【問題な王子様】25話ネタバレ完全版

【問題な王子様】25話をネタバレありで解説する
父からの暴力と、社交界からの心無い視線。エルナの心は限界に近づいていました。第25話では、そんな彼女の悲痛な決断と、彼女を案じる人々のそれぞれの想い、そしてビョルン王子の無関心を装った行動が描かれます。
父への問いかけ、エルナの魂の叫び
タブロイド紙の記事を読んだ父ウォルター・ハルディ子爵の怒りは凄まじく、エルナは再び激しい折檻を受けます。エルナの「商品価値」がスキャンダルによって下がったと信じ込むウォルターは、「良い結婚相手を全て逃すことになった。どうするつもりなのか!」と娘を罵倒します。
床に打ちのめされながらも、エルナは震える声で父に問いかけます。「本当に自分を売るためなのですか? 人々が噂しているように、お父様は私のことを結婚市場で高く売る品物のように思っているのですか?」と。それは、父親への最後の信頼を確かめようとするかのような、エルナの魂の叫びでした。しかし、ウォルターは「この取引を先に提案したのはエルナだ」「未婚のまま老いていく境遇だったエルナを連れて来て、良い結婚先を探してあげようとする父親の努力に感謝しろ」などと開き直り、聞く耳を持ちません。
そして、ウォルターはエルナに対し、「もう一度でたらめなことをしたら、あの田舎の家(バーデン家の邸宅)をすぐに売り払う」と、最も卑劣な脅迫の言葉を投げつけるのです。エルナにとって唯一の希望である祖母の家を盾に取られ、彼女はなすすべもなく再び父の暴力に屈するのでした。
ビョルン王子の夜の徘徊とエルナへの無関心(?)
その頃、ビョルン王子は社交クラブでカードゲームに興じていました。友人たちの間では、エルナ・ハルディに関するスキャンダルが依然として格好の話題となっていましたが、ビョルンは表面上、全く意に介さない様子を見せています。
しかし、その夜更け、ビョルンは一人でタラ広場をさまよっていました。そして、時計台の下でうずくまるように立ち尽くし、やがて自分のいる方とは反対の方向へ走り去っていくエルナらしき女性の姿を目撃します。いつも彼女に付き添っているはずのメイド、リサの姿は見えません。ビョルンは、「こんな時間に貴族の令嬢が一人で何を?」と一瞬訝しみますが、すぐに「抜け目のない俗物だとしても、十数年間田舎で暮らしてきた淑女には、全く慣れないことだろう」と、彼女の奇妙な行動を自分なりに解釈し、それ以上深く追求しようとはしませんでした。
パーベルの憂慮とエルナを救う決意
一方、画家のパーベル・ロアーは、レマン伯爵家での晩餐会に出席していました。そこでも、エルナとビョルン王子のスキャンダルや、エルナとレマン伯爵との縁談話が、貴族たちの興味本位な噂の的となっていました。エルナの純粋さを知るパーベルは、彼女が悪意ある噂に晒され、まるで商品のように扱われていることに心を痛めます。
「このままエルナを放っておくわけにはいかない」――パーベルは固く決意します。彼は、ハルディ子爵の企みや社交界の危険性をエルナに伝え、彼女を助け出すための具体的な方法を模索し始めます。もうすぐ手に入る絵を売った代金で、エルナとバーデン男爵夫人が暮らす家を用意することも考えていました。
深夜の訪問者、傷だらけのエルナ
その夜、パーベルが家路につくと、自宅のドアの前に人影があることに気づきます。近づいて声をかけると、そこにいたのは、顔に痛々しい傷を負い、憔悴しきった姿のエルナでした。彼女は、父の家を出て、最後の望みを託してパーベルの元を訪ねてきたのです。パーベルは、エルナの変わり果てた姿に言葉を失い、激しい怒りと悲しみに打ち震えるのでした。
第25話は、エルナが父からの暴力と脅迫によって心身ともに追い詰められ、ついにパーベルの元へと助けを求めるという、衝撃的な展開で幕を閉じます。ビョルン王子はエルナの危機に気づくことなく、彼女の存在をどこか他人事のように眺めているだけ。しかし、パーベルという心強い味方を得たエルナの運命は、これからどのように変わっていくのでしょうか。そして、エルナのこの行動が、ビョルンとの関係にどのような影響を与えるのか。物語は、息もつかせぬ緊張感の中で次へと進んでいきます。
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