【四丁目の夕日】ネタバレ解説!衝撃の結末とトラウマ展開

ずっちー
四丁目の夕日」と僕 2017 9/28 | 孤独の華

漫画『四丁目の夕日』について、タイトルから『三丁目の夕日』のような心温まる物語を想像している方もいらっしゃるかもしれません。しかし、本作はその予想を根底から覆す、強烈なトラウマ漫画として知られています。

「四丁目の夕日」のネタバレを探しているあなたは、おそらく、どれほど救いのない展開なのか、主人公がどのような結末を迎えるのか、具体的なあらすじを知りたいと考えていることでしょう。この記事では、読者の心をえぐり続けると言われる本作の衝撃的な内容を、結末まで詳しく解説していきます。

この記事を読むと以下のことが理解できます
  • 『四丁目の夕日』の壮絶なあらすじ
  • 『三丁目の夕日』とのタイトルの関係性
  • 主人公を襲う不幸の具体的な内容
  • 衝撃的な結末とトラウマシーンの詳細

四丁目の夕日ネタバレあらすじ

  • 三丁目の夕日との決定的な違い
  • 主人公たけしを襲う不幸の連鎖
  • 母の事故が招いた経済的困窮
  • 衝撃的な父親の印刷機事故
  • 対照的な友人・立花の人生

三丁目の夕日との決定的な違い

『四丁目の夕日』というタイトルを目にした際、多くの読者が連想するのは、西岸良平氏による国民的な名作『三丁目の夕日』でしょう。あの作品が描くのは、昭和時代の古き良き日本の、心温まる人情やノスタルジックな風景です。

しかし、本作『四丁目の夕日』は、そのタイトルがパロディであることからも分かる通り、内容は『三丁目の夕日』とは完全な対極に位置しています。ほのぼのとした感動的な人間ドラマを期待してページを開いた読者は、即座に奈落の底へ突き落とされることになります。

物語に流れるのは、人情ではなく人間の悪意や無関心。描かれるのは、希望ではなく徹底的な絶望です。このため、Wikipediaなどでも言及されているように、タイトルに惹かれて手に取り、深刻な精神的ダメージを負ってしまった「被害者」が少なからず存在すると言われています。本作は、人間の負の側面、貧困、格差、そして理不尽な不幸の連鎖を、容赦ない筆致で描いた作品として、今なおカルト的な人気を博しているのです。

主人公たけしを襲う不幸の連鎖

この物語の主人公は、別所たけしという高校3年生の青年です。彼は都内でも有数の進学校であるK高に通い、学業成績は常に学年10位以内をキープする優秀な生徒でした。

実家は「別所軽印刷」という小さな印刷工場を営んでいます。父親の富茂は中卒であることに強いコンプレックスを抱いており、その反動から息子のたけしには学歴をつけさせようと、彼の学業を強く応援していました。たけし自身も、そのような父親の想いを汲み取り、また家計を気遣う優しさから、学費の高い私立大学ではなく、国立の一橋大学を第一志望として日々受験勉強に励んでいました。

家族は父・富茂、母・マス江、中学生の妹・弘子、小学生の弟・ひできの5人暮らし。決して裕福とは言えないまでも、たけしには恭子というガールフレンドもおり、彼の日常は比較的順調で、希望に満ちたものでした。しかし、ある一つの事故をきっかけとして、この平凡ながらも幸せだった家族の歯車が、信じられない速度で狂い始めていきます。彼の人生は、まるでドミノ倒しのように、次から次へと襲い来る不幸によって、再起不能なまでに破壊されていくのです。

母の事故が招いた経済的困窮

たけしの人生を暗転させる最初の不幸は、母親のマス江が起こした不慮の事故でした。ある日、彼女が自宅の庭にある焼却炉でゴミを燃やしていた際、ゴミの中にスプレー缶が混入していることに気づきませんでした。その結果、スプレー缶が焼却炉の熱で引火し、爆発事故が発生します。

幸い、マス江は一命を取り留めたものの、全身の30%に及ぶ大火傷を負うなど、極めて深刻な重傷をとなります。当然、長期にわたる入院と、その後のリハビリテーションが必須な状態になりました。

さらに別所家を追い詰めたのは、この事故がマス江本人の過失によるものと判断されたことです。これにより、治療費に保険が適用されなくなってしまいました。元より経営状況に余裕のなかった別所家にとって、この莫大な治療費の全額自己負担は、まさに致命的な打撃でした。この経済的困窮が、家族全員をさらなる苦境へと引きずり込み、次の悲劇の引き金となっていくのです。

衝撃的な父親の印刷機事故

母親の莫大な治療費、そして家族の当面の生活費を稼ぎ出すため、父親の富茂は文字通り身を粉にして働きます。彼は印刷工場の仕事量を以前の3倍にまで増やし、睡眠時間を削って昼夜を問わず機械を動かし続けました。

前述の通り、富茂は中卒である自身の学歴に強いコンプレックスを抱いていました。それゆえに、息子たけしが優秀な成績を収め、一流大学へ進学することに、自らの夢と希望のすべてを託していたのです。たけしに受験を続けさせるためにも、彼は無理を承知で働き続けました。

