【兄だったモノ】56話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 聖は、兄・騎一郎を「虫」になぞらえた悪夢を見て、うなされた。
  • 翌朝、ホテルで一緒に寝ていたはずの少年「ゴンちゃん」が、忽然と姿を消した。
  • 聖は、兄・騎一郎が生前登頂を断念した、日本神話の女神・伊邪那美が眠る「比婆山」へと、鹿ノ子を誘った。
  • 鹿ノ子は、聖と共に山頂を目指すことを約束した。

【兄だったモノ】第56話をネタバレありでわかりやすく解説する

死と再生の山・比婆山へと、最後の旅を始めた聖と鹿ノ子。しかし、彼らの前に、あの謎の少年が再び姿を現します。彼の存在は、二人の逃避行を、予測不能な悪夢の世界へと引きずり込んでいきました。

再び現れた少年

幽霊でも構わない

物語は、比婆山を登る二人の場面から始まります。鹿ノ子は、昨夜忽然と姿を消した少年「ゴンちゃん」のことが、気になって仕方がありませんでした。「やっぱり変ですよあの子…!」と。 しかし、聖は「本当にそうなんかもね」「幽霊みたいな?」と、全く気にする様子がありません。 「俺は気にせんよ」「ようやく俺の前に現れてくれたんじゃもん」。 蚊帳の外で指をさされるより、ずっといい。彼の言葉は、自らの孤独を、そして呪いと共にあった過去を、静かに肯定しているかのようでした。

その時、まるで聖の言葉に応えるかのように、あのゴンちゃんが木陰からひょっこりと姿を現します。 「な~んてね!ジョーダンジョーダン!」。 彼は悪戯っぽく笑い、昨夜ホテルからどうやって抜け出したのかを「ひみつ!」とはぐらかすのでした。

聖との共通点

ゴンちゃんは、聖に「もしかしてお家に帰ったん?」と尋ねられますが、「んーん かえってない!」と即答します。そして、屈託のない笑顔でこう続けました。 「だってゴンちゃん かぞくきらいだもん」「ひじりもそうでしょ?ひじりもきらいだもんね」。 家族が嫌い。その共通点が、聖と少年の間に、奇妙な共犯関係のような絆を生み出していました。

少年の正体

穏やかな雰囲気も束の間、鹿ノ子の一言が、事態を急変させます。彼女は、聖がうなされていた時に口にした「おじさん」について、少年に尋ねたのです。「おじさんって誰ですか…?」。 その瞬間、少年の表情が一変します。 「やめて」。 顔に影を落とし、彼は鹿ノ子を睨みつけました。そして、まるで聖の心を守るかのように、彼女を問い詰めます。 「なんで?」「これから一緒に死ぬんでしょ?」「だったら尚更 相手のことしっかり知っておいたほうがいいんじゃない?」。

「あんた 何者なの?」 鹿ノ子の問いに、少年はただ不気味に微笑むだけ。そして、次の瞬間、さっきまで真昼だったはずの世界が、一瞬にして夜の闇に包まれてしまうのでした。

【兄だったモノ】56話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、ほのぼのとした雰囲気から一転、背筋の凍るようなホラー展開へと突き落とされる、ジェットコースターのような回でした。 ゴンちゃんが再登場した時は、少し安心したのですが、彼の言動の端々に、子供らしからぬ不気味さが漂っていて、ずっと嫌な予感がしていました。「ひじりも家族がきらいだもんね」と、聖さんの心の闇を当然のように代弁する姿は、もはや不気味というほかありません。

そして、鹿ノ子ちゃんが「おじさん」のことに触れた瞬間の、彼の豹変ぶり。あれは本当に怖かったです。「一緒に死ぬなら相手のことを知っておいたほうがいい」という正論が、逆に彼の異常性を際立たせていました。彼は一体何者なのでしょうか。聖さんのトラウマが生み出した幻覚?それとも、消えたはずの兄の呪いが、姿を変えて現れたのでしょうか。 最後の、世界が夜に変わるシーンは、あまりにも絶望的でした。もはや物理法則すら通用しない、彼らのルールで支配された世界に迷い込んでしまった。そんな感覚です。この山から、二人は生きて帰ることができるのでしょうか。

【兄だったモノ】56話のネタバレまとめ

  • 比婆山を登る聖と鹿ノ子の前に、消えたはずの少年「ゴンちゃん」が再び姿を現す。
  • 聖は、ゴンちゃんがこの世の者でなくても構わないと、彼の存在を受け入れていた。
  • ゴンちゃんは、聖と自分には「家族が嫌い」という共通点があると語る。
  • 鹿ノ子が、聖のトラウマである「おじさん」について尋ねると、ゴンちゃんの態度は豹変し、彼女を問い詰める。
  • 鹿ノ子がゴンちゃんの正体を問い詰めた瞬間、周囲の世界が突然、夜の闇に包まれた。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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