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【問題な王子様】28話ネタバレ完全版

ずっちー

【問題な王子様】28話をネタバレありで解説する

王妃からの呼び出しという、エルナにとってまさに青天の霹靂とも言える事態。第28話では、緊張と不安の中で王妃と対面するエルナの姿と、そこで語られる衝撃の事実、そしてその後のエルナの心の動きが描かれます。

王妃との対面、緊張の中で語られる真実

シュベリン宮殿のメイドに導かれ、エルナが通されたのは、美しい庭園に設けられたティーテーブルでした。そこに待っていたのは、レチェン王国の王妃イザベル・デナイスタ。彼女は、穏やかな笑みを浮かべながらも、どこか人を寄せ付けない威厳を漂わせています。エルナは、極度の緊張から手が震え、お茶をこぼしてしまいそうになるほどでした。

王妃は、エルナに対し単刀直入に「ビョルンとどのような関係なのか。自分を欺こうとはしないように」と問いかけます。その言葉には、有無を言わせぬ迫力がありました。エルナは観念し、ビョルン王子と初めて出会った王宮の舞踏会の夜から、これまでに起こった全ての出来事を、偽りなく、そして正直に語り始めます。鹿の角のトロフィーの一件、美術展での強引なエスコート、そしてハーバー公爵夫人のパーティーでの出来事…。

エルナが、ビョルン王子から押し付けられた鹿の角のトロフィーの代価を弁償するために、造花を作りそれを売って得たお金を貯めていることを告白した時、王妃の表情に初めて変化が現れます。「ハルディさんが造花を作って、それを売って、そのお金でトロフィー代を弁償することを、ビョルンが快諾したという意味か」と、信じられないといった様子で問い返す王妃。エルナが静かに頷くと、王妃は「本当に、あの子がそうだったということですよね…」と、まるで自分の息子の奇行に呆れたかのように、気抜けした笑みを漏らすのでした。

王妃の評価とエルナの心境

エルナの話を黙って最後まで聞いていた王妃は、社交界に流れる悪意ある噂とは全く異なるエルナの純粋さや誠実さ、そして彼女が置かれている過酷な状況を理解したようでした。侍従が調査した報告書によって、エルナがハルディ家の名前を持ちながらも、実際にはバーデン家の気風の中で育った淑女であると知っていた王妃でしたが、実際にエルナと会って話を聞くことで、その印象はより確かなものとなったのかもしれません。

王妃は、エルナにそれ以上の追及をすることなく、巧みに日常的な会話へと話題を移し、エルナを安心させようとします。エルナは、王妃の慈愛に満ちたようでいてどこか厳格な、そして冷たそうでありながらも温かい眼差しに、どこかビョルン王子と通じるものを感じずにはいられませんでした。

王宮からの帰路、エルナの心は複雑な思いで満たされていました。王妃に全てを打ち明けたことで、少しは安堵したものの、自分の話がどのように受け止められたのか、そして今後どうなるのか、不安は尽きません。

造花に託す想い、エルナの日常と決意

ハルディ家の自室に戻ったエルナは、再び造花作りに没頭します。夜が更けるのも忘れ、一心不乱に花びらを切り、組み立てていくエルナ。それは、彼女にとって心を落ち着かせるための行為であると同時に、どんな困難な状況でも自分自身を見失わず、誠実に生きていこうとする彼女の強い意志の表れでもありました。

「耐えなければならない現実はいつも大きすぎて手に負えず、自分にあまり親切でない人生にエルナはもう慣れていた。時には途方に暮れて、悲しくて惨めになることもあるだろう。けれども、自分を諦めない限り、人生は悪い方向にだけ流れないということも、エルナはよく知っていた」――エルナは、そう心の中で繰り返し呟きながら、美しい造花を生み出し続けるのでした。彼女の手によって作られる一つ一つの花は、まるで彼女自身の魂の輝きのようでした。

第28話は、エルナが王妃という絶対的な権力者の前で、自身の真実を語るという大きな試練を経験する一方で、彼女の内面の強さと純粋さが改めて浮き彫りになるエピソードとなりました。王妃は、エルナの言葉をどう受け止め、そしてビョルン王子にどのような影響を与えるのでしょうか。そして、エルナの造花に託された想いは、いつか誰かの心に届くのでしょうか。物語は、静かながらも確かな変化の兆しを見せながら、次へと続いていきます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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