しかし、その過酷な労働が悲劇を生みます。連日の徹夜作業による極度の睡眠不足と疲労が蓄積し、ある日、富茂は稼働中の大型輪転機の前でふらついてしまいます。そして、そのまま回転する機械に体ごと巻き込まれてしまいました。このシーンは、人体が機械によって粉砕されていく様子が克明に描かれており、作中でも最も衝撃的で悲惨な場面として、多くの読者に強烈なトラウマを植え付けました。

一家の大黒柱であり、工場の経営者であった父親の死。これは、別所家から収入源と精神的支柱の両方を一瞬にして奪い去る、決定的な出来事でした。

対照的な友人・立花の人生

物語は、主人公たけしが転落していく様を執拗に描く一方で、彼とは実に対照的な人生を歩む存在を配置しています。それが、たけしの同級生であり親友の立花英一です。

立花は大商社「立花物産」の御曹司であり、将来は約束されたエリートです。しかし、彼はその立場に反発するかのように家を飛び出し、たけしと同じ公立のK高に通っていました。彼の性格は気取ったところが一切なく、たけしが街で暴走族に絡まれた際には、危険を顧みずに助けに入るなど、たけしにとっては信頼できる良き友人でした。

しかし、たけしの人生が不幸のどん底へと突き落とされていくのとは裏腹に、立花の人生は輝かしい成功のレールの上を進んでいきます。高校卒業後、彼は2年間のイギリス留学を経て、慶應義塾大学を首席で卒業します。その後は父親の会社である立花物産の社長に就任し、東京女子大学卒の才色兼備な女性と結婚。有能な経営者として、また良き父親として、一点の曇りもない幸福で有意義な人生を送る姿が描かれます。

この二人のあまりにも残酷な人生の対比は、たけしが直面する境遇の理不尽さと悲惨さを、より一層強く読者に印象付けます。

四丁目の夕日ネタバレと結末

  • 追い詰められるたけしの新生活
  • 作中屈指のトラウマシーン
  • 弟と妹の惨殺とたけしの発狂
  • 精神病院入院と30年後の姿
  • 他の登場人物たちのその後
  • 四丁目の夕日ネタバレ解説総括

追い詰められるたけしの新生活

父親の衝撃的な死により、たけしの大学進学の夢は完全に断たれます。彼は家業の印刷所を継ごうとしますが、ここでさらなる不幸が襲いかかります。父親が工場の独立資金などを捻出するために、怪しげなサラリーマン金融「アラジン」から多額の借金をしていたことが発覚したのです。

葬式の場にまで取り立てに来る金融業者。さらに、以前たけしがトラブルになった暴走族からの圧力もかかり、印刷所の仕事は激減します。万策尽きた「別所軽印刷」は倒産。一家は住んでいた家も工場の土地もすべて借金のカタに差し押さえられてしまいました。

たけしは高校を退学。まだ幼い妹の弘子と弟のひできを連れ、住人には異常者しかいないと噂される、日当たりも悪いボロボロのアパート「雨宮荘」の一室へとかろうじて引っ越します。

家族を養うため、たけしは近所の鉄工所に就職します。しかし、そこは粉塵が舞う劣悪な労働環境でした。さらに悪いことに、そこにはかつて別所軽印刷に勤めていたものの、富茂と衝突して辞めたヒロシとコージという二人の男が働いていました。彼らはたけしを格好のいじめのターゲットにします。特にヒロシは、たけしの父親の無残な死を嘲笑し、「なあ、ぐっちゃんぐっちゃんだったんだろ?」と、事故の様子を執拗に聞き出そうとするのです。この陰湿ないじめは、たけしの心を徐々に、しかし確実に蝕んでいきました。

作中屈指のトラウマシーン

前述の通り、『四丁目の夕日』は、その容赦のない描写によって「トラウマ漫画の王道」と呼ばれています。読者の心に深く刻まれる、特に衝撃的な場面がいくつか存在します。

筆頭に挙げられるのは、やはり「父親の印刷機事故」のシーンです。見開き2ページを使って、人間が機械に巻き込まれ、粉砕されていく様子を直接的に描いたこの場面は、本作の知名度を決定づけたと言っても過言ではありません。印刷機の隙間からはみ出す手足が、ことの悲惨さを物語っています。

次に強烈なのが、「鉄工所でのいじめ」のシーンです。父親の死という最大の悲劇を、同僚のヒロシが「なあ、ぐっちゃんぐっちゃんだったんだろ?」と、好奇の目で嘲笑しながら尋ねる場面。このセリフは、人間の持つ底知れない悪意と無神経さを象徴するものとして、作品を読んだ多くの人の記憶に焼き付いています。

そして、物語のクライマックスで描かれる「弟と妹の惨殺シーン」も、本作を語る上で欠かせません。たけしに残された最後の希望とも言える家族が、理不尽な暴力によって奪われるこの場面は、読者の精神を限界まで追い詰めます。これらの容赦ない描写の積み重ねが、本作の評価を不動のものにしているのです。

