【兄だったモノ】84話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 聖の家の一階で、鹿ノ子は対峙していたカンナが偽物であることを見破り、その正体を問い詰めました 。
- 時を同じくして、二階を捜索していた西迫は、亡くなったはずの義姉の亡霊に遭遇し、過去のトラウマに苛まれていました 。
- 偽物は、聖が兄・騎一郎の元へ還ることが彼にとっての「幸福」であり、「ハッピーエンド」なのだと、鹿ノ子に冷酷に告げます 。
- 鹿ノ子の絶望に対し、偽物はその姿を聖や異形の怪物へと変化させながら愛の言葉を囁き、彼女を精神的に追い詰めようとしました 。
【兄だったモノ】第84話をネタバレありでわかりやすく解説する
偽物の口から語られる、あまりにも残酷な「ハッピーエンド」。その言葉は、鹿ノ子の心を絶望の淵に突き落とすための刃でした。しかし、その刃は彼女の心を折るどころか、内に秘めていた鋼の覚悟を呼び覚ます引き金となります。
嫉妬という名の刃
物語は、前話のラストで鹿ノ子が問いかけた「なんでそんなひどいことをするの?」という言葉から始まります 。偽物は、その顔を聖の姿に変えたまま、嘲るように鹿ノ子を見下ろしていました。
そして、彼女の心の最も脆い部分を突くように、言葉の刃を突きつけます。「じぶんが愛されないから」「おれときいちろうに嫉妬して」「しあわせを邪魔しようとしているんでしょう?」 。偽物は、鹿ノ子の全ての行動を、満たされない愛への嫉妬心からくる醜い行いだと断罪するのでした 。
反吐が出るほどの覚悟
しかし、偽物の予想に反して、鹿ノ子の瞳に涙はありませんでした。彼女の顔に浮かんでいたのは、絶望ではなく、燃え盛るような怒りの炎です。「本ッ当にっ 反吐が出るっ」 。
彼女はもはや、兄が知っていた「可愛い鹿ノ子」ではないと宣言します 。酷いことを言われれば泣いて帰るとでも思ったのかと、相手の浅はかさを一蹴しました 。そして、力強く言い放ちます。「聖さんのこと 全部知ったわ」と 。
その言葉は、聖の全てを受け入れるという、彼女の揺るぎない覚悟の表れでした。
全てを愛し、取り返すという誓い
鹿ノ子の覚悟は、単なる強がりではありませんでした。彼女は、聖という人間の持つ光も闇も、その全てを愛すると決意していたのです。
「あの人の醜いところ」「腐ったところ」「脆いところ」「酷いところ」 。それら全てをひっくるめて「恋するって決めたのよ」と、彼女は叫びます 。だからこそ、偽物に邪魔をされようとも、「絶対に 取り返す!」と、魂の底から誓うのでした 。
鹿ノ子の気迫に押されたのか、偽物の顔が驚愕に歪んだ瞬間、場面は再び二階の西迫へと切り替わります。
西迫の深淵と、もう一つの日記
鹿ノ子の意識が飛ばされたのか、彼女は暗闇の中で過去の光景を目撃していました。それは、西迫が義姉を問い詰めている場面です。「どうしてあいしてくれなかったの?」 。その光景は、やがて兄・騎一郎が西迫を殴りつける、より凄惨な記憶へと繋がっていきます 。
次の瞬間、西迫は現実へと引き戻されていました。あの悪夢のような長い廊下は消え、彼はごく普通の物置に立っていたのです 。混乱の中、彼の目に留まったのは、床に落ちていた一冊のノートでした 。
表紙はガムテープで無造作に補強されています 。そのノートを見た瞬間、西迫の脳裏に、聖が同じノートを抱きしめて泣いていた記憶が蘇りました。彼は息を呑みます。「まさか…」「これって 東雲騎一郎の…」 。
それは、以前鹿ノ子たちが見つけた日記とは別の、兄が遺したもう一つの記録だったのです。
【兄だったモノ】84話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回の鹿ノ子の覚醒には、読んでいて鳥肌が立ちました。これまでの彼女は、どこか兄の影を追い、聖に守られる存在という印象が強かったです。しかし、偽物からの精神攻撃に対し、怒りと覚悟を持って立ち向かう姿は、まさにこの物語の主人公そのものでした。「醜いところも腐ったところも全部愛する」という彼女のセリフは、真実の愛とは何かを問いかける、本作のテーマを象徴する名言だと思います。
一方で、西迫が見た過去の光景はあまりにも衝撃的でした。彼のトラウマに、兄・騎一郎が深く関わっていたことが示唆され、二人の因縁が一層複雑なものであったことが分かります。彼がなぜあれほどまでに歪んでしまったのか、その根源に少し触れたような気がして、胸が痛みました。
そして、最後の最後で発見された「もう一つの日記」。これは反則級の引きです。一つ目の日記で全ての謎が解けたかのように思わせておいて、さらに深い闇が隠されていることを予感させます。兄・騎一郎という人間の狂気は、私たちの想像を遥かに超えるものなのかもしれません。鹿ノ子の覚醒と新たな謎の提示が完璧に絡み合った、まさに神回でした。
【兄だったモノ】84話のネタバレまとめ
- 偽物は、鹿ノ子の行動を「愛されないことへの嫉妬」だと罵倒しますが、鹿ノ子はそれに屈しませんでした 。
- 鹿ノ子は、聖の醜さや弱さも含めた全てを愛し、「絶対に 取り返す」という強い覚悟を偽物に叩きつけます 。
- 場面は切り替わり、西迫の過去のトラウマが描かれます。そこには、義姉だけでなく、兄・騎一郎も深く関わっていました 。
- 悪夢から覚めた西迫は、物置で兄・騎一郎が遺した「もう一冊の日記」を発見し、物語は新たな謎を迎えます 。
◁前の記事はこちらから

▷次の記事はこちらから



