【大正學生愛妻家】3話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 勇吾は両親に「ふきと結婚させてください」と堂々と宣言。
  • ふきは「分不相応」と土下座して辞退しようとしますが、勇吾の両親も「ふきしかいない」と結婚に大賛成します。
  • 勇吾が一高の全寮制を避け、ふきと