【兄だったモノ】55話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 死出の旅に出ようとした聖と鹿ノ子は、駅で親から虐待を受けていると思わしき迷子の少年と出会った。
- 聖は、少年を警察に突き出さず、一緒に連れて行くことを決めた。
- 少年は食事を拒否し、三人はその夜ホテルで過ごすことにした。
- 聖と少年と行動を共にする中で、鹿ノ子は、いつも見えていた兄の呪いの姿が、いつの間にか消えていることに気づいた。
【兄だったモノ】第55話をネタバレありでわかりやすく解説する
死を決意した二人の前に現れた、謎の少年。束の間の奇妙な共同生活は、しかし、悪夢のような形で幕を開けます。そして、二人の旅は、日本神話の舞台となる、死と再生の山へと向かうのでした。
消えた少年
聖の悪夢
物語は、聖の悪夢から始まります。暗闇の中、彼の体を這う一匹の「虫」。彼はその虫を愛し、虫も彼を愛してくれた。しかし、虫は自分ではない誰かの名前を呼んでいた。ある日、その虫は潰れて死んでしまった――。 あまりにも生々しい悪夢から、聖は絶叫と共に目を覚まします。
狐に騙された?
悪夢から覚めた聖を、さらなる悪夢が襲います。隣で寝ていたはずの少年、「ゴンちゃん」の姿が、どこにもありませんでした。 慌ててホテルの受付に確認する鹿ノ子。しかし、返ってきたのは「そもそも受付の時点でそんな子おらんかったって…」という、信じられない言葉でした。 最初から、少年などいなかった。聖は、「狐に騙されたって思うしか」ないと、力なく笑うしかありませんでした。
兄が遺した目的地
謎の少年「ゴンちゃん」の存在は、まるで幻だったかのように消え去りました。しかし、二人の旅は、まだ終わりません。 「今日は遠出するけえ早く出よっか」。 聖は、気を取り直すように、鹿ノ子を旅の目的地へと誘います。
伊邪那美の眠る山
聖が向かった先は、広島県と島根県の県境に位置する「比婆山(ひばやま)」。 そこは、日本神話に登場する女神・伊邪那美(いざなみ)が眠る「御陵」があるとされる、神聖な場所でした。 生前、兄・騎一郎はこの山を訪れましたが、体力が続かず、山頂まで登ることは叶わなかったといいます。 「今度は私と一緒に頂上を目指しましょう!」。 鹿ノ子のその言葉に、聖は静かに微笑むのでした。兄が果たせなかった願いを、今、二人で叶えるために。彼らの最後の旅が、始まります。
【兄だったモノ】55話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、物語の雰囲気がまた一段と深まった、ミステリアスで、どこか神話的な回でした。 冒頭の聖さんの悪夢。彼が愛した「虫」は、間違いなく兄・騎一郎のことでしょう。そして、虫が自分ではない誰かの名前を呼んでいた、という部分。これは、騎一郎が最後まで妹である鹿ノ子ちゃんを想っていたことへの、聖さんの嫉妬心の表れなのかもしれません。彼の心の傷の深さが、改めて浮き彫りになりました。
そして、ゴンちゃんの消失。彼は一体何だったのでしょうか。二人が見た集団幻覚?それとも、本当にこの世ならざる者だったのか。ただ一つ言えるのは、彼の出現と消失が、二人の関係性を次のステージに進めるための、重要なきっかけとなったことです。 最後の目的地である比婆山が、死と再生を司る女神・伊邪那美の墓所であるというのも、あまりにも象徴的です。二人は、ただ死ぬためではなく、何かからの再生を求めて、この山を登るのかもしれません。美しくも不穏な、神話の始まりのような回でした。
【兄だったモノ】55話のネタバレまとめ
- 聖は、兄・騎一郎を「虫」になぞらえた悪夢を見て、うなされる。
- 翌朝、ホテルで一緒に寝ていたはずの少年「ゴンちゃん」が、忽然と姿を消す。ホテルの従業員は、最初からそんな子供はいなかったと証言した。
- 聖は、兄・騎一郎が生前登頂を断念した、日本神話の女神・伊邪那美が眠る「比婆山」へと、鹿ノ子を誘う。
- 鹿ノ子は、聖と共に山頂を目指すことを約束する。
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