【兄だったモノ】63話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 聖は、鹿ノ子に自らの壮絶な過去を語り始めた。
- 彼は、5歳の時に両親を亡くし、母方の祖母に引き取られた後、家に来た叔父から常習的に性的虐待を受けていた。
- 祖母は、その事実に気づきながらも見て見ぬふりをし、あろうことか聖が叔父を誘惑したのだと、彼を「加害者」として扱った。
- 誰にも助けを求められず、罪人の烙印を押された聖は、ゆっくりと心を壊していった。
【兄だったモノ】第63話をネタバレありでわかりやすく解説する
「ならばいっそ本当の加害者になってしまえ!」――。聖の告白は、彼の歪んだ半生の、核心へと迫っていきます。被害者から加害者へと転じた、その痛切な理由。そして、兄・騎一郎との思い出の地で、二人は新たな出会いを果たします。
加害者になるという選択
仕組まれた復讐
物語は、聖の告白の続きから始まります。被害者でありながら、祖母によって「加害者」にされた少年。ならばいっそ、本当の加害者になってしまえ。そう決意した彼は、高校時代、西迫にしたことのすべてが「ワザと」だったと明かします。 「ムカついたけえ グチャグチャにしてやった!」。 なぜなら、彼ら(西迫や、他の被害者たち)が、自分を虐待した叔父と重なって見えたから。聖は、自分と同じように誰かを重ね合わせる彼らを、わざと選び、壊していたのです。
黒髪の男
そして、聖は恐るべき事実を告白します。 「俺ねえ 黒髪の人にしか手ェ出してないんよ」「なんでかわかる?」「あの おじさんが黒髪だったから!」。 彼が惹きつけ、そして破滅させてきた人間は皆、黒髪でした。それは、兄・騎一郎も例外ではなかったのです。その事実に、鹿ノ子は言葉を失うしかありませんでした。
兄の思い出の木
告白の翌日、聖は鹿ノ子を宮島のある場所へと案内します。それは、生前の騎一郎が彼女を連れてきたがっていた、久久能智(くくのち)の聖木と呼ばれる、巨大な楠でした。 ガイドブックにも載っておらず、島の人でもほとんど知らない、美しい大木。二人は、その木の下で、今は亡き兄の思い出を語り合います。
新たな出会い
木を後にして、山道を下る二人。すると、背後から一人の男が声をかけてきます。 「可愛らしい!天使かと思ったぞ!」。 派手な身なりで、芝居がかった口調の男。彼は、久久能智の聖木の場所を探していたと言います。 鹿ノ子に道を尋ねるその男の姿に、物語は新たな波乱の予感を漂わせるのでした。
【兄だったモノ】63話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、聖さんの告白が衝撃的すぎて、読んでいて頭が混乱しました。「全部ワザとだった」という彼の言葉。これまで彼に見えていた悲劇性が、一瞬にして反転し、恐ろしい悪意として立ち現れてきました。 しかし、その動機が、叔父への復讐心から来ていると知ると、一概に彼を責めることもできなくなります。加害者にされた被害者が、自らもまた加害者になることでしか、心の均衡を保てなかった。その悲劇の連鎖が、あまりにも痛々しいです。黒髪の人しか狙わなかった、という事実は、兄・騎一郎との関係性にも、新たな暗い影を落としますね。
そんな重苦しい告白の後に描かれた、久久能智の聖木のシーンは、束の間の清涼剤のようでした。兄の思い出が詰まった、静かで美しい場所。二人の旅が、少しだけ報われたような気がしました。 しかし、最後の最後で現れた、あの胡散臭い男。彼の登場で、穏やかだった空気は一変しました。彼は一体何者なのでしょうか。ただの観光客とは思えません。嵐の前の静けさ、という言葉がぴったりの、不穏な引きでした。
【兄だったモノ】63話のネタバレまとめ
- 聖は、自らが被害者から加害者に転じた過去を告白し、西迫たちにした仕打ちはすべて「わざと」だったと明かす。
- 彼の復讐のターゲットは、自分を虐待した叔父と同じ「黒髪」の人間だけだった。
- 告白の翌日、聖は鹿ノ子を、兄・騎一郎の思い出の場所である、宮島の久久能智の聖木へと案内する。
- その帰り道、二人は派手な身なりの謎の男に声をかけられる。
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