【兄だったモノ】34話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 聖とのキスにより、鹿ノ子の心は激しく動揺した。
- 鹿ノ子は『不思議の国のアリス』をモチーフにした悪夢のような幻覚を見る。
- 幻覚の中で、聖の身体が料理として食卓に並べられ、動物の仮面を被った者たちに食べられていた。
- 悪夢から覚め、恐怖に震える鹿ノ子に対し、聖は驚いたような表情を浮かべていた。
【兄だったモノ】第34話をネタバレありでわかりやすく解説する
聖の抱える闇の深淵を垣間見てしまった鹿ノ子。恐怖に震える彼女を、聖は優しく包み込みます。悪夢のような一夜が明け、二人の関係は新たな段階へと進むかに思われましたが、その先には更なる悪夢が待ち受けていました。
柔らかな夜の魔物
子猫のような彼女
物語は、ホテルの一室で、聖が優しく鹿ノ子を抱きしめる場面から始まります。 遠くに救急車のサイレンが聞こえる静かな夜。聖は、先程までの鹿ノ子の様子を思い出し、可笑しそうに笑います。 「あれだけギラギラした目で見てくるけえ どうなるんかと思ったら」「ずっと子猫みたいに縮こまってくるばっかじゃった」。 その言葉に、鹿ノ子は顔を赤らめます。聖のために色々「勉強」してきた、と涙ながらに訴える彼女の姿は、痛々しくも健気でした。
優しい拒絶
聖は、そんな鹿ノ子をからかうのをやめ、「キスは気持ちよかったよ」と優しく伝えます。そして、お腹の中がきゅうっとなった、と自らの高揚を正直に告白しました。 聖は、鹿ノ子をベッドへと誘います。しかし、それは彼女が望んだ形ではありませんでした。 「だって鹿ノ子ちゃん 明日学校あるじゃろ?」。 彼は、これ以上先に進むことを、彼女の日常を気遣うことで、優しく拒んだのです。彼はただ、彼女の髪を撫で、眠りにつくまで傍にいるのでした。
束の間の幸福と、最悪の再会
残された繋がり
翌朝、鹿ノ子が目を覚ますと、隣に聖の姿はもうありませんでした。昨夜の出来事がまるで夢だったかのように、部屋は静まり返っています。 ホテルを出ようとした彼女は、ドアに一枚のメモが貼られているのに気づきます。「またね」という言葉と共に、そこには電話番号が記されていました。 これまで家の番号しか知らなかった彼女にとって、それは聖本人と直接繋がることができる、初めての連絡先。メモ一枚が、こんなにも嬉しいなんて…。鹿ノ子は、込み上げる幸福感を噛み締めます。
パン屋にいた男
時間に余裕があった鹿ノ子は、幸せな気持ちのまま、朝食のために一軒のパン屋に入ります。昨日から何も食べておらず、お腹はぺこぺこでした。 席に座り、穏やかな朝の光に満たされている、その時でした。 ふと視線を上げた彼女の目に、一人の男の姿が映ります。 それは、聖を、そして兄を苦しめた元凶。西迫正義(さいさこ まさよし)でした。 束の間の幸福は、最悪の再会によって、無残にも打ち砕かれてしまうのでした。
【兄だったモノ】34話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、前半の甘く切ない雰囲気と、ラストの突き落とされるような絶望感の落差が凄まじい回でした。 聖さんの、あの優しい拒絶。彼の誠実さと、鹿ノ子ちゃんを大切に想う気持ちが伝わってきて、本当に素敵でしたね。傷だらけの彼が、必死で他者を思いやろうとする姿に、胸が締め付けられます。一夜を共にしたことで、二人の心の距離は確実に縮まったはずです。
そして、朝のメモのシーン。スマホを持っていない鹿ノ子ちゃんにとって、あの電話番号がどれだけ嬉しかったことか。読んでいるこちらまで、温かい気持ちになりました。このまま幸せな気持ちで終わってくれ、と願った矢先の、西迫の登場。 あの絶望感は、言葉にできません。天国から地獄とは、まさにこのことでしょう。なぜ、このタイミングで、この場所に彼がいるのか。偶然とは思えません。鹿ノ子ちゃんの幸せを、すぐそばで悪魔が待ち構えていたかのような、悪意に満ちた引きでした。
【兄だったモノ】34話のネタバレまとめ
- 聖と鹿ノ子はホテルで一夜を過ごすが、聖は彼女の体を気遣い、一線は越えなかった。
- 翌朝、聖は「またね」という言葉と自らの電話番号を記したメモを残して、姿を消していた。
- 聖との繋がりができたことに幸福を感じながら、鹿ノ子は見知らぬパン屋で朝食をとることにする。
- しかし、そのパン屋で、兄と聖を苦しめた元凶である西迫正義と遭遇してしまう。
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