【兄だったモノ】33話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 鹿ノ子は、兄を演じることをやめ、自分の言葉で聖と向き合うことを決意した。
- 聖は、呪いの存在に気づいていながらも、兄を独占したいという罪悪感から「見えないふり」をしていたことを告白した。
- 彼は、自分が騎一郎にとって鹿ノ子の「愛の代用品」でしかなかったと信じていた。
- 最後に聖は、「俺を好きになってくれるか」と問いかけながら、鹿ノ子にキスをした。
【兄だったモノ】第33話をネタバレありでわかりやすく解説する
聖からの、あまりにも切実な問いかけと、突然のキス。これまで冷静を装ってきた鹿ノ子の心は、ついに限界を超えます。今回は、彼女の精神が、聖の抱える闇と共鳴し、恐ろしくも美しい悪夢の世界へと迷い込む様が描かれます。
キスの後で
乱れる心
自分は周りからも大人っぽいと褒められ、冷静な方だと自負していた。しかし、聖の濡れた瞳に見つめられ、キスをされた今、鹿ノ子の頭の中は真っ白になっていました。 聖は、そんな彼女の様子を「そんなジロジロ見んのよ…」と、悪戯っぽく笑います。そして、「今日は途中で御預け」「その代わり」と、鹿ノ子の耳元で何かを囁き始めました。
聖を蝕んだ者たち
聖の唇が耳に触れる、その瞬間。鹿ノ子の混乱した頭の隅で、場違いな思考が巡ります。 右手の包帯、身体に散らばる傷。 東雲騎一郎が、西迫正義が、そして他の男たちが、この身体をどうやって辱めたのか。 彼女の思考は、聖への同情と、彼を傷つけた者たちへの静かな怒りに満ちていました。
EAT ME ―私を食べて―
不思議の国のアリス
その時、鹿ノ子の意識は、突如として奇妙な世界へと迷い込みます。 それは、まるで『不思議の国のアリス』のような食卓。アリスの姿をした鹿ノ子の前に、「EAT ME(私を食べて)」と書かれた銀食器が置かれます。 蓋が開けられると、そこにあったのは、料理として美しく盛り付けられた、聖の上半身でした。 食卓には、ウサギやドードー鳥といった、動物の仮面を被った者たちが集っています。彼らは一斉に、聖の身体にナイフとフォークを突き立てるのでした。
鹿ノ子もまた、その肉を口に運ぶことを強要されます。 悪夢から覚めた彼女は、あまりの恐怖に息を荒げ、聖から大きく身を引いていました。自分が今見たものが、誰かの記憶や感情と重なって見えたのだと、彼女は直感します。 そんな彼女の様子に、聖は驚いたような表情を浮かべるのでした。
【兄だったモノ】33話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、息を呑むほど美しく、そして底知れぬほど恐ろしい回でした。 これまでのホラー展開とは一線を画す、芸術的で、悪夢のような『不思議の国のアリス』のシーン。聖さんが、彼に関わってきた人間たち(兄、西迫、そして鹿ノ子自身も含むのかもしれません)によって、いかに「消費」され、「食い物にされてきた」か。その比喩表現として、これ以上ないほど的確で、残酷な描写でした。動物の仮面を被った者たちの姿は、聖を愛するという名目で彼を食い物にしてきた人々の、欲望の象徴なのでしょう。
そして、そのグロテスクな光景を見てしまった鹿ノ子ちゃん。彼女の精神が、ついに聖さんの抱える闇の深淵に触れてしまった瞬間でした。これまで彼女は、兄の呪いという「外部」の恐怖と戦ってきました。しかし、これからは聖自身の「内側」に潜む、おぞましいトラウマとも向き合わなければならないのかもしれません。 最後に聖さんが驚いた表情をしていたのが、また不気味でした。彼は、鹿ノ子ちゃんが何を見たのか、わかっているのでしょうか。あまりにも謎が多く、考察が捗る回でした。
【兄だったモノ】33話のネタバレまとめ
- 聖とのキスにより、鹿ノ子の心は激しく動揺する。
- 鹿ノ子は、聖の身体に残る傷を見ながら、彼がこれまで受けてきたであろう仕打ちに思いを馳せる。
- その瞬間、鹿ノ子は『不思議の国のアリス』をモチーフにした悪夢のような幻覚を見る。
- 幻覚の中で、聖の身体が料理として食卓に並べられ、動物の仮面を被った者たちに食べられていた。
- 悪夢から覚め、恐怖に震える鹿ノ子に対し、聖は驚いたような表情を浮かべていた。
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