【大正學生愛妻家】10話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 暮らし始めてひと月、ふきは勇吾への恋心を自覚し、彼の些細な行動にドキドキするようになっていました。
- 朝、勇吾はふきの腕を掴んで茶柱を見せ、ふきを赤面させます。
- 勇吾に「欲しいものはないか」と聞かれたふきは、内心気になっていた婦人雑誌『婦人え栞』の最終回を思い浮かべます。
- 買い物帰りに書店で雑誌を見つけ値段に悩むふきの姿を、勇吾が偶然見かけます。
- 家に戻ると、勇吾が「ふきが読むかなって」「ふきと読めたら楽しいなって」と、その『婦人え栞』を買ってきてくれていました。
- その優しさにふきは涙し、二人で雑誌を読む穏やかな時間の中、「優しい優しい 勇吾さま 大好きです」と自分の恋心を再確認しました。
【大正學生愛妻家】第10話をネタバレありでわかりやすく解説する
勇吾への「大好き」という気持ちをはっきりと自覚したふき。しかし第10話では、そんな彼女の心に、新妻としての不安や、世間の目という現実が影を落とし始めます。季節は六月初旬、少しずつ夏の気配が近づいていました。
夫の秘密?―タバコの香りと、ふきの不安
「衣替えしたばかりで この暑さ! 東京ってやつは… そりゃ札幌に比べればな」 学校の帰り道、友人の桃木が暑さに文句を言う隣で、勇吾は涼しい顔。彼は桃木の誘いを断り、「じゃあな」「今日も行くのか」と一人でどこかへ向かいます。 「あいつ お前と違って そっちの分野はわからん 興味が…」 桃木は、勇吾が自分たちとは違う「何か」に関心を持っていることに気づいている様子。勇吾は笑顔で手を振り、一人電車に乗り込みます。
その夜、勇吾は遅くに帰宅。 「今日も遅かったですねぇ」「お勉強 大変なんですか」 ふきは健気に夫を迎えますが、夕飯の席で(近ごろの勇吾さま ちょっとだけ変)と感じ始めていました。
決定的な出来事は、夜の洗濯物を取り込む時に起こります。 ふきは、干してあった勇吾の浴衣から、ふわりと知らない匂いがすることに気づきました。 (きょろ…) それは、嗅ぎ慣れない煙草(たばこ)の香りでした。
ちょうど風呂から上がってきた勇吾に、ふきは意を決して尋ねます。 「勇吾さま… 煙草 吸ってます?」 「ごめん においがついてるよな 俺は吸わないけど」 あっさりと否定する勇吾。しかし、彼の表情はどこか硬く、「なにせ周りが煙草好きな奴ばかりで 学校でお勉強中も!!」と、少しイライラした様子を見せます。
「幸せの香り」―不意打ちの甘い言葉
ふきの問いかけに苛立ちを見せたかと思うと、勇吾は次の瞬間、驚くべき行動に出ます。 彼は「すっ」とふきのすぐそばに顔を寄せ、彼女の髪やうなじの匂いを確かめるように嗅ぎ始めたのです!
「ゆっ 勇吾さま!?」 突然のことに、ふきの心臓は飛び跳ね、顔は真っ赤に!
しかし、勇吾は満足そうに顔を上げると、こう言いました。 「はは 返し。ふきは いつものにおいだ」 「えっ!?」 「んー… 説明が難しいけど 日が差す 春の庭とか 干したての布団みたいな 幸せの香り」
予想外すぎる甘い言葉! 「よ、よくわかんないけど いいにおいってこと? よかった…」 ふきは安堵しつつも、勇吾の行動に完全に翻弄されてしまいます。 (なんか… なんか なにげなく 話そらされたような…!?) 煙草の匂いの件はうやむやになり、ふきの心には小さな疑念が残りました。
雑誌が煽る不安―「学生のカフェ通い」
勇吾への恋心を自覚してから、些細なことでドキドキしてしまうふき。 そんな彼女の不安をさらに掻き立てたのが、あの『婦人え栞』でした。
最近、勇吾が本ではなく新聞ばかり読んでいることに気づいたふき。ふと雑誌に目をやると、「女学生の悩み」という特集記事が目に留まります。そして、その隣には「ひょっとして 勇吾さま 世間でよく聞く “学生のカフェ通い”を…!?」という衝撃的な見出しが。
記事には、当時流行していた「カフェ」の様子が描かれていました。そこでは、**女給(ウェイトレス)**たちが客にサービスをし、チップを受け取り、時には客と親密な関係になることも…。「恋の花咲く社交の場!」
ふきは、年頃の勇吾も友人たちとの付き合いで、そういった場所へ行くことがあるのではないか、と不安に駆られます。 (…まあ お友達との付き合いもあるだろうし 多少は理解して 目をつぶるべきよね…) 必死に自分に言い聞かせますが、不安は簡単には消えません。
すれ違う心と、「女中さん」という現実
翌朝。勇吾を送り出すふきの表情は、明らかに不機嫌でした。 「…今日も 遅くなるんですか?」 「ああ 多分」 「……」
