎一郎なのか?」と、亡霊の正体そのものに疑問を投げかけた。

【兄だったモノ】第12話をネタバレありでわかりやすく解説する

「あの化け物は、本当に兄なのか?」――。僧侶・頼豪から投げかけられた根源的な問い。それは、鹿ノ子の記憶と確信を揺さぶる、鋭い刃のような言葉でした。今回の物語は、その問いに対する鹿ノ子の答えと、頼豪が示す新たな可能性が描かれます。

問い詰められた確信の根拠

名付けたのは「私」

頼豪の問いに、鹿ノ子は言葉を失います 。確かに、なぜ自分は「あれ」を兄だと思ったのだろうか 。 彼女は思い出します。初めてあの化け物を見た時、そう断定したのは、他の誰でもない自分自身だったことを 「だって…私が言ったのだ あの化け物は『兄』だと」 カンナは、鹿ノ子の言葉を信じていただけ。確信の源は、全て自分にあったのです。

頼豪はその問いを一旦保留し、次の質問に移ります 。 「今の段階で あの化け物が見えているのはお二人だけなのですね?」 彼は、聖が見えないフリをしている可能性を指摘しますが、カンナは即座に否定 。背後にいる「あれ」に対し、聖の視線は一切不自然な動きをしていなかったと証言します

頼豪が示した「見える」力

話が平行線を辿る中、頼豪は自らの力を示すことで、議論を新たなステージに進めます。 彼は突如、カンナの後ろを指差し、「小さな子どもさんがいる」と告げました 。さらに、カンナが最近職場の特定の男性からしつこく言い寄られていることまで、正確に言い当てます 。 その子供は、男性の執着が生んだ「残留思念みたいなもの」であり、はぐれてついてきてしまったのだろう、と頼豪は分析 。怯えるカンナをよそに、彼はあっさりと子供の霊を元の場所へ帰すのでした

それでも「兄」だと確信する理由

頼豪の力は本物でした。しかし、それでも鹿ノ子の確信は揺らぎません。 彼女にとって、常人には見えない「彼ら」が見えるのは日常であり、その真偽を誰も教えてくれない孤独の中で生きてきたのです

彼女は、頼豪の論理的な指摘を理解した上で、自らの原体験を振り返り、断言します。

「間違いなく」 「『あれ』は 兄とは全く違う 容姿も性格も声も何もかも」 「でも あの日 噎せ返るような夏の日 『あれ』は『兄』の顔をしていたのだ」

容姿も、声も、性格も、何もかもが違う。それでも、あの化け物は「兄の顔をしていた」。 その一点の事実が、彼女の揺るぎない確信の根拠でした。亡霊の正体は、単純な地縛霊や怨霊などではない、もっと得体の知れない存在であることを強く示唆して、物語は幕を閉じます。

【兄だったモノ】12話を読んだ感想(ネタバレあり)

前回の衝撃的な引きからの、最高のアンサー回でした。 頼豪さんの問いに対して、鹿ノ子ちゃんが「名付けたのは私だ」と自覚するシーンは、彼女の成長と、この問題に対する当事者意識の強まりを感じさせてくれて、非常に印象的でした。 頼豪さんの能力開示シーンも良かったですね。カンナさんのストーカー(?)の生霊をあっさり見抜いて対処するあたり、彼の「プロ」としての実力が垣間見えました。飄々としているけれど、間違いなく頼りになる人物です。

そして、なんといっても最後の鹿ノ子ちゃんの独白。鳥肌が立ちました。 頼豪さんの合理的な疑念に対し、感情論ではなく、自らの「見たままの事実」で対抗する。何もかもが違う、でも「兄の顔をしていた」。この矛盾した事実こそが、この怪異の核心なのでしょう。 ただの成りすましや、思い込みといった単純な話ではない、もっと根源的な恐怖を感じさせます。「兄だったモノ」というタイトルが、ここにきてズシリと重く響いてきました。あれは一体、何なのでしょうか。

【兄だったモノ】12話のネタバレまとめ

  • 頼豪の問いかけにより、鹿ノ子は最初に亡霊を「兄」だと断定したのが自分自身であったことを思い出す 。
  • 頼豪は、聖が亡霊の存在に気づいていないことを、カンナの証言から確信する 。
  • 頼豪は、カンナに取り憑いていた小さな霊を見抜き、対処することで自らの能力を証明する 。
  • 鹿ノ子は、亡霊が性格や声など兄とは全くの別人であると認めつつも、初めて見た時に「兄の顔をしていた」ことは間違いない事実だと断言する 。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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