【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】31話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】第31話をネタバレありで解説する
前回、中学時代の全ての罪を「リセット」し、平穏な高校生活を送るという、悠介の恐るべき計画が語られました。第31話では、その計画の顛末が描かれます。新しい高校、新しい友人。完璧なスタートを切ったはずの彼の「キャラメイク」は、しかし、内に潜む「悪魔」の飢えと渇きによって、早々に破綻を迎えるのでした。
退屈な「平穏」と、悪魔の囁き
ただの苦痛でしかない幸福な日々
悪魔の過去を切り捨て、新天地の高校に入学した悠介。彼が手に入れたのは、思い描いていた通りの、何事もなく平穏で幸福な日々でした。しかし、入学からわずか一週間で、彼はその全てが**「ただの苦痛でしかない」**という事実に気づいてしまいます。友人の恋の悩みも、他愛のない教室の雑談も、彼の心を少しも満たしてはくれませんでした。
友達への、悪魔的な助言
友人が片思いの相手に恋人がいると知って落ち込んでいると、悠介は悪びれもせずに言い放ちます。「何か弱みでも握れよ」。盗聴器でも仕掛ければいい、と。その常軌を逸した助言に、友人たちは「お前時々なんか怖ェ」と、彼の底知れない闇の片鱗を感じ取ります。悠介は笑ってごまかしますが、彼の本性は隠しきれるものではありませんでした。
満たされない飢えと渇き
白球を追う少年たちの「無意味」
悠介は、普通の高校生を演じるため、野球部に入部します。しかし、甲子園を目指し、必死に白球を追う仲間たちの姿を見ても、彼の心は動きません。「何でそんなに必死になれるんだ?」。彼には、仲間たちの情熱が、全く無意味なものにしか見えなかったのです。
俺の心を波立たせてくれよ
悠介が本当に求めていたのは、平凡な日常ではありませんでした。それは、かつて自分が仕掛けた「ゲーム」で味わった、体の底から湧き上がってくるような興奮と、全てを支配する快感でした。普通の高校生活では決して満たされることのない、悪魔の飢えと渇きが、彼の心を苛んでいたのです。
人間の皮を被った悪魔
無理だったってこった
練習中、ボールが頭に当たり、保健室で手当てを受ける悠介。彼は、自らの血が滲む掌を見つめながら、静かに悟ります。
「かつて悪魔呼ばわりされた俺が人間の皮被って生き続けるなんて 無理だったってこった」
一度知ってしまった、あの快感。人間のフリを続けることの限界。彼は、自らの「リセット」計画が、完全に失敗に終わったことを認めざるを得ませんでした。
「久しぶりね、斎藤悠介」
もう、いい。全てを投げ出し、悪魔として生きるしかない。そう決意した悠介が、猫のユースケと共に学校を去ろうとした、その時でした。橋の上で、彼は一人の少女とすれ違います。それは、彼が最も会いたくなかった、そして、あるいは最も会いたかった人物、一ノ瀬明里その人でした。
まとめ【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】31話を読んだ感想(ネタバレあり)
第31話は、悠介というキャラクターの、根源的な異常性を見事に描き出した回でした。多くの物語では、過去を捨てて手に入れる「平穏な日常」は、守るべき大切なものとして描かれます。しかし、悠介にとって、それは耐え難い「退屈」でしかなかった。この価値観の倒錯こそが、彼が「悪魔」であることの、何よりの証明だと感じました。
そして、彼の「リセット」計画が、誰かからの復讐ではなく、彼自身の内なる渇きによって破綻するという展開も、非常に皮肉で面白いです。彼が人間を演じきれず、全てを投げ出そうとした、まさにその瞬間に、全ての元凶である一ノ瀬明里と再会する。この運命の巡り合わせには、鳥肌が立ちました。
彼の失踪の謎が、ついに明かされました。彼は、自らの意志で、再び悪魔の道へと戻ろうとしていたのです。そんな彼の前に現れた明里は、果たして救いなのか、それとも、さらなる地獄への案内人なのか。物語は、最も危険な二人が再会したことで、次なるステージへと突入します。
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