【前の住人がやってきた】全話ネタバレ解説|あらすじから感想、最終回まで

「この後どうなるの?」
「結末が気になるけれど、漫画を読む時間がない…」
「前の住人がやってきた」を読み進める中で、次々と現れる謎や伏線に、先の展開が気になって仕方がないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなあなたのために、漫画「前の住人がやってきた」の物語を最初から最新話まで、各話のあらすじと感想を交えて詳しく解説していきます。話の順番を整理したい方や、物語の全体像を把握したい方のお役に立てれば幸いです。
ただし、この記事は完全なネタバレを含みます。そのため、ご自身で初見の驚きや恐怖を味わいたいという方は、ブラウザを閉じて、まずは作品を手に取っていただくことを強くお勧めします。この記事を読むことで、物語の謎は解き明かされますが、同時に、初めて読む時の新鮮な楽しみは失われてしまうという点にご注意ください。
準備はよろしいでしょうか。それでは、ごく普通の青年・後藤の身に起きた、世にも奇妙で恐ろしいアパート102号室の物語を、一緒に振り返っていきましょう。
【前の住人がやってきた】ってどんなあらすじ?世界観や登場人物を解説(ネタバレあり)
どんなあらすじ?世界観や設定をわかりやすく解説!
物語の主な舞台は、どこにでもあるようなアパートの一室、「102号室」です 。一見するとごく普通のワンルームですが、この部屋には住む者に幸運をもたらす不思議な力があり、作中では「パワースポット」とも表現されています 。実際に、歴代の住人たちはこの部屋に住み始めてから仕事で成功を収めたり 、恋人ができたりと 、人生が大きく好転する経験をしていました。しかし、その幸運はあまりにも大きな代償を伴う、呪われたものでした。
このアパートが建つ土地には、かつて「をろずさま」と呼ばれる土着の神を祀る小さな社が存在していました 。しかし、時代の移り変わりと共に信仰は忘れ去られ、社は取り壊されてしまいます 。その跡地の真上に建てられたのが、まさにこの102号室だったのです 。地下深くに追いやられ、飢えと人々の無関心に対する怒りを抱えた「をろずさま」は、かつて祭りが行われていた毎年6月19日前後になると 、現在の住人の頭の中に直接語りかけ、「供物」を捧げるよう強く要求してくるようになりました 。
神の声は住人の精神を蝕み、その命令に抗うことは極めて困難です 。この物語は、現在の住人である後藤が神の声に追い詰められる中、彼と同じ地獄を経験し、乗り越えてきた歴代の住人たち(津田川、令香、安田など)が彼を救うために集結し、共に神の要求に立ち向かうという、恐怖と奇妙な連帯感を描いたサスペンスホラー作品になっています。
主要な登場人物を紹介
後藤
本作の主人公であり、物語の視点人物です。アパート102号室の現在の住人で、ごく普通の会社員として生活していました 。この部屋に引っ越してからは仕事で「異例の出世」と持て囃されるほど順調な日々を送りますが 、6月に入った頃から頭の中に響く謎の声に悩まされるようになります 。声は日に日に大きくなり、やがて日常生活に支障をきたすほど精神的に追い詰められていきました 。そして、歴代住人たちに真実を問いただされた末、自らが神の要求に応じて「供物」を捧げたこと、つまり「人を殺した」という衝撃的な事実を告白します 。
津田川
後藤の前に102号室に住んでいた「前の住人」です 。物語の冒頭で後藤の部屋に突然現れ、彼を物語の核心へと引きずり込むきっかけとなる人物になります。突然トイレに駆け込む など突飛な言動が目立ちますが、回鍋肉 やサンドイッチ を作るなど、料理の腕は確かです。彼もまた「をろずさま」の声に苦しみ、その影響で恋人だったサエコを失うという悲しい過去を持っています 。後藤を救うために、強い使命感を持って102号室へやって来ました。
令香
津田川の前に住んでいた「前の前の住人」にあたる女性です 。彼女が住んでいた頃は清楚なOLで 、部屋の「パワースポット」効果により仕事で成功し、ハイスペックな恋人も手に入れるなど、順風満帆な生活を送っていました 。しかし、現在は当時とは雰囲気が一変し、どこか投げやりな様子で夜の仕事に就いています 。彼女の口から語られる「後悔」という言葉が 、この部屋がもたらす幸運の裏にある代償の大きさを示唆しています。
安田
令香の前に住んでいた「前の前の前の住人」で、歴代住人たちの中ではリーダー的な役割を担う冷静沈着な男性です 。自ら国会図書館へ足を運び、この土地の歴史を調査することで、忘れられた神「をろずさま」の存在と呪いの正体を突き止めました 。彼の存在によって、それまで断片的だった怪奇現象の数々が、一つの明確なルールを持った事象として後藤と読者に提示されます。物語の謎を解き明かす解説役としても重要なキャラクターです。
【前の住人がやってきた】最終回まで全話ネタバレ・あらすじ解説
1話ネタバレはこちら
主人公の青年・後藤が暮らすアパート102号室に、ある雨の降る深夜、不気味な男が訪ねてきます。男は自らを「この部屋の前の住人」だと名乗り、後藤の制止を振り切って強引に部屋へ上がり込みました。津田川と名乗る男は、この部屋が住人に幸運をもたらす一方で、一度部屋を出るとそのすべてを失ってしまう呪われた場所であることを示唆します。彼の出現により、後藤の平穏だったはずの日常は、少しずつ狂い始めていくのでした。