弟と妹の惨殺とたけしの発狂

鉄工所での過酷な労働と陰湿ないじめに耐えながらも、たけしは妹の弘子と弟のひできとの生活を守るために必死に働いていました。その甲斐あってか、貧しいながらも、彼らの暮らし向きはほんの少しだけ改善し始めていました。そんなある日、一家に束の間の幸せな時間が訪れます。弟ひできの誕生日パーティーを開いていたのです。

しかし、そのささやかな幸せは、最も残虐な形で突然終わりを告げます。彼らが住むアパートの1階に住んでいた、口唇裂のある精神に異常をきたした老人が、斧を手に部屋へ押し入ってきたのです。

老人は、たけしが抵抗する間もなく、彼の目の前で妹の弘子と弟のひできを斧で惨殺します。この世の地獄を凝縮したかのような光景を前に、かろうじて保たれていたたけしの精神は、ついに完全に崩壊します。彼は老人から斧を奪い返すと、無我夢中で老人を返り討ちにします。しかし、たけしの狂気はそこでは止まりませんでした。彼はそのまま発狂してアパートを飛び出し、奇声を上げながら、街で出会う無関係な通行人たちを次々と斧で惨殺していく、無差別大量殺人事件を引き起こしてしまったのです。

精神病院入院と30年後の姿

無差別殺戮の末、たけしは駆けつけた警察官2名を殺害した後、取り押さえられます。しかし、逮捕後の取り調べにおいても、彼の錯乱状態は治まりませんでした。

結果として、弟と妹の殺害も含め、すべてはたけしの発狂による凶行と断定されてしまいます。なぜ彼が発狂したのか、その直前にどれほど悲惨な出来事があったのかは、誰にも理解されないままでした。

裁判では、その精神状態から責任能力の不在が認められ、たけしには精神病院への長期強制入院が命じられます。

そして、物語の時間は一気に30年後へと飛びます。50歳手前になったたけしは、ようやく社会復帰を果たしていました。彼に紹介された仕事は「鮫島清掃」という清掃会社での仕事。具体的な業務は、地下鉄構内の痰壺(たんつぼ)を清掃するというものでした。

たけしは、感情を失ったかのように、その仕事を黙々とこなします。新しい職場は中高年の女性職員が多く、なぜかたけしはそこで「人気者」になっている様子が描かれます。同僚の「信ちゃん」という女性からは特に好意を寄せられ、手作りの握り飯を振る舞われる場面もあります。荒れ果てたゴミ置き場にある住処へ帰るたけし。「今までの人生は幸福とは言えないが、これからの人生で失われたものを取り戻していくだろう」という趣旨のナレーションと共に、物語は静かに終わります。これが、たけしがたどり着いた、あまりにも多くのものを失った後の「結末」でした。

他の登場人物たちのその後

主人公のたけしが、想像を絶する壮絶な人生の果てに、ある種の「平穏」に(あるいは「無」に)たどり着いた一方で、彼を取り巻いていた他の登場人物たちのその後も対照的に描かれています。

前述の通り、たけしの親友であった立花英一は、たけしとは全く逆の道を歩みます。イギリス留学、慶應首席卒業、立花物産社長就任、才色兼備な妻との結婚、そして子供にも恵まれ、エリートとして一点の曇りもない幸福な人生を送っていることが示唆されます。

また、たけしの元恋人であった恭子は、たけしが不幸になっていくと早々に見限り、今度は立花に乗り換えようと画策します。しかし、立花は彼女を内心煙たがっており、結局は金で関係を清算されます。その後、彼女は平凡なサラリーマンと結婚し、ごくありふれた主婦としての人生を送ることになりました。

そして、たけしの母親であるマス江。彼女は最初の事故から実に30年間にもわたる長いリハビリ生活を送ります。その結果、わずかに回復の兆しを見せますが、ある夜、寝ている間に痰(たん)を喉に詰まらせて窒息死(享年70)するという、最後まで救われることのない、あっけない最期を迎えています。

四丁目の夕日ネタバレ解説総括

『四丁目の夕日』のネタバレ解説の要点を以下にまとめます。

  • 『四丁目の夕日』は山野一による漫画作品
  • 『三丁目の夕日』のパロディ作品である
  • 心温まる人情話ではなく、救いのない鬱展開が続く
  • トラウマ漫画の王道としてカルト的な人気を持つ
  • 主人公は秀才で心優しい高校生の別所たけし
  • 母親がスプレー缶の爆発事故で重傷を負う
  • 保険が下りず、一家は経済的に困窮する
  • 父親は無理がたたり、印刷機に巻き込まれ死亡
  • 父親の死亡シーンは作中屈指のトラウマ描写とされる
  • 一家は家も工場も失い、ボロアパートへ引っ越す
  • たけしは退学し、鉄工所でいじめに遭う
  • 弟の誕生日、隣人の老人が斧で弟と妹を惨殺する
  • たけしは精神が崩壊し、無差別大量殺人を起こす
  • 逮捕後、精神病院に30年間入院する
  • 退院後は清掃員として働き、物語は終わる
  • 親友の立花は対照的に幸福な人生を送る
ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
記事URLをコピーしました