【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】28話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】第28話をネタバレありでわかりやすく解説する

前回、悠介と環は、全ての謎が眠る思い出の町へと、二人で歩き始めました。第28話では、記憶の舞台を前にしても何も感じられない悠介と、彼を支えようとする環の「思い出話」が描かれます。そして、二人の関係の原点を振り返る中で、悠介は自らの本当の気持ちに気づき、新たな覚悟を決めるのです。

記憶の町、感情の不在

風景は同じ、でも心は空っぽ

悠介の記憶を頼りに町を散策する二人。潰れたボウリング場、スナックアケミ。悠介のスケッチにあった風景が次々と現れますが、彼の心は動きませんでした。「景色は全部思い出した記憶と一緒なのに…何一つ浮かばねェんだわ」。焦りと失望に沈む悠介。その様子は、見ているこちらも辛くなるほどでした。

「これはデートだよ!」

そんな悠介の硬い表情を、環の明るさがほぐします。「もっと楽しくいこーよ悠介!」「これはデートだよ!!」。彼女は、この陰鬱な真実探しの旅を、あくまで二人の「デート」なのだと言い張ります。その優しさが、悠介の心を少しずつ解かしていくのでした。

二人の「思い出話」

唐突すぎた最初の告白

「何話しゃいいんだ?」という悠介に、環は二人の出会いを振り返り始めます。それは、記憶を失った悠介が、彼女を見るなり突然「俺は…好き…だ」と告白してきた、あまりに唐突な出会いでした。その時のことを、環は「今思い返しても酷すぎて笑えるよね」と、楽しそうに語ります。

ドラマチックすぎた始まり

初対面の相手からのいきなりの告白。普通なら気味悪がって終わりのはずです。しかし、環は悠介を受け入れました。それは、入学直後に行方不明になり、半年後に記憶喪失で帰ってきた、という彼のドラマチックすぎる境遇に、思わず興味を惹かれてしまったから。彼女の好奇心が、二人の関係の始まりだったのでした。

本当の気持ち

きっかけは一ノ瀬、でも今は…

環は、二度目の告白の時に自分が感じていた不安を、悠介に打ち明けます。悠介は、空っぽの自分を埋めるために、自分を利用しているだけではないのか、と。そして、核心を突く質問をします。悠介が自分を好きになったのは、自分の向こうにいる「一ノ瀬さん」を見ていたからではないか、と。

「今俺が好きなのは…おま…」

その言葉に、悠介はもう目を逸らすことができませんでした。彼は、環への想いを、ついに自分の言葉で伝えようとします。

「きっかけは一ノ瀬かもしれねーけど」「だけどっ 今俺が好きなのは…」

たとえ始まりが何であれ、今、心から想っているのは環なのだと。その告白は、二人の絆を、本物へと変える、何よりも大切な言葉でした。

手を取り合って、未来へ

「もっと知りたいんだ、二人のコト」

悠介の本当の気持ちを受け取った環は、優しく微笑みます。そして、「だからさ もっと知りたいんだ」「悠介と一ノ瀬さんがここで日々どう生きてきたのかを…」。彼女は、悠介の過去ごと、全てを受け入れる覚悟を決めていたのです。

失くした俺を、探しに

環のその言葉に、悠介もまた、覚悟を決めます。もう、一人ではない。愛する人と共に、失った自分を探しに行く。そして、一ノ瀬明里に会いに行く。二人は、再び強く手を取り合い、全ての始まりの場所、「みどり荘」へと向かうのでした。

まとめ【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】28話を読んだ感想(ネタバレあり)

第28話は、これまで張り詰めていた物語の中で、一息つけるような、それでいて非常に重要な、素晴らしい回でした。悠介と環の関係が、過去の呪縛を乗り越え、本物の愛へと昇華する過程が、とても丁寧に描かれていたと思います。

特に、環のキャラクターの魅力が際立っていました。ただ悠介を心配するだけでなく、彼の過去とも向き合い、時には彼の本心を引き出すために、厳しい言葉を投げかける。彼女の強さと優しさこそが、悠介が前に進むための、最大の原動力になっているのだと感じます。

悠介が、環への本当の気持ちを自覚したことで、彼の「過去探し」は、もはや単なる罪の清算ではなくなりました。過去と向き合い、未来を掴むための、前向きな旅路へと変わったのです。二人の手の中にある温もりが、この先に待つであろう、どんな残酷な真実にも打ち勝ってくれることを、心から願いたくなるような、希望に満ちた回でした。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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