【兄だったモノ】37話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- カンナは、大学時代の同級生・北斗と再会した。
- 回想シーンで、北斗が聖の「手口」を分析する。彼は、弱っている人間がかけて欲しい言葉を的確に囁き、虜にするのが上手いという。
- 聖に惹かれるのは、自己肯定感の低い人間ばかりだった。
- 北斗は、聖が人を慰めた後、相手が完全に堕ちた瞬間に、まるで復讐でもするように冷たい目で見放す姿を目撃していた。
【兄だったモノ】第37話をネタバレありでわかりやすく解説する
聖の本質は、人を救う神か、それとも破滅に導く悪魔なのか。旧友・北斗から語られる過去の逸話は、カンナの中にあった騎一郎との記憶を呼び覚まし、彼女を戦慄の真実へと導きます。
騎一郎との別れ、その真相
殴れなかった理由
北斗から聞いた、聖の「復讐」のような冷たい目。その話に、カンナは「おかしいでしょ!」と激しく動揺します。 彼女は、騎一郎に別れを告げられた日のことを思い出していました。一方的にフラれたのだから、一発殴ってやろうとすら考えていた。しかし、できなかった。なぜなら、彼はあまりにも真摯に、涙ながらに謝ってきたからです。 その涙の理由を、カンナは今になって理解します。あの時、騎一郎の瞳の中には、もう自分の姿は映っていませんでした。彼の心は、完全に聖へと移っていたのです。
優しい人、だったはずなのに
カンナにとって、騎一郎はお人好しで、抜けていて、好きなタイプではなかったけれど、「悪い子じゃないなって思ってた」存在でした。 しかし、北斗の話を聞き、そして騎一郎が自分に「他に好きな人ができた」と告げた時のことを思い出し、カンナの中で何かが繋がっていきます。
呪いの正体
北斗は、聖がセックス依存症ではないか、という噂を口にします。それは、家族から正常な愛情を与えられなかった人間に多い症状なのだ、と。 その言葉が、雷のようにカンナの脳を撃ち抜きました。
愛情に飢えた瞳
頼豪が言っていた、鹿ノ子の家の「異常に薄い家族の影」。 騎一郎が言っていた、「家を出たら『あの人』に鹿ノ子が殺されちまう」という言葉。 そして、北斗が指摘した、聖に惹かれる者たちが皆浮かべる「愛情に飢えてギラギラした目」。
カンナは気づいてしまったのです。兄である騎一郎もまた、同じ目をしていたことに。 聖に惹きつけられた人々、そして騎一郎自身。彼らは皆、家庭環境に問題を抱え、愛情に飢えていた。聖は、彼らと同じ傷を持つ人間を引き寄せる、ただの磁石のような存在だったのかもしれません。 だとしたら、全ての元凶は、聖ではなく…。
カンナは、自らが「見ないフリをしていた」事実に気づき、戦慄します。 「あの家族 何か秘密がある…」。 物語の根源的な謎は、聖ではなく、鹿ノ子と騎一郎の家族、「東雲家」そのものにある。その恐るべき可能性が、ついに提示されたのでした。
【兄だったモノ】37話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、全てのピースが一つに繋がる、見事なミステリー回でした。カンナさんの思考を通じて、読者もまた、事件の真相に一歩近づいたような感覚です。 聖さんが「鈴蘭」だという話から始まり、彼に惹かれる人間の共通点、そして騎一郎の家庭環境の謎。バラバラだった情報が、カンナさんの頭の中で収束していく様は、読んでいて鳥肌が立ちました。
特に、「騎一郎も同じ目をしていた」という結論には、頭を殴られたような衝撃を受けました。これまで、騎一郎は聖さんの「被害者」の一人だと思っていました。しかし、彼もまた、同じ「愛情に飢えた者」だった。二人は、互いの傷を舐めあうように、共依存の関係にあったのかもしれません。 だとすれば、あの呪いは一体何なのか。聖さんでも騎一郎でもないとすれば、元凶はやはり、東雲家に隠された「秘密」と、「あの人」の正体に行き着きます。ホラーでありながら、人間の心の闇を描くヒューマンドラマでもある。この作品の奥深さを、改めて感じさせられる回でした。
【兄だったモノ】37話のネタバレまとめ
- カンナは、騎一郎との別れの際、彼の瞳に既に自分が映っていなかったことを思い出し、深く傷ついていたことを自覚する。
- 北斗は、聖がセックス依存症ではないかという噂と、その原因が家庭環境にある可能性を指摘する。
- 聖に惹かれる者、そして騎一郎自身もまた、「愛情に飢えた目」をしていたことにカンナは気づく。
- カンナは、全ての元凶が聖ではなく、騎一郎と鹿ノ子の家庭である「東雲家」にあるという結論に至る。
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