【問題な王子様】5話ネタバレ完全版

【問題な王子様】5話をネタバレありで解説する
父ウォルターの美貌を利用した金儲けの企みは、エルナに衝撃的な提案となって突きつけられます。それは、彼女の人生を大きく左右する、あまりにも重い選択でした。一方、シュベリンの社交界では、まだ見ぬエルナの噂が囁かれ始めています。
父からの残酷な提案とエルナの決断
ハルディ子爵家に呼び出されたエルナに、父ウォルターは驚くべき提案をします。それは、「1年間、このシュベリンに滞在し社交界に出ること。そして、これから生きていく上で必要な人脈を広げる時間を持つこと」。その見返りとして、トーマス・バーデンが相続することになっていた田舎の家を、父親が買い戻しエルナに渡すというものでした。継母ブレンダも、「きちんとした貴族の令嬢として生きていけるように助ける」と熱心にエルナを説得します。
エルナにとって、静かな田舎での暮らしこそが望みであり、華やかな社交界など考えたこともありませんでした。しかし、愛する祖母が暮らす家を守るためには、この条件を飲む以外に道はないように思えました。「1年ほど父のそばに留まる代価として、この家を手に入れられるなら、それほど悪くない取引だ」――エルナは、そう自分に言い聞かせ、苦渋の決断を下します。彼女の心には、たった1年耐えれば、再びあの穏やかな日々が戻ってくるという、悲痛な希望があったのかもしれません。
故郷バフォードに戻ったエルナは、祖母であるバーデン男爵夫人に、父の提案を受け入れたことを告げます。孫娘が売られるかのような状況に、祖母は「エルナを売ってまで、この家を持つことに、一体何の意味があるのか」と激しく怒り、悲しみます。しかしエルナは、「この家も守れて、今からでも、父親と暮らせるようになったので皆にとって良いことだ」と、必死に笑顔を作り、本心を隠して祖母を安心させようとするのでした。
社交クラブでのビョルンとエルナの噂
その頃、シュベリンの社交クラブでは、ビョルン王子が友人たちと退屈な時間を過ごしていました。競馬で所有する馬が連勝していることや、その馬を売る気がないことなどが話題に上りますが、ビョルン自身はそういったことにあまり興味がない様子。彼の関心は、むしろレチェンの金融市場に新たに流入した海外債券や地方債に関する報告書に向いていました。銀行家としての彼の冷徹な一面が垣間見える瞬間です。
そんな中、男たちの話題は女性へと移ります。そして、ふと誰かが「ハルディ家に新しく来たメイドがとても最高だった」と口にするのです。もちろん、それはエルナのこと。まだ社交界にデビューする前の彼女を、街で見かけた者がその美しさを噂していたのでした。「タラの大通りで偶然出会ったけれど、あまりにも美人だから挨拶でもしようかと思ったらびっくりして逃げてしまった」「田舎のお嬢さんみたいで臆病だった」といった会話が交わされます。
ビョルンは、その「ハルディ」という名前を耳にしながらも、特に気にかける様子はありません。彼の友人であるペーターが「自分もハルディ家に花を送ってみようか」と呟くのを聞いても、彼の関心はまだ、その名も知らぬ「田舎のお嬢さん」には向いていないようでした。
社交界に広まるエルナの評判
エルナがハルディ子爵の娘としてシュベリンに戻り、社交界にデビューするという噂は、瞬く間に貴族たちの間に広まっていきます。「体が弱くて、田舎で療養生活をしていたハルディ子爵の娘が戻って来て、遅ればせながら社交界デビューを果たす」「しかも、グレディス王女に劣らない美人だ」――。まだ見ぬエルナに対する期待と憶測が、シュベリンの社交界を賑わせ始めていました。
エルナの意図とは全く異なる形で、彼女の運命は大きな渦の中に巻き込まれようとしています。第5話は、愛するものを守るために大きな決断をしたエルナと、まだ彼女の存在を知らないビョルン、そして彼らを取り巻く人々の思惑が交錯し、物語が新たな局面へと動き出す予感を強く感じさせる内容となっています。
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