【兄だったモノ】62.5話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 聖は、鹿ノ子に自らの壮絶な過去を語り始めた。
- 彼は、5歳の時に両親を事故で亡くし、母方の祖母に引き取られた。
- その後、家に来た叔父から、常習的に性的虐待を受けていた。
- 祖母は、その事実に気づきながらも見て見ぬふりをし、あろうことか聖が叔父を誘惑したのだと、彼を「加害者」として扱った。
【兄だったモノ】第62.5話をネタバレありでわかりやすく解説する
今回は、聖の告白から少し視点を変え、鹿ノ子の幼い頃の記憶を辿る特別編です。タイトルは「私たちに明日はない」。本編で明かされた、彼女の出生の秘密。その裏側にあった、もう一つの悲劇が描かれます。
鹿ノ子の実母
物語は、カンナと彼女の旧友・北斗の会話から始まります。「そういえばお母さん 今どうしてるんだろ」。北斗の何気ない一言が、カンナに、鹿ノ子の実の母親の記憶を呼び覚まさせました。 カンナの記憶の中の彼女は、「特に実母と暮らしてた毎日がヤバくって…」と語られる、どこか危うい女性でした。
馬鹿な女
「母は馬鹿な女でした」。 鹿ノ子の回想が始まります。古い木造アパートの窓際で、ぼんやりと外を眺めていた母の姿。 幼い鹿ノ子を見つけると、彼女は「かわいい かわいい 鹿ノ子ちゃん」と、壊れた人形を愛でるかのように、娘を抱きしめるのでした。 しかし、その愛情は、一人の男の来訪によって、無残にも崩れ去ります。鹿ノ子の父、東雲家の家長です。
騎一郎に似てきたなあ
父は、娘に会いに来たのです。「お前 最近ますます騎一郎に似てきたなあ!」。悪気のないその一言が、母の心の均衡を崩壊させました。 「似てないっ」「あの子は 私の子よっ」。 母は狂ったように叫び、鹿ノ子を突き飛ばします。「夢見がちで 自分が一番可愛くて 被害者でもないくせに」。 父の不義理の証である娘が、本妻の息子に似ている。その事実が、彼女には許せなかったのです。 「だったら鹿ノ子 あなたはどうなの?」。母の言葉が、幼い鹿ノ子の心に突き刺さるのでした。
【兄だったモノ】62.5話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、鹿ノ子ちゃんの過去が描かれ、彼女が抱える心の傷の根源が明かされる、非常に重要な回でした。聖さんの壮絶な過去もさることながら、鹿ノ子ちゃんの幼少期もまた、地獄だったのですね。 実の母親から、その存在自体を否定されるかのような仕打ち。「騎一郎に似ている」というだけで、あれほどまでに狂ってしまう母親の姿は、読んでいて胸が痛みました。彼女は、鹿ノ子ちゃんを愛していたのではなく、自分自身を憐れむための道具として、娘を見ていただけなのかもしれません。
「だったら鹿ノ子 あなたはどうなの?」という最後の問いかけ。これは、鹿ノ子ちゃんのアイデンティティそのものを揺るがす、呪いのような言葉です。あなたは誰の子で、誰に似ていて、誰に愛されるべきなのか。彼女が聖さんに惹かれ、兄を演じようとまでした理由の一端が、この母親との関係性にあるのではないかと感じました。 登場人物たちの過去が、一つ、また一つと明かされるたびに、物語の深みが増していきます。誰もが被害者であり、そして加害者でもある。その複雑な人間模様から、目が離せません。
【兄だったモノ】62.5話のネタバレまとめ
- このエピソードは、鹿ノ子の視点から、彼女が実の母親と暮らしていた頃の過去を描いた番外編である。
- 鹿ノ子の実母は、精神的に不安定で、「馬鹿な女」だったと回想される。
- ある日、鹿ノ子の父(東雲家の家長)が訪れ、鹿ノ子が異母兄である騎一郎に似てきたと口にする。
- その言葉が引き金となり、母は「あの子は私の子よっ」とヒステリックに叫び、鹿ノ子を突き飛ばすなど、精神的な虐待を行っていたことが明らかになる。
- 鹿ノ子の心の傷の原風景が、この実母との関係にあったことが示唆された。
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