【感想】 物語の導入として、これ以上ないほどの引き込まれる第1話でした。インターホン越しの不気味な目や、表札もないのに名前を知られているという謎、そして「前の住人」という不穏なパワーワード。ホラー作品の王道をしっかりと押さえつつも、津田川が作る中華料理が意外と美味しいといったユーモラスな一面もあり、単なる恐怖譚ではない、先の読めない展開に一気に心を掴まれます。この部屋がもたらす「幸運」と「不幸」の正体とは一体何なのか、読者の好奇心を強く刺激する見事な幕開けだと感じます。
2話ネタバレはこちら
前の住人・津田川は、かつて恋人だったサエコと、この部屋の呪いのせいで会えなくなったという悲しい過去を語り始めます。彼は部屋の畳をめくり、その下にびっしりと貼られた大量の御札と、中央に広がる不気味な黒いシミを後藤に見せつけました。これが「俺らの人生を狂わせた存在」だと告げ、後藤も自分と同じ運命を辿ると予言します。混乱する後藤の前で事態が緊迫する中、今度は「前の前の住人」を名乗る若い女性・令香が現れ、物語はさらに混沌としていきます。

【感想】 畳の下に広がるおびただしい数の御札という視覚的な恐怖に、思わず息を呑んだ読者も多いのではないでしょうか。この展開により、津田川が単なる狂人ではなく、彼もまたこの部屋の被害者の一人であることが明らかになり、物語に一層の深みが出てきました。そして、ラストで登場する新たな住人・令香。恐怖が加速していく中で投入される予想外のキャラクターに、これはホラーなのか、それともブラックコメディなのか、ジャンルの境界線が分からなくなるような独特の面白さを感じます。
3話ネタバレはこちら
「前の前の住人」である令香もまた、この部屋が幸運を呼び込む「パワースポット」であったこと、そしてその幸運の果てに大きな「後悔」をした過去を語ります。彼女の話の最中、今度は「前の前の前の住人」を名乗るフード姿の男・安田が当たり前のように部屋へ入ってきました。彼は「夜明けまで時間がない」と告げると、部屋にブルーシートを敷き始めます。「血がついたら面倒」という彼の不吉な言葉と共に、後藤の背後に黒い影が迫り、彼の絶叫で物語の幕が閉じられました。

【感想】 歴代の住人が次々と集結し、さながら奇妙な同窓会のような様相を呈してきたのには、恐怖の中にも思わず笑ってしまいました。しかし、4人目の住人である安田の登場で、物語の空気は一変します。「血」や「作業」といった不吉なキーワードが飛び出し、物語は一気に最終局面のような緊迫感に包まれました。幸運の代償として、この部屋で一体どんな恐ろしい儀式が行われようとしているのか。コメディとシリアスの巧みな緩急が、読者を飽きさせません。後藤の悲痛な叫びで終わるラストは反則的で、続きが気になって仕方なくなります。
4話ネタバレはこちら
後藤の絶叫の原因は、天井から落ちてきた照明器具でした。緊迫した空気も束の間、一同は津田川の作ったサンドイッチで腹ごしらえを始めます。その中で、この部屋の呪いの正体が、忘れられた神「をろずさま」であり、住人は年に一度、神に「供物」を捧げるよう、頭の中に響く声で強制されることが安田の口から語られました。追い詰められた後藤は、ついに自分が「をろずさま」に供物を捧げたこと、そして「人を殺した」ことを涙ながらに告白します。

【感想】 物語の根幹を揺るがす重要な事実が次々と明かされる、圧巻の第4話でした。呪いの正体が単なる幽霊などではなく、忘れられた神の怒りだったという壮大な背景には驚かされます。そして、これまで不審者でしかなかった歴代住人たちが、実は同じ苦しみを乗り越え、次の住人を救うために必死で行動していたという関係性には、胸が熱くなりました。ラストの後藤の衝撃的な告白により、彼は単なる被害者ではなくなり、物語はより深く、おぞましい領域へと足を踏み入れたように感じます。


