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【問題な王子様】16話ネタバレ完全版

ずっちー

【問題な王子様】16話をネタバレありで解説する

悪夢にうなされたエルナの早朝の散歩が、予期せぬ出来事を引き起こします。一方、前夜のパーティーで泥酔したビョルン王子は、思いがけない場所で朝を迎えることになりました。第16話は、そんな二人の運命が再び激しく交錯する様子を描き出します。

悪夢と郷愁、エルナの早朝の散歩

エルナは、巨大な獣に追いかけられる悪夢にうなされ、まだ薄暗い午前4時前に目を覚ましました。再び眠りにつくことを諦めた彼女は、静かに身支度を整えます。窓の外に広がるシュベリンの街並みを見下ろしながら、彼女の心によぎるのは故郷バフォードの風景。赤いケシの花が咲き乱れる野原、睡蓮の池、果樹園… パーベルとの再会が、彼女の郷愁を一層強くしているのかもしれません。

いつもなら造花作りに没頭する時間ですが、その日はどうしても気分が乗らず、エルナは一人で散歩に出かけることにします。メイドのリサを起こすには早すぎる時間であり、最近ではシュベリンの地理にも慣れてきたという自負もありました。一番大切にしている、手首にビーズ飾りのついたレースの手袋は、美術展でビョルン王子に不躾なキスをされたことを思い出し、あえて別の手袋を選びます。彼への不快感は、まだエルナの中で燻っていました。

夜明けの広場での衝撃的な再会

夜明け前のタラ通りは、人通りもなく静まり返っていました。エルナは、パーベルに手紙を書くべきか、それとも直接訪ねるべきか、そんなことを考えながらゆっくりと歩を進めます。彼を困らせたくないという思いから、なかなか行動に移せずにいるのでした。

その時、エルナは広場の中央、大きな噴水の手すりに浮浪者のように横たわる男を発見します。先日リサが持ってきた新聞に載っていた犯罪小説の一場面を思い出し、「もしや襲われたのでは?」と恐怖を感じながらも、エルナは勇気を出してその男に近づきます。男の足元には、奇妙な形をした金色の物体(前話でビョルンが手に入れた鹿の角のトロフィー)が転がっていました。

「大丈夫ですか?」と声をかけ、さらに近づいたエルナ。男が顔を覆っていた腕を下ろした瞬間、彼女は息をのみます。そこにいたのは、泥酔しきったビョルン王子その人だったのです。エルナは、この予期せぬ再会に後悔の念を覚えながらも、彼から漂う強い酒の匂いで状況を理解します。

泥酔した王子とエルナの激しい攻防

エルナが後ずさりしようとした瞬間、ビョルンは彼女の手首を掴みます。「エルナ・ハルディ? なぜ、ハルディさんがここにいるのか」と、呂律の回らない声で尋ねるビョルン。エルナは「手を放してください! そうしなければ叫びます!」と必死に抵抗しますが、ビョルンは彼女の手を離そうとせず、むしろその力は強まるばかりでした。

「ここは王子の私有地ではない」とエルナが抗議しても、ビョルンはクスクスと笑うばかり。「本当に自分に売られたいのか」と、以前エルナがトーマス・バーデンから受けた侮辱を彷彿とさせるような言葉を投げかけます。その言葉にエルナの怒りは頂点に達し、「王子は適正ラインというものを知らないのか!」と叫びますが、ビョルンは「分かるように見えるのか」と嘲笑うかのように言い返すのでした。

もはや会話にならないと悟ったエルナ。しかし、その時、よろめいたビョルンがエルナに倒れかかり、二人はもつれ合ったまま地面を転がってしまいます。エルナの上に覆いかぶさるビョルンの体、首筋にかかる熱い息。恐怖に駆られたエルナは「助けてください!」と悲鳴を上げ、彼を殴りつけますが、ビョルンは手首を掴んだまま離しません。その時、エルナの手が偶然、そばに落ちていた金色の鹿の角のトロフィーに触れます。もはや理性的な判断力を失っていたエルナは、そのトロフィーを握りしめ、無我夢中でビョルンの背中を何度も殴りつけるのでした。

激しい痛みにビョルンがようやく目を覚ましたのと、騒ぎを聞きつけた大公家の御者と侍従が駆け寄ってきたのは、ほぼ同時でした。エルナは侍従の助けを振り払い、トロフィーを握りしめたまま、怒りと屈辱に震えながらビョルンを睨みつけ、その場を逃げ去ります。意識が遠のく中、ビョルンが見たのは、朝日の中で黄金に輝く鹿の角のトロフィーを手に、走り去っていくエルナの後ろ姿でした。

第16話は、エルナとビョルンの関係が最悪の形で再燃する衝撃的な展開となりました。エルナの行動は、そしてビョルンのこの醜態は、彼らの運命にどのような影響を与えていくのでしょうか。物語は息もつかせぬ緊張感の中で次へと続きます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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