【兄だったモノ】25.5話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 回想シーンで、聖が幼い頃に親族の男性から性的虐待を受けていた可能性が示唆された。
- 現在の聖は、家に押しかけてきた西迫から激しい暴力を受けた。
- 聖の危機に、兄の姿をした呪いが顕現し、西迫を退ける。
- 呪いは、生前の騎一郎が西迫に言ったのと同じ「聖はお前のものじゃない」という言葉を口にした。
- 呪いは、聖には自分の姿が見えず、鹿ノ子のような特定の人物にしか見えないことを明かした。
【兄だったモノ】第25.5話をネタバレありでわかりやすく解説する
今回は、本編の激しい展開から少し離れ、聖の日常に訪れた束の間の出会いを描く、穏やかで切ない番外編です。
河原での出会い
見知らぬ家族との会話
物語は、まだ少し肌寒い春の日、聖が一人で河原に座っている場面から始まります。 そこへ、幼い息子と散歩に来ていた一人の男性が、気さくに話しかけてきます。彼は仕事の都合で一年間だけ東京から広島へ転勤してきたサラリーマンでした。慣れない土地の水が合わない、とこぼす彼に、聖は「私の知り合いも言うてました」と、かつての騎一郎を思い出すかのように、静かに相槌を打ちます。
「家族」という響き
男性は、この一年を死に物狂いで働けば出世できる、と笑います。そして、「働く意欲が湧いたのも息子が産まれてからですよ」「家族のおかげです」と、幸せそうに語りました。 その言葉に、聖は「…そう…いいなあ」「家族かあ…」と、どこか遠い目をして呟きます。
男性は、聖が花束を持っていることに気づき、「お墓参り…ですか?」と尋ねます。今日は兄の月命日なのです。聖は、男性が「月命日」という言葉を知っていたことに、少し驚いた様子でした。
束の間の交流、そして残された印象
やがて、男性は妻に呼ばれてその場を去っていきます。妻は、夫が話していた相手が誰だったのか尋ねました。 夫は、名前も知らない、和服を着た少し浮世離れした男だった、と答えます。 それを聞いた妻は、聖の後ろ姿を見送りながら、こう呟くのでした。 「消えちゃいそうな人だったよ」。 彼の存在の儚さ、この世に繋ぎ止められていないかのような危うさを、初対面の人間でさえ感じ取ってしまう。聖が纏う、深く静かな孤独が浮き彫りになるエピソードでした。
【兄だったモノ】25.5話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、本編の壮絶な展開の合間に描かれた、とても静かで美しい掌編のような物語でした。 聖さんが、呪いや過去のしがらみとは全く関係のない、ごく普通の幸せな家族と触れ合う。その何気ない会話が、逆に彼の孤独や失われたものの大きさを際立たせていて、読んでいて胸が締め付けられました。「家族かあ…」という彼の呟きには、どれほどの想いが込められていたのでしょうか。
そして、最後の奥さんの「消えちゃいそうな人だったよ」という一言。これ以上ないほど的確に、今の聖さんの状態を表している言葉だと思いました。彼は、生きているのか死んでいるのか、その境界線が曖昧な場所で、かろうじて息をしているだけなのかもしれません。 本編の激しい展開も目が離せませんが、こうした静かなエピソードでキャラクターの心情を深く掘り下げてくれるのも、この作品の大きな魅力だと改めて感じました。
【兄だったモノ】25.5話のネタバレまとめ
- このエピソードは、本編とは少し時系列がずれた、聖の日常を描く番外編である。
- 聖は、兄の月命日に墓参りへ向かう途中、河原で一組の親子と出会う。
- 父親との何気ない会話の中で、彼の「家族のおかげです」という言葉に、聖は寂しげな表情を浮かべる。
- 聖と別れた後、父親の妻は、聖のことを「消えちゃいそうな人だった」と評した。
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