【兄だったモノ】82話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 広島へ向かう新幹線の中、西迫は聖への消えることのない愛情を鹿ノ子に打ち明けます。
- 鹿ノ子は、兄・騎一郎が生前に見せた行動と日記に記された心情の間に食い違いを感じ、彼の本心に対して深い疑問を抱き始めました。
- 物語の始まりの地である広島駅に到着した一行でしたが、そこで合流したカンナの様子に異変が起こります。
- 鹿ノ子の目には、信頼していたはずのカンナの姿が、不気味で異質な化け物のように映っていました。
【兄だったモノ】第82話をネタバレありでわかりやすく解説する
広島駅に降り立った一行を待っていたのは、最も信頼していた仲間・カンナの不気味な変貌でした。彼女の笑顔の裏に潜む異様な気配を感じ取りながらも、一行は聖の安否を確認するため、そして全ての謎を解き明かすために彼の家へと向かいます。
頼豪が見た「空間」の真実
異形のカンナ(?)を前に、霊能力者である頼豪が重い口を開きます。「中眞さんは無事です」 。その根拠のない言葉に、西迫は「…なんでそう言い切れんだよ」と激しく詰め寄りました 。
頼豪は静かに説明を始めます。彼によると、聖は現在、何らかの特殊な「空間」に囚われているようです 。しかし、その空間で聖と共にいる「アレ」、つまり聖に取り憑いていた呪いが、聖自身を「傷つける素振りがなかった」ことから、直接的な危険はないと判断したのでした 。その一方で、頼豪がその空間に侵入しようとした際には、彼に対しては一切の容赦なく攻撃を仕掛けてきたといいます 。
繋がったままのチャンネルと残された危険
そもそも、なぜ頼豪がその特殊な空間にアクセスできたのか。カンナがその疑問を口にすると、頼豪は以前、聖を霊視した際に繋いだ精神的な回線、いわば「チャンネル」が「一部繋がったままみたいで…」と答えました 。
聖の無事を聞いて、鹿ノ子はひとまず「よかった…」と胸をなでおろします 。しかし、頼豪は厳しい表情で警告を続けました。「ただしあくまで『中眞さん』はですよ」 。呪いが聖に危害を加えないとしても、鹿ノ子たち「我々に牙を向かないとは限りません」と、危険がまだ去っていないことを強調するのでした 。
冬の広島で思う、果たされなかった夏の約束
重苦しい空気の中、一行は聖の家へと歩を進めます。肌を刺すような寒さに、鹿ノ子は「もう冬かあ…」と季節の移ろいを感じていました 。
ふと、彼女の脳裏に、生前の兄との夏の思い出が蘇ります。「今年は初盆だから」「灯篭の色は白」 。そう言って、少し寂しそうにしていた兄。鹿ノ子は、来年こそは色とりどりの灯篭を「聖さんと…」一緒に見たいと、心の中でそっと願うのでした 。それは、この絶望的な状況の中で見つけた、ささやかな希望の光でした。
聖の家、二手に分かれての手がかり捜し
聖の家に到着した一行は、早速手がかりを探し始めます。カンナの提案で、効率よく捜索するために二手に分かれることになりました 。西迫が二階を担当し、鹿ノ子とカンナが一階を調べるという役割分担です 。
この事態を招いた一因である西迫は、カンナからの「誰のせいでこうなったの?」という笑顔の圧力に屈し、「二階に行って参ります!」と敬礼して階段を上がっていきました 。しかし彼の内心は、もし聖と兄の「生々しいもの」を見つけてしまったらどうしようという不安でいっぱいでした 。
二階の廊下に潜む異変
一人で二階に上がった西迫は、すぐに廊下の異常さに気づきます。「…変だ」 。本来あるべき長さよりも、明らかに廊下が奥へと長く伸びているように見えるのです 。
強烈な嫌な予感に襲われ、引き返そうかと考えたその瞬間、長い廊下の暗がりの向こうから、何か得体の知れないものがこちらへ近づいてくる気配を察知しました 。
「思い出の海」と現れた黒い影
その頃一階では、鹿ノ子が聖の身を案じていました 。頼豪は大丈夫だと言っていたものの、拭いきれない不安が彼女の心を覆っていたのです 。そんな鹿ノ子に、カンナは「大丈夫よ」と優しく声をかけます 。
そして、こう続けました。「今中眞くんは思い出の海で眠っているだけ」 。
その言葉と時を同じくして、二階の西迫の前には、長い髪を垂らした人型の黒い影がぬっと姿を現していました。
偽物のカンナ、正体を問う鹿ノ子
カンナの言葉に、鹿ノ子はついに確信します。目の前にいるこの人物は、自分が知っている南カンナではない、と。彼女は静かに、しかし強い意志を持って問いかけました。
「ねえ」「南さんじゃないわよね?」
鹿ノ子の問いを受けたカンナの姿をした「何か」は、ゆっくりと振り返ります。そして、まるで初めて会った人間を見るかのように、こう言い放ったのでした。
「ん?」「あんた誰?」
【兄だったモノ】82話を読んだ感想(ネタバレあり)
前回のラストで衝撃的だったカンナの異形化の謎が、今回さらに深まりました。やはり彼女は何者かに成り代わられていたようです。これまで鹿ノ子を導き、支えてきた頼れるお姉さんが、実は得体の知れない敵だったかもしれないという展開は、物語の緊張感を一気に引き上げます。
特に印象的だったのは、西迫が二階の廊下で怪異に遭遇するシーンです。静まり返った家の中で、空間が歪み、じわじわと恐怖が迫ってくる演出は、王道のジャパニーズホラーを彷彿とさせ、背筋が凍る思いでした。
そして、最後の鹿ノ子の問いかけと、偽カンナからの「あんた誰?」という切り返し。問い詰めたはずが、逆に自分の存在を問われるという構図は、非常に恐ろしく感じました。本物のカンナはどこへ消えてしまったのか。この偽物の目的は一体何なのか。全ての謎を解き明かすために訪れた広島で、一行はさらに深い謎と恐怖の渦に巻き込まれてしまいました。次回の展開から目が離せません。
【兄だったモノ】82話のネタバレまとめ
- 頼豪は、以前聖を霊視した際に繋がった精神的なチャンネルを使い、彼が直接的な危険には晒されていないことを確認しました 。
- 聖の家に着いた一行は手がかりを探すため、西迫が二階、鹿ノ子とカンナが一階へと二手に分かれて捜索を開始します 。
- 二階へ向かった西迫は歪んだ廊下で得体の知れない黒い影に遭遇し、一方、一階では鹿ノ子が目の前のカンナが偽物であることを見破りました。
- 鹿ノ子から正体を問われた偽物のカンナは、動じることなく「あんた誰?」と不気味に問い返すのでした 。
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