ふきのむすっとした態度に、勇吾は気づきながらも、努めて優しく言います。 「いーえ 気になさらず。できれば早く帰ってくるよ いってらっしゃい」
その優しさが、逆にふきの心を締め付けます。 (勇吾さまへの想い 大切にしてくって 決めたのに 勝手に作って イライラぶつけて あんな態度とっちゃうなんて…) 自己嫌悪に陥るふき。
そんな気持ちのまま買い物に出かけると、道端で井戸端会議をしていた近所の老婆二人に声をかけられます。 「やあだ なにか ごめんなさいね ねぇねぇ!」「最近見かける りりしい一高生 このお宅でしょ!?」「うちの娘と どうかしら なんて!」「ねぇ 女中さん! あの方のこと 教えてくんない?」
悪意のない、しかし残酷な「女中さん」という呼び名。 ふきは顔をこわばらせながらも、はっきりと答えます。 「あの 私 妻ですけど…」
「「うそ!?」」 老婆たちは心底驚き、失礼なことを言ったと慌てて謝ります。
ふきは静かにその場を立ち去りますが、心は深く傷ついていました。 (女中さん そう見られて当然 思ってたけど…) 頭では理解していても、実際にそう呼ばれると、やはり辛いものでした。
カフェと劣等感
俯きながら歩くふきの目に、華やかなカフェの入り口が映ります。 窓から見えるのは、モダンな洋装に身を包み、楽しそうに働く女給たちの姿でした。
(かわいい! 若い! 華やか! あれが女給さん…) (それに比べて…)
ふきは、自分の地味な着物姿と、カフェで輝く彼女たちを比べてしまい、言いようのない劣等感に襲われます。 学生である夫・勇吾の世界と、元女中である自分の世界の差を、改めて突きつけられた瞬間でした。
恋心を自覚したばかりのふきに訪れた、新たな試練。 勇吾の謎の行動、そして世間の目。彼女はこの不安と劣等感を、どう乗り越えていくのでしょうか?
【大正學生愛妻家】10話を読んだ感想(ネタバレあり)
うわぁ… 第10話、甘さもありつつ、切ない現実がグサグサ刺さってきました…。 ふきが恋心を自覚して、幸せいっぱい!…とは、なかなかいかないのがこの時代の難しさですね。
まず、勇吾の行動がちょっと怪しい!(笑) 桃木くんの誘いを断って一人でどこかへ行くし、煙草の匂いは否定するけどちょっと不機嫌になるし…。でも、ふきの匂いを嗅いで「幸せの香り」なんて、とんでもなく甘いことを言う! このギャップは何なんでしょう!? 煙草の匂いは本当に友達のものなのか、それとも…? ちょっと心配になりますね。
そして、ふきの不安がリアルで、読んでいて胸が痛くなりました。 『婦人え栞』の記事を見て、「カフェ通い」を疑っちゃう気持ち、すごく分かります。ましてや相手は若くて美男子の学生夫。しかも自分は元女中。不安にならない方が無理ですよね。 「多少は理解して目をつぶるべき」と健気に言い聞かせる姿が、さらに切なさを誘います。
極めつけは、近所のお婆さんたちからの「女中さん!」呼び…。 悪気がないのは分かるけど、これはキツイ! ふきが「妻ですけど…」って毅然と(でも内心傷つきながら)答えるシーン、本当によく頑張った…!と抱きしめたくなりました。
最後のカフェのシーンも辛かったですね。 華やかな女給さんたちと自分を比べて落ち込むふき。これは、単なる嫉妬じゃなくて、「身分差」というどうしようもない壁を改めて感じてしまったからですよね。勇吾の世界と自分の世界のギャップに、劣等感を抱いてしまう…。
恋心を自覚したからこそ、勇吾の些細な行動が気になり、世間の目がより一層辛く感じてしまう。ふきの繊細な心の動きが丁寧に描かれていて、感情移入せずにはいられませんでした。 勇吾の真意は? そしてふきはこの不安を乗り越えられるのか? ますます目が離せません!
【大正學生愛妻家】10話のネタバレまとめ
- 六月初旬、ふきは最近の勇吾の様子が少し違うと感じ始めていた。
- 学校帰り、勇吾は友人・桃木の誘いを断り、一人でどこかへ出かけていく。
- 夜、ふきは勇吾の浴衣から煙草の匂いがすることに気づくが、勇吾は「自分は吸わない」と否定し、少し不機嫌な様子を見せた。
- 勇吾は突然ふきの匂いを嗅ぎ、「日が差す春の庭とか干したての布団みたいな幸せの香り」だと甘い言葉を告げる。
- ふきは『婦人え栞』の記事で「学生のカフェ通い」を知り、女給の存在などに不安を感じ始める。
- 買い物中、近所の老婆たちに「女中さん!」と呼ばれ、ふきは傷つきながらも「妻です」と訂正する。
- カフェの前を通りかかり、華やかな女給たちの姿を見て、ふきは劣等感を抱いてしまう。
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