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【問題な王子様】29話ネタバレ完全版

ずっちー

【問題な王子様】29話をネタバレありで解説する

王妃との対面は、エルナにとって大きな出来事でしたが、それがすぐに彼女の社交界での立場を好転させるわけではありませんでした。第29話では、依然として孤立感を深めるエルナに対し、意外な人物から「親切心」が差し伸べられます。しかし、その優しさの裏には、別の顔が隠されているのかもしれません…。

社交界でのエルナの孤立と「田舎娘」への眼差し

王妃に真実を話したとはいえ、エルナ・ハルディに対する社交界の風評は、そう簡単には変わりませんでした。彼女は依然として「ハルディ家の打算的な娘」「ビョルン王子を誑かした田舎娘」といったレッテルを貼られ、多くの貴婦人たちから好奇と軽蔑の視線を浴びせられています。

エルナは、そうした周囲の悪意に心を痛めながらも、祖母の教えである「淑女としての品位」を保とうと努めます。しかし、華やかで複雑な社交界のルールや、貴族たちの腹の探り合いは、純粋な彼女にとってあまりにも理解し難いものでした。彼女は、まるで異邦人のように浮いた存在となり、孤独感を深めていくのでした。

グレディス王女からの「親切心」とその真意

そんなエルナの元に、ある日、思いがけない人物が近づいてきます。それは、ビョルン王子の元妻であり、社交界の華であるグレディス・ハードフォートでした。彼女は、美術展でのエルナとビョルンの騒動や、その後のエルナの評判を気にかけていたのかもしれません。

グレディスは、エルナに対し、まるで妹を気遣う姉のような優しい態度で接し始めます。「慣れない社交界で大変でしょう」「何か困っていることがあれば、いつでも相談に乗りますわ」などと、親切な言葉をかけるグレディス。エルナは、その突然の優しさに戸惑いながらも、社交界で唯一自分に理解を示してくれた(ように見える)グレディスに対し、徐々に心を開きそうになります。

しかし、読者はグレディスの過去の行動や、彼女がビョルンに対して抱いている複雑な感情を知っています。彼女のこの「親切心」は、本当にエルナを思ってのものなのでしょうか。それとも、エルナを利用してビョルンに近づこうという計算や、あるいはエルナを社交的に孤立させ、さらに貶めようとする巧妙な罠なのでしょうか。グレディスの美しい微笑みの裏に隠された真意は、まだ誰にも分かりません。

ボートレースの日の近づきとエルナの憂鬱

シュベリンの夏の風物詩であるボートレースの日が、刻一刻と近づいていました。それは、エルナを巡る社交クラブの男たちの「賭け」の決着の日でもあります。エルナの元には、依然として多くの紳士たちから、「ボートレースの夜に一緒に船に乗り、花火を見よう」という誘いの手紙が届き続けていました。

エルナは、それらの誘いを断固として断り続けていますが、その一方で、「もし本当に誰も誘ってくれなかったら…」という不安も感じ始めていました。リサからも、「祭りの夜に一人でいるのは、若い淑女にとってとても恥ずかしいこと」だと聞かされていたエルナ。彼女の心は、社交界の体面と、自身の矜持との間で揺れ動きます

第29話は、社交界で孤立するエルナに、グレディス王女が「親切心」という名の仮面を被って近づいてくるという、不穏な展開で幕を閉じます。エルナは、グレディスの真意を見抜くことができるのでしょうか。そして、近づいてくるボートレースの日に、エルナの運命はどのように動くのでしょうか。物語は、エルナを取り巻く人間関係がより一層複雑になり、新たな波乱を予感させます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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