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【問題な王子様】49話ネタバレ完全版

ずっちー

【問題な王子様】49話をネタバレありで解説する

エルナにとって悪夢のようだった初めての夜。心も体も深く傷ついた彼女は、絶望の中で朝を迎えます。第49話では、そんなエルナの混乱と、彼女を気遣う周囲の人々、そしてビョルン王子がエルナと「結婚した理由」についての彼自身の認識が描かれます。

初夜の翌朝、エルナの絶望とフィツ夫人の気づかい

エルナが目を覚ました時、隣にビョルン王子の姿はありませんでした。昨夜の出来事が脳裏に蘇り、エルナは言いようのない羞恥心と絶望感に襲われます。そして、ベッドのシーツに残された生々しい血の痕を見つけた瞬間、彼女は悲鳴を上げそうになるのを必死に堪え、そのシーツを抱えて浴室へと逃げ込むのでした。

ちょうどその時、エルナの様子を心配して部屋を訪れたフィツ夫人が、浴室のドアの隙間に挟まったシーツと、中で嗚咽するエルナの気配に気づきます。フィツ夫人は、昨夜何があったのかを察し、ビョルン王子のエルナへの仕打ちに静かな怒りを覚えるのでした。「愛しているから結婚したのではないか」と信じていたフィツ夫人にとって、エルナのこの痛ましい姿は、ビョルンへの不信感を抱かせるには十分でした。

フィツ夫人は、他のメイドたちを下がらせ、エルナに優しく声をかけます。そして、エルナが落ち着くまで辛抱強く待ち、彼女に神経を安定させる薬を渡して休むようにと促すのでした。その眼差しは、厳格な家政婦としてではなく、エルナの身を案じる一人の女性としての温かさに満ちていました。

エルナの孤独とビョルンの不在

一人寝室に残されたエルナは、深い孤独感に包まれます。「結婚初日をベッドに横になって過ごすなんて…」と、自分の惨めな状況を嘆き、故郷バフォードの祖母を思い出しては涙ぐむのでした。「デナイスタという名前も、この部屋も、まったく自分のもののようには感じられなかった。何よりも自分の夫であるビョルンがそうだった」――エルナにとって、この結婚はまだ到底受け入れられるものではありませんでした。

一方、ビョルン王子は、初夜の翌朝も普段と変わらぬ様子で過ごしていました。彼にとって、エルナとの結婚は、彼女が持つ「美しさ」という価値と、グレディスとの過去を清算し自身の生活に「平穏」をもたらすための、ある種の打算的な取引に過ぎなかったのかもしれません。「大公妃の座を埋めて、自分の人生に平穏がもたらされること」「静かに、美しく無害に生きてくれることだけ」――それが、彼が「二番目の妻」に望むことの全てでした。

「結婚した理由」と新婚旅行への序章

ビョルンは、フィツ夫人から「大公妃を妻に選んだ理由」を問われた際、「まあ、美しいから」と、どこか他人事のように答えます。その言葉の裏には、エルナという人間そのものへの深い関心や愛情はまだ感じられません。しかし、彼はフィツ夫人に対し、「エルナの実家には寝室でのことを教えてくれる大人がいなかったのだから、それを誰かが引き受けるべきではないか」と、エルナの「寝室での教育」を命じるという、どこか矛盾した一面も見せるのでした。

やがて、エルナとビョルンの新婚旅行の日程が近づいてきます。しかし、その旅行は、甘い新婚生活とは程遠い、外交使節団を率いての海外歴訪に近いものでした。そして、その最初の訪問国は、皮肉にもビョルンの元妻グレディスの母国、ラルスだったのです。

第49話は、エルナが初夜のショックから立ち直れずにいる一方で、ビョルンは彼女との結婚を打算的に捉え、二人の間には依然として大きな心の溝が存在することを示して終わります。この歪な関係のまま始まる新婚旅行は、エルナとビョルンにどのような試練と変化をもたらすのでしょうか。そして、ビョルンがエルナと「結婚した理由」の奥底には、彼自身もまだ気づいていない別の感情が隠されているのでしょうか。物語は、波乱含みの新婚旅行編へと突入していきます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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