【兄だったモノ】57話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 比婆山を登る聖と鹿ノ子の前に、消えたはずの少年「ゴンちゃん」が再び姿を現した。
  • ゴンちゃんは、聖と自分には「家族が嫌い」という共通点があると語り、奇妙な共犯関係のような雰囲気を醸し出す。
  • 鹿ノ子が、聖のトラウマである「おじさん」について尋ねると、ゴンちゃんの態度は豹変した。
  • 鹿ノ子がゴンちゃんの正体を問い詰めた瞬間、周囲の世界が突然、夜の闇に包まれてしまった。

【兄だったモノ】第57話をネタバレありでわかりやすく解説する

突然、夜の闇に閉ざされた比婆山。謎の少年「ゴンちゃん」の正体とは。鹿ノ子は、聖を救うため、人ならざる者との危険な対話を試みます。しかし、その先で彼女が迷い込んだのは、聖の心の奥底にある、あまりにも深く暗い「奈落の国」でした。

奈落の国のアリス

問い詰められる愛

物語は、鹿ノ子のモノローグから始まります。突然現れたこの子は、名前がなく、知らないはずのことを知っていて、聖にやたらと馴れ馴れしい。そして、誰かに似ている…。 鹿ノ子は、目の前の少年に「あんた 何者?」と、その正体を問い詰めました。しかし、少年は「なんのこと?」「ぜんぜんわかんない」と、子供のように無邪気な顔で、とぼけ続けます。

苛立つ鹿ノ子に対し、少年は核心を突く質問を投げかけます。 「かのこはさぁ ひじりのこと好きなの?」「好きなのに ひじりのことなーんにもしらないよね」。 聖を苦しめる「おじさん」のことも、知らなかったじゃないか。少年の言葉は、鹿ノ子の痛いところを的確に抉っていきます。

知るべきこと

鹿ノ子は「あの人を一度も代替品だと思ったことはない」と必死に反論します。しかし、少年は容赦なく続けます。「聖自身のパーソナリティは必要ない?」。 その問いに、鹿ノ子はついに叫びました。「そんなこと…ない!」。 聖が抱える過去は、彼自身が乗り越えるべき問題であり、だからこそ自分はそれを「しっかり知るべきだよ」と。 その答えを聞いた少年は、「すてき」と不気味に微笑み、鹿ノ子の足元を崩します。彼女は、奈落へと落ちていくのでした。

落ちた先で

鹿ノ子が落ちた先は、山の中ではありませんでした。まるで『不思議の国のアリス』のように、歪んだ家具が浮かぶ、奇妙な空間。 第33話で彼女が見た、あの悪夢の世界です。 そこで彼女が見たのは、呆然と佇む聖の姿でした。彼の心の深淵、そのものと言うべき「奈落の国」に、鹿ノ子は足を踏み入れてしまったのです。

【兄だったモノ】57話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、物語が大きく動く、非常に重要な回でした。ゴンちゃんの正体は、やはりただの子供ではありませんでしたね。彼の言動は、まるで聖さんの深層心理を守るゲートキーパーのようでした。鹿ノ子ちゃんの愛を試し、聖の過去と向き合う覚悟があるのかを、問い詰めているかのようです。

そして、ついに鹿ノ子ちゃんが足を踏み入れてしまった「奈落の国」。アリスのモチーフが、こんなにも恐ろしく、そして悲しい形で再登場するとは思いませんでした。あの場所は、聖さんがこれまで「食い物にされてきた」過去の象徴。そんな彼の心の最も柔らかな場所に、鹿ノ子ちゃんは触れてしまったのです。 これは、彼を救うための試練なのでしょうか。それとも、共に堕ちていくための儀式なのでしょうか。聖さんの無防備な姿と、鹿ノ子ちゃんの決意に満ちた表情の対比が、今後の展開への期待と不安を煽ります。

【兄だったモノ】57話のネタバレまとめ

  • 鹿ノ子は、謎の少年「ゴンちゃん」に正体を問い詰めるが、はぐらかされる。
  • ゴンちゃんは、鹿ノ子が聖の過去を何も知らないことを指摘し、彼女の愛の覚悟を試すような言動を繰り返す。
  • 鹿ノ子が「聖のことをしっかり知るべきだ」と答えた瞬間、ゴンちゃんは彼女を奈落へと突き落とす。
  • 鹿ノ子が落ちた先は、かつて彼女が悪夢で見た『不思議の国のアリス』のような異空間だった。
  • その「奈落の国」で、鹿ノ子は呆然と佇む聖の姿を発見する。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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