【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】1話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】第1話をネタバレありでわかりやすく解説する
廃墟のように荒れ果てた教室。割れた窓ガラス、落書きだらけの壁や机が、物語の不穏な幕開けを静かに告げています 。この物語は、一人の高校生の失われた過去を巡る、壮絶な記憶の物語です。主人公である斎藤悠介(さいとう ゆうすけ)は、一見するとどこにでもいる普通の高校生。しかし、彼には高校に入学するまでの15年間の記憶がありません 。彼の空白の過去には、一体何が隠されているのでしょうか。第1話から、物語は読者を一気に引きずり込んでいきます。
平凡な日常と、不確かな記憶
失われた15年間と幼馴染の環
物語は、主人公の斎藤悠介が友人たちと教室で談笑する、ありふれた高校生の日常から始まります。手相を見ながら「ダレのナニを揉んでみたいなーって」とくだらないことを考えている悠介 。友人たちも「おっぱいの前にまずチュウだろ」などと囃し立て、平和で微笑ましい時間が流れています 。
そこへ現れたのが、幼馴染の環(たまき)ちゃんです 。彼女は呆れたように悠介の頭を叩き、「バイトでしょ?さっさと仕度する!」と促します 。二人のやり取りからは、気兼ねなく付き合える親密な関係性がうかがえます。
帰り道、環は「チュウしたらさー 記憶戻るんじゃねーの?」と、まるで昔話になぞらえるように、軽い調子で悠介に問いかけます 。この言葉をきっかけに、悠介が抱える深刻な事情が明らかになります。彼は、高校に入るまでの15年分の記憶をゴッソリと失っていたのです 。友人たちはその事実を面白がっているようですが 、悠介本人にとっては深刻な問題です。
そんな彼の状況を理解した上で、環は「試してみちゃう?」と大胆に提案します 。この一言が、穏やかだったはずの日常に、大きな波紋を広げることになるのです。
悪夢のフラッシュバックと明かされる過去
ファーストキスと脳裏をよぎる異変
環からの突然の提案に戸惑いながらも、二人はキスを交わします 。しかし、悠介にとって初めてのキスは 、甘い記憶にはなりませんでした。その瞬間から、彼の様子に異変が現れます。バイト先の店でも、心ここにあらずといった状態でミスを連発 。同僚たちは、初めてのキスに動揺しているだけだとからかいますが、悠介の抱える動揺は、それとは質の違う、もっと暗く、重いものでした。
背中に刻まれたおびただしい傷跡
バイト仲間の一人、シュウと呼ばれる金髪の青年は、悠介のただならぬ様子に気づいていました。着替えのためにロッカールームに入った悠介。シュウはそこで、衝撃的な光景を目の当たりにします。悠介が脱いだシャツの下から現れたのは、背中一面に広がる、おびただしい数の火傷の痕でした 。
あまりの痛々しさに言葉を失う悠介に対し、シュウは「毎度毎度そんなふうに見つめられたら照れちゃうぜ」と冗談めかして言いますが、その表情はこわばっています 。悠介が「ソレに慣れちまったら友達じゃないような気がしてさ」とぽつりと漏らした言葉 。これが引き金となり、シュウは重い口を開き、自らの壮絶な過去を語り始めます。
「悪魔」と呼ばれた少年の正体
熱湯風呂という名の残虐なイジメ
シュウは、中学時代にクラスのボス的な存在から凄惨なイジメを受けていたことを告白します 。暴力やパシリ、カツアゲは日常茶飯事でした 。そして、あの背中の火傷は 、イジメの主犯格がテレビ番組を真似て行った、「お笑いの熱湯風呂ガマン大会」という名の、残虐なリンチによるものだったのです 。
「もし声を出さずにガマンし続けたら仲間にしてやる」 。その言葉を信じ、歯を食いしばって地獄の苦しみに耐えたシュウ 。しかし、主犯格の少年は、熱湯を浴びて苦しむシュウの姿を見て、腹を抱えて笑っていました 。この経験から、シュウは「悪魔とか怪物ってのはゲームやマンガの世界だけの話じゃねぇって」「現実にもいるんだな」と悟ったと語ります 。
お前が、俺を苦しめた「悪魔」だ
シュウはイジメから逃げるため、親に頼んで転校までしました 。そうして、ようやく手に入れたはずの平穏な日々。しかし、その悪魔は再び彼の前に現れたのです 。
そして、シュウは目の前の男を、悠介をまっすぐに指さして言いました。
「お前だよ 斎藤悠介」
あまりに突然の告白に、悠介は何が何だかわかりません 。しかし、シュウの態度は豹変します。悠介を突き飛ばし、殴りつけながら、記憶を失っているがゆえの「友達じゃねぇのか?」という無邪気な問いかけ に対し、「ソレがいっっっちばんムカツクんだよ」と、溜め込んだ憎悪を爆発させるのです 。
突きつけられる罪と復讐の始まり
火傷だけではない、数々の非道な行い
シュウの口から語られる衝撃の事実は、熱湯リンチだけにとどまりませんでした。彼は、悠介が犯したとされる罪を、次々と突きつけます。
「この火傷も」「宮田の骨折も」「一ノ瀬強姦したのも」「アイツを殺したのも!!!」
「殺した」という、あまりにも重い言葉 。悠介は、自分がそんな恐ろしい罪を犯した張本人であると告げられ、ただ立ち尽くすしかありません。
未来永劫、過去に復讐され続ける運命
シュウは、絶望に染まる悠介に、冷たく言い放ちます。「たとえお前が忘れても」「俺達は絶対に忘れない」と 。それは、決して消えることのない被害者たちの叫びでした。
そして、物語の最後に突きつけられる、戦慄の復讐宣告。
「これからオマエは未来永劫 過去に復讐され続けるんだ」
平凡な高校生だったはずの斎藤悠介。しかし、彼の失われた過去は、彼自身が「悪魔」と呼ばれた、おぞましい罪に満ちていました。記憶のない主人公は、これから過去の罪とどう向き合っていくのでしょうか。シュウの言うことは、すべてが真実なのでしょうか。第1話から、読者は深い謎と恐怖の渦に突き落とされます。この先に待つ展開から、目が離せません。
まとめ【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】1話を読んだ感想(ネタバレあり)
第1話を読んで、まず感じたのは、日常から非日常へと突き落とされるような、ジェットコースターのような展開の巧みさです。前半の、どこにでもあるような高校生の甘酸っぱくも平和な日常風景が、後半の凄惨な過去の告白をより一層際立たせています。
何より衝撃的だったのは、読者が感情移入しかけていた主人公の悠介が、実は加害者側の、それも「悪魔」とまで呼ばれる存在だったというどんでん返しです。人の良さそうな現在の彼と、シュウが語る残虐非道な過去の彼との間に横たわるギャップが、物語全体に不気味な深みを与えているように感じます。
「記憶がない」ということは、犯した罪が消えるわけではない。この物語は、そんな当たり前でありながら非常に重いテーマを、私たちに突きつけてきます。シュウの憎悪と恐怖に歪んだ表情、そして「未来永劫、過去に復讐され続ける」という最後のセリフは、読後も脳裏に焼き付いて離れません。
悠介は本当に悪魔だったのか、それともシュウの告白には何か裏があるのか。そして、悠介が犯したとされる「殺人」とは一体何なのか。謎が謎を呼ぶ展開に、ページをめくる手が止まりませんでした。これは、単なるサスペンスではなく、人間の罪と罰、記憶とアイデンティティを問う、深い物語になりそうです。今後の展開が非常に気になります。
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