【問題な王子様】33話ネタバレ完全版

【問題な王子様】33話をネタバレありで解説する
川への転落事故から一夜明け、エルナは心身ともに大きな衝撃を受けていました。そんな彼女のもとに、意外な人物が「親切心」を装って近づいてきます。そして、遠い故郷バフォードからは、エルナを案じる祖母がシュベリンへと向かっていました。第33話は、エルナを取り巻く状況がさらに複雑になり、新たな危機と希望が交錯する様子を描き出します。
事故の余波とエルナの絶望
昨夜の事故は、瞬く間にシュベリンの社交界の大きな話題となっていました。「ビョルン王子とハルディ家の令嬢、アビィト川に転落!」――タブロイド紙はここぞとばかりに扇情的な見出しでこのスキャンダルを報じ、エルナへの悪評はさらに高まります。ハルディ子爵家に戻ったエルナは、父ウォルターから激しい叱責を受けることは想像に難くありません。彼女の「商品価値」は、この一件でさらに下落したと見なされてもおかしくない状況でした。
エルナの心は、絶望と羞恥心でいっぱいでした。ビョルン王子に助けられたとはいえ、あのような醜態を晒してしまったこと、そして彼との間にまた一つ、拭い去れない「借り」を作ってしまったという思いが、彼女を苦しめます。もはや、パーベルとの「夜逃げ計画」も順調に進むとは思えませんでした。
グレディス王女の「悪意のない親切心」
そんなエルナの元を、思いがけない人物が訪れます。それは、ビョルン王子の元妻、グレディス・ハードフォートでした。彼女は、エルナが事故のショックと悪評で心を痛めていることを気遣い、「お見舞い」と称してハルディ家を訪れたのです。
グレディスは、エルナに対し心からの同情と慰めの言葉をかけ、優しく微笑みます。「大変でしたわね、エルナさん。でも、ビョルンが助けてくださったと聞いて安心いたしましたわ」などと、まるでエルナの味方であるかのように振る舞うグレディス。彼女の美しくも儚げな姿と、心優しい言葉に、エルナは一瞬、警戒心を解きそうになります。
しかし、グレディスの「親切心」は、どこか計算されたもののように感じられました。彼女は、ビョルンとの離婚の経緯や、子供を失った悲しみなどを巧みに語りながら、エルナに同情を誘い、ビョルンに関する情報を探ろうとしているかのようでした。あるいは、エルナに対し「自分こそがビョルンを理解できる唯一の女性である」と暗に示し、彼女を牽制しようとしているのかもしれません。グレディスの「悪意のない」ように見える言葉の裏には、エルナをさらに混乱させ、追い詰めるような棘が隠されていました。
遠い故郷からの救いの手、バーデン男爵夫人の決意
一方、エルナの故郷バフォードでは、孫娘の身を案じるバーデン男爵夫人が、ついにシュベリンへ向かう決意を固めていました。エルナからの手紙や、グレベ夫人が町で聞いてきた噂話から、エルナがシュベリンで困難な状況に置かれていることを察したのです。「ウォルター・ハルディの仕業だ。あいつが、うちのエルナをこんな風にしたに違いない」と怒りを燃やす男爵夫人。彼女は、かつて娘アネットがウォルターによって不幸な目に遭わされた記憶を胸に、「エルナを救わなければならない。絶対に、アネットのように不幸にさせておくわけにはいかない」と、強い決意でシュベリン行きの馬車に乗り込むのでした。
第33話は、エルナがグレディス王女という新たな強敵(?)に翻弄されそうになる一方で、遠い故郷からは祖母の愛という確かな救いの手が差し伸べられようとしている、まさに希望と絶望が交錯する展開となりました。バーデン男爵夫人は、無事にエルナをハルディ家から連れ出すことができるのでしょうか。そして、グレディス王女の真の目的とは何なのでしょうか。物語は、エルナの運命が大きく動き出す予感をはらみながら、次へと進んでいきます。
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