【兄だったモノ】76話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 鬼頭虎次郎の正体が、現代アーティストであることが判明した。彼は、聖と鹿ノ子の心中旅行をテーマにした個展を開こうとしていた。
  • 虎次郎は、西迫が本当に想いを寄せているのは、聖ではなく、亡くなった兄・騎一郎ではないかと指摘する。
  • 頼豪は、聖の呪い(トゥルパ)はもはや危険ではないかもしれないが、兄・騎一郎の魂がその呪いを「食べて」おり、新たな脅威となりつつあるという仮説を立てた。
  • 物語の真の恐怖は、聖の呪いではなく、変質してしまった騎一郎の魂にあることが示唆された。

【兄だったモノ】第76話をネタバレありでわかりやすく解説する

「あけてぇ」――。西迫の家のドアを叩く、謎の訪問者。それは、聖の心の平穏を、再び乱す悪夢の始まりでした。今回は、聖の視点から、彼の閉ざされた心の扉が、亡き恋人の幻影によって、こじ開けられていく様が描かれます。

荒野の誘惑

非通知の電話

物語は、西迫の家で療養する聖の場面から始まります。西迫が仕事で不在の中、彼が連絡用にと置いていったスマートフォンが鳴り響きました。表示は「非通知」。 電話の相手は、聖のことを「正義」と呼び間違え、「今どうしとるん…?」と、馴れ馴れしく話しかけてきます。一人暮らしのはずなのに、誰かと一緒に暮らしているのか、と。 その声に、聖は言い知れぬ恐怖を覚えるのでした。

招かれざる客

電話が切れた直後、今度は玄関のドアが激しく叩かれます。「あけろ あけろ」。 聖は、かつて読んだ本の一節を思い出します。「お化けは招き入れないと侵入できない」。 彼は、この訪問者が人ならざる者であると確信し、恐怖に震えながらも、連絡用のスマホを手に取ろうとします。しかし、その手は間に合いませんでした。

ただいま、聖

聖が開けてしまったドアの向こうに立っていたのは、亡くなったはずの恋人、騎一郎でした。 「ただいま 聖」。 あまりにも穏やかな、生前と変わらないその笑顔。しかし、それは聖にとって、最も恐ろしい悪夢の再来でした。 「開けるな」。 彼の心の声も虚しく、物語は、最悪の再会を果たした二人の姿を映し出して、幕を閉じます。

【兄だったモノ】76話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、じわじわと精神を追い詰めてくるような、上質なジャパニーズホラーの趣がある回でした。非通知の電話から始まり、ドアを叩く音、そして「招き入れなければ大丈夫」という怪談のセオリー。読者の恐怖を煽る演出が、本当に巧みでしたね。

そして、最後の騎一郎の登場。彼の「ただいま」という一言と、あの穏やかな笑顔が、逆に不気味でなりませんでした。あれは、本物の騎一郎の魂なのでしょうか。それとも、聖の罪悪感が見せる幻覚?あるいは、あの呪いが、また新たな形で姿を現したのでしょうか。 「荒野の誘惑」というタイトルも、非常に示唆に富んでいます。一人きりで心の荒野を彷徨う聖の前に現れた、甘い誘惑。彼は、その誘惑に抗うことができるのでしょうか。聖の精神が、再び壊れてしまうのではないかと、ハラハラしながら次回の更新を待つことになりそうです。

【兄だったモノ】76話のネタバレまとめ

  • 西迫の家で一人療養していた聖の元に、非通知の電話がかかってくる。
  • 電話が切れた直後、何者かが激しく玄関のドアを叩き始める。
  • 聖は、その訪問者が人ならざる者であると直感し、恐怖する。
  • ドアを開けてしまった聖の前に、亡くなったはずの恋人・騎一郎が、生前と変わらぬ姿で現れた。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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