【兄だったモノ】49話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 西迫と犬上の処置が終わり、事態は一旦落ち着いた。
  • 聖の人格は、本来の彼と呪いの人格が不安定に入れ替わる危険な状態に陥っていた。
  • 鹿ノ子と二人きりになった聖は、過去に繰り返してきた「復讐」のような行為を、もうやめたと告白した。
  • 聖は、すべての過去から逃れるように、鹿ノ子に「一緒に逃げよう」と提案した。

【兄だったモノ】第49話をネタバレありでわかりやすく解説する

「一緒に逃げちゃいませんか?」――。聖からの、あまりにも切実な提案。それは、投げやりな気持ちなどではなく、ただ彼を助けたいという一心で、鹿ノ子の心から零れ落ちた雨垂れのようなものでした。彼女は、その提案を受け入れます。しかし、二人の逃避行は、思わぬ形で、最も恐ろしい場所へと辿り着いてしまうのでした。

聖、倒れる

行き場のない二人

聖と共に逃げることを決意した鹿ノ子。しかしその直後、心身ともに限界を迎えていた聖が、彼女の腕の中で気を失ってしまいます。 突然のことに動揺する鹿ノ子。制服姿の彼女が入れる宿泊施設は限られており、二人は行き場を失ってしまいます。タクシーを呼び、彼女が運転手に行き先として告げたのは、自らが「地獄」と呼ぶ場所でした。

招かれざる客

鹿ノ子が聖を連れて帰ったのは、彼女自身の家、東雲家のマンションでした。 意識が朦朧とする中、聖は「いけん…」と、その家に入ることを拒みます。ご両親が許さないだろう、と。その姿は、かつて葬式への参列を拒否された、彼の深い心の傷をえぐるかのようでした。 しかし、鹿ノ子は「大丈夫ですよ」と、静かに答えます。「今日は父も母もいません」「最近ほとんど 夜は一人なんです」。 彼女もまた、聖と同じく、家族との間に深い断絶を抱えていたのです。

開かれた禁断の扉

鹿ノ子は、自分のベッドに聖を寝かせます。聖は、兄・騎一郎が家族について、肝心なことは何も教えてくれなかった、とぽつりと呟きました。 そして、彼は「俺ね 南さんらと違うて 最後までこの家に入れてもらえんかったんよ」と、騎一郎の実家に入れてもらえなかった過去を告白し、兄の部屋に入るのが怖い、と怯えるのでした。

鹿ノ子が飲み物を取りに部屋を出ると、兄の部屋のドアが、少しだけ開いていることに気づきます。聖が怖がっていた、禁断の部屋。 そのドアを、そっと開けてしまった、その時。 部屋の暗闇の中に立っていたのは、いるはずのない、母の姿でした。 「なんで あんたが この家にいるのよ」。 母は、まるで侵入者を見るかのような冷たい目で、実の娘である鹿ノ子を睨みつけるのでした。

【兄だったモノ】49話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、息を呑むような展開の連続で、ページをめくる手が止まりませんでした。 聖さんを助けたい一心で、自らが地獄と呼ぶ実家へ彼を連れて帰る鹿ノ子ちゃんの決断には、胸を打たれました。彼女にとって最も安全ではない場所が、皮肉にも、傷ついた聖さんを守るための唯一の砦となったのです。 聖さんが「ご両親が許さない」と怯えるシーンも、非常に切なかったですね。彼が東雲家から受けた拒絶が、どれだけ深いトラウマになっているのかが伝わってきました。

そして、最後のシーン。あれは反則でしょう。ホラー映画でもなかなか見られないレベルの、最悪のタイミングでの母親の登場。しかも、「なんであんたがこの家にいるのよ」という、実の娘にかける言葉とは思えない一言。鳥肌が立ちました。 兄の呪いという超常的な恐怖と、毒親という現実的な恐怖。この二つの地獄が、ついに交錯してしまいました。この家で一体何が起こるのか。聖さんの運命は。そして、鹿ノ子ちゃんは、この本当の「怪物」から逃れることができるのでしょうか。

【兄だったモノ】49話のネタバレまとめ

  • 聖からの「一緒に逃げよう」という提案を受け入れた直後、聖は気を失って倒れてしまう。
  • 行き場を失った鹿ノ子は、自らの実家である東雲家のマンションへ、聖を連れて帰る決断をする。
  • 聖は、鹿ノ子の両親に拒絶された過去のトラウマから、その家に入ることをひどく怖がった。
  • 鹿ノ子が兄の部屋のドアが開いていることに気づき、中を覗くと、そこにはいるはずのない母の姿があった。
  • 母は、娘である鹿ノ子に対し、「なんであんたがこの家にいるのよ」と、冷たく言い放った。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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