【兄だったモノ】54話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 聖と鹿ノ子は、兄の思い出の地を巡る「死出の旅」に出ることを決意し、聖はしがらみを断ち切るようにスマートフォンを家に置いていった。
- 聖は、かつて騎一郎にも一緒に死のうと誘い、激しく怒られた過去を明かした。
- 二人は旅の始まりに、「綺麗な服を着て死のう」と、新しい服を買いに出かけた。
- 旅支度を終え、駅へと向かった二人は、そこで何か衝撃的なものを目撃した。
【兄だったモノ】第54話をネタバレありでわかりやすく解説する
死出の旅路へと出発しようとした、聖と鹿ノ子。しかし、駅で二人が目にしたのは、予想だにしない光景でした。それは、彼らの歪な逃避行に、新たな同行者をもたらす出会いとなります。
迷子の少年
二人が駅で見たもの、それは一人で泣いている幼い男の子でした。 「お母さん」と、少年は鹿ノ子に駆け寄ります。人違いだと分かると、少年は「おうちかえりたくない」と泣きじゃくり、「おとうさん ぼくのことぶつもの」と、父親から虐待を受けていることを告白するのでした。
新たな「犯罪」
鹿ノ子は、少年を警察に連れて行こうとします。しかし、聖はそれを止めました。 「警察に俺らのこと聞かれたらどう答えるん?」。 自分たちもまた、未成年誘拐と家出の当事者。その矛盾を突きつけられ、鹿ノ子は言葉を失います。 聖は「俺はもう立派な犯罪者だし一人増えてもヘーキヘーキ!」と、半ば自暴自棄に、少年を一緒に連れて行くことを決めてしまうのでした。
束の間の「家族ごっこ」
名無しの権兵衛
三人は食事をとることにしますが、少年は名前を名乗りません。そこで聖は、少年に「名無しの権兵衛」からとって、「ゴンちゃん」という仮の名前をつけます。 しかし、ゴンちゃんは「ごはんは いらない」「たべるのきらいだから」と、食事を拒否。その姿は、かつて「食べること自体が苦手だった」兄・騎一郎の姿と重なります。
消えた「お兄ちゃん」
その日はもう遅いため、三人はホテルに泊まることに。 鹿ノ子は、ゴンちゃんの親が心配しているのではないか、と案じます。しかし、聖は「この子の親は捜してないんじゃないかなあ」と、自らの経験を重ねるように、寂しげに呟きました。 「子どもは可愛いね」「産んでやることはできんかったけえ」。 そう語る聖の横顔に、鹿ノ子は言い知れぬ想いを抱きます。
そして、彼女は気づいてしまいました。 さっきから、そういえば。「お兄ちゃん」の姿がない。 いつも彼女の傍にいたはずの、あの呪いの気配が、忽然と消えていたのです。 物語は、ゴンちゃんが聖の服の裾を掴み、何かに怯えるような表情を浮かべるシーンで、不穏に幕を閉じます。
【兄だったモノ】54話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、物語の雰囲気がガラッと変わる、意表を突かれた回でした。心中旅行という、どこまでも閉鎖的で暗い旅になるかと思いきया、まさかの迷子の子供が仲間入り。一気にロードムービーのような趣が出てきましたね。 聖さんが、自分の状況を棚に上げて、虐待されているゴンちゃんを「救おう」としてしまう。その危うい正義感と自己満足は、彼が抱える心の傷の深さを物語っているようです。ゴンちゃんに、救われなかった幼い頃の自分を重ねているのかもしれません。
そして、何よりも気になるのが、最後の「お兄ちゃん」の不在です。あれだけ聖さんに執着していた呪いが、なぜこのタイミングで姿を消したのか。聖さんの心が、鹿ノ子ちゃんと、そしてゴンちゃんに向いたことで、興味を失ってしまったのでしょうか。 それとも、ゴンちゃんという新たな存在が、何か影響を与えているのか。ゴンちゃんが最後に怯えていたのは、一体何を見たからなのか。呪いが去ったからといって、決して安心できない。むしろ、さらに得体の知れない恐怖が始まろうとしている。そんな予感に満ちた、素晴らしい引きでした。
【兄だったモノ】54話のネタバレまとめ
- 死出の旅に出ようとした聖と鹿ノ子は、駅で親から虐待を受けていると思わしき迷子の少年と出会う。
- 聖は、自らも「犯罪者」であると開き直り、少年を警察に突き出さず、一緒に連れて行くことを決める。
- 少年は食事を拒否し、その姿がかつての騎一郎と重なる。三人は、その夜ホテルで過ごすことにした。
- 聖と少年と行動を共にする中で、鹿ノ子は、いつも見えていた兄の呪いの姿が、いつの間にか消えていることに気づく。
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