【問題な王子様】27話ネタバレ完全版

【問題な王子様】27話をネタバレありで解説する
パーベルの献身的な申し出に、エルナは新たな希望を見出しました。しかし、すぐさま父の支配から逃れられるわけではありません。第27話では、父に殴られた傷が癒えるのを待ちながら、未来への準備を進めるエルナの日常と、そんな彼女に舞い込む予期せぬ知らせ、そしてビョルン王子の周辺の動きが描かれます。
傷を癒やす日々、エルナの決意と造花作り
父ウォルター・ハルディ子爵から受けた暴力の傷は深く、エルナはしばらく外出を控え、ハルディ家の自室で静かに過ごしていました。彼女は、その間も一心不乱に造花作りに没頭します。それは、かつてバーデン家の家計を支えたように、パーベルと共に新しい生活を始めるための資金を得るためであり、そして何よりも、混乱した心を落ち着かせるための、彼女にとって唯一の手段でした。
「詐欺師は父親を騙し、父親は自分を騙した。詐欺の食物連鎖の一番下で押しつぶされた馬鹿が自分だと思うと、あまりにも悔しくて自尊心が傷つき、眠るのが難しいほどだった」――エルナは、これまでの出来事を振り返り、深い絶望感に苛まれます。しかし、彼女は決して諦めませんでした。「どんな場合でも、人間の品位と尊厳を失ってはいけない」という祖父の教えを胸に、たとえ逃げ出すという選択をしたとしても、最後まで誠実に生きようと固く決意していたのです。
そんなエルナを、メイドのリサは心配そうに見守ります。「こんなに無理をさせるために始めたことではない」とエルナの身を案じるリサに対し、エルナは「大丈夫。どうせ夜明け前には他にすることもないから」と気丈に微笑むのでした。
社交界からの誘いとエルナの毅然とした対応
エルナの周囲は、依然として社交界の喧騒から完全に逃れられたわけではありませんでした。彼女の元には、多くの若い紳士たちから、「ボートレースの日に開かれる夏祭りのパーティーで、自分と一緒に船に乗って花火を鑑賞しないか」という内容の求愛の手紙が後を絶ちませんでした。これは、エルナ自身は知る由もありませんが、社交クラブで始まっていた「エルナを巡る賭け」が影響していたのです。
リサは、「その日、一緒に船遊びをする相手を見つけられないのは、若い女性たちにとってとても恥ずかしいことなので、誘いを断るだけではいけない」とエルナに助言します。しかし、エルナの決意は固く、「夜中に公然と、見知らぬ男と船に乗るなんて、とんでもない」と、それらの誘いを全て毅然として断るのでした。「半月後には別れる世の中に自分を合わせる必要はない」――夜逃げを決意した彼女にとって、もはや社交界の体面など気にする必要はなかったのです。
王妃からの突然の呼び出し
エルナが、社交界からの誘いを断る手紙を書き終えたまさにその時、メイドのリサが血相を変えて部屋に駆け込んできます。「大変です、お嬢様!」と息を切らしながらリサが告げたのは、「王妃殿下がお嬢様を呼んでいます」という、にわかには信じがたい知らせでした。
エルナは驚きのあまり言葉を失います。なぜ自分が王妃に? 父の企みがついに王室にまで及んだのか、それとも別の何か不吉な理由があるのか。エルナの心は、再び大きな不安に包まれるのでした。
ビョルン王子、アルセン公爵家へ
その頃、ビョルン王子は、弟のレオニード王太子と共に、母方の祖母であるアルセン公爵家の夏の別荘を訪れていました。これは、王妃の「おばあ様が、どれだけあなたを愛していたのか、一度、よく考えてみるように」という強い勧めによるものでした。離婚後、ビョルンは祖母であるアルセン公爵夫人とは疎遠になっていましたが、彼女が今でもビョルンを深く愛していることを、レオニードは感じ取っていました。
ビョルンは、グレディスとの離婚の真相――それが国家間の密約と、グレディスの不貞が原因であったこと――を祖母に話すべきではないかと考えるレオニードの葛藤を知る由もなく、どこか上の空で窓の外を眺めています。
第27話は、エルナが未来への一歩を踏み出そうとする矢先に、王妃からの突然の呼び出しという新たな試練に直面する一方で、ビョルン王子は自身の過去と向き合う機会を与えられるという、対照的な状況を描き出しています。王妃はエルナに何を伝えようとしているのでしょうか。そして、この呼び出しは、エルナの夜逃げ計画にどのような影響を与えるのでしょうか。物語は、ますます目が離せない展開へと進んでいきます。
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