【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】23話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】第23話をネタバレありでわかりやすく解説する
前回、新たな復讐者・三田村を、悪魔的な狂気で退けた悠介。第23話では、彼が被った「悪魔の仮面」のその後と、その仮面の下に隠された、悠介自身の本当の心が描かれます。そして、その様子を見ていた会澤は、悠介に対して静かな「失望」を抱くのでした。
母へ捧げる試作3号カレー
束の間の、温かい食卓
物語は、悠介が母の入院する病院を訪れる、心温まるシーンから始まります。彼は、母のために自作した「悠介スペシャルカレー 試作第3号」を振る舞います。母は「悠介が私の為に作ってくれたカレーが不味いわけ…」と、涙ながらにそのカレーを頬張ります。病院で一人で食べる食事よりも、家族と食べる手作りカレーは何倍も美味しい。二人の間には、失われた時間を取り戻すかのような、穏やかな時間が流れていました。
「凪の海のように穏やかな夏休み」
その後、会澤と会った悠介。会澤は、悠介の身の回りで、その後おかしな出来事が起きていないことを確認します。悠介が「悪魔」として振る舞ったことで、復讐者たちの動きは完全に止まっていました。悠介は、**「目論見通りだよ お前のな」**と皮肉を言いますが、会澤の計画は、表面的には成功しているかのように見えたのです。
悪魔の仮面と、剥がれ落ちた本心
「あれが限界だったね」
しかし、会澤は全てお見通しでした。場面は、三田村たちとの一件の直後に移ります。会澤は、悠介の「悪魔」としての振る舞いを、「傍目にはね 昔の悠介そのものだったから」と評価しつつも、**「あれが限界だったね」「あれ以上演じ続けてたら はがれていたよ」**と、悠介の強がりの限界を冷静に見抜いていたのです。
悠介が本当に感じた「嫌悪感」
そして会澤は、悠介に問いかけます。相手を完全に屈服させたあの瞬間、君は一体何を感じたのか、と。その問いに対し、悠介は正直な胸の内を吐露します。彼が感じていたのは、力への陶酔でも、復讐の快感でもありませんでした。それは、「吐きたくなるほどの…嫌悪感」。彼の中に根付いた現在の良心は、悪魔の行いを、ただただ拒絶していたのです。
羽化しない蛹への失望
去り際の会澤が残した言葉
悠介の本心を聞いた会澤は、どこか興味を失ったかのように、「スーパーの特売始まっちゃう!」と、その場をあっさりと立ち去ってしまいます。彼の関心は、もはや悠介の心の内にはないようでした。
「結局君は蛹のままなんだね」
そして、一人になった会澤は、悠介に対して、静かに、しかし決定的な評価を下します。
「これだけお膳立てしても 結局君は羽化もせず いつまでも蛹のままなんだね」
会澤が望んでいたのは、過去の罪に怯える悠介でも、悪魔のフリをする悠介でもなく、かつて自分を魅了した、本物の「悪魔」の復活でした。しかし、悠介は悪魔に成りきれなかった。その事実に、会澤は深く失望していたのです。
まとめ【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】23話を読んだ感想(ネタバレあり)
第23話は、悠介の内面を深く掘り下げた、非常に重要な回でした。彼が悪魔の仮面を被ったのは、あくまで母を守るための「演技」であり、その本心では、自らの行いに強烈な嫌悪感を抱いていた。この事実が明らかになったことで、彼の人間性が失われていないことに、読者としては少しだけ安堵します。
しかし、その一方で、会澤の底知れない不気味さが際立ちました。彼は、悠介が更生することを望んでいるのではなく、かつての「悪魔の親友」が復活することを、心から望んでいたのです。彼の歪んだ友情とも執着ともつかない感情が、今後の物語にどのような影響を与えていくのか、目が離せません。
「羽化しない蛹」。会澤にそう評された悠介は、この先、一体どんな存在になっていくのでしょうか。悪魔にも人間にも成りきれない、その中途半端な状態が、彼をさらなる苦悩へと導いていくのかもしれません。
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