【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】20話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】第20話をネタバレありでわかりやすく解説する
前回、母親が何者かに襲われ、悠介の日常は完全に崩壊しました。第20話では、絶望の淵に立たされた悠介に、会澤が悪魔の選択を突きつけます。愛する人を守るため、そして押し寄せる復讐の波に抗うため、悠介は自らの在り方を決定する、重大な決断を下すことになるのです。
悪魔への回帰、会澤の囁き
復讐の波を鎮める唯一の方法
公園で会澤と対峙する悠介。会澤は、悠介の母が襲われたことで、復讐者たちの憎悪をせき止めていた「壁」に穴が開いたと語ります。そして、その憎しみの波を鎮める方法は一つしかないと、悠介に囁くのです。それは、悠介が、かつての残虐非道な「元の悪魔」に戻ることでした。
人間として流されるか、悪魔として飲み込むか
会澤は、悠介に二つの道を示します。一つは、今のまま「ただの人間」として、これから押し寄せる憎悪の波に無抵抗に流される道。もう一つは、**「本来の悪魔に戻って、その波をより大きな力で飲み込む」**道。悠介は、それが自分を巻き込みたくないという会澤の保身のための言葉だと見抜きながらも、その選択肢の重みを噛みしめるしかありませんでした。
一人きりの食卓と、母の「秘伝のレシピ」
上手く作れないカレー
悠介は、誰もいない自宅に帰り、約束通り母のためにカレーを作ります。しかし、自分で作ったカレーは、母の味には程遠く、美味しくありません。「こんなカレー一人じゃ食いきれねェよ」。がらんとした家の中、一人きりの食卓で、悠介は孤独と無力感を痛感します。
途切れた言葉と、最後の優しさ
悠介は病院へと向かいます。すると、母がわずかに意識を取り戻しました。彼女は、朦朧としながらも、悠介のためにカレーの「秘伝のレシピ」を伝えようとします。「玉ねぎはね あめ色になるまで炒めて」「隠し味にチョコレートを…」。それが、彼女の息子への愛情でした。悠介は、誰にやられたのかと問いかけますが、母は何も言わずに再び眠りにつきます。彼女は、息子を想うがゆえに、真実を語ろうとしなかったのです。
涙を拭いて、悪魔は微笑む
俺はこんなコトで涙なんて流さねェだろ
自宅に戻った悠介は、自分の不甲斐なさに涙を流します。しかし、彼はその涙を、自らの手で拭います。そして、自分に言い聞かせるのです。**「俺はこんなコトで涙なんて流さねェだろ」**と。彼が思い描くかつての「悪魔」は、悲しみや悔しさで涙を流したりはしない。遊びに夢中になり、腹がよじれるほど笑った時にしか、涙は見せないはずだからです。
「だって俺は悪魔なんだから」
悠介は、決断しました。人間らしい感情も、罪悪感も、全て心の奥底に封じ込める。そうしなければ、母を守れない。そうしなければ、この地獄を生き抜けられない。
「だって俺は悪魔なんだから」 「…そうだよな?」
鏡のように静かな瞳で、そう呟く悠介の口元には、不気味な笑みが浮かんでいました。それは、かつての「悪魔」と呼ばれた少年、斎藤悠介の完全な復活を告げる、静かな宣言だったのでした。
まとめ【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】20話を読んだ感想(ネタバレあり)
第20話は、絶望的な状況の中で、悠介が下した悲痛な決断が描かれた、非常に重く、そして重要な回でした。特に、病院での母親とのシーンは、涙なしには読めませんでした。意識が朦朧とする中で、息子のためにカレーのレシピを伝えようとする母の愛情。その愛情が、結果的に悠介を「悪魔」へと回帰させる引き金になってしまうという構図は、あまりにも皮肉で、切ないです。
そして、ラストシーンの悠介の変貌には、鳥肌が立ちました。彼は、悪に染まることを選んだのではなく、大切なものを守るための「鎧」として、自ら「悪魔」の仮面を被ることを選んだのです。しかし、一度解き放ってしまった悪魔を、彼は本当にコントロールできるのでしょうか。
物語はここで大きな節目を迎え、第3巻へと続いていきます。悪魔として再誕した悠介が、これからどんな行動を起こすのか。そして、彼を待ち受けるさらなる復讐者たちとの戦いは、より激しく、より残酷なものになっていくに違いありません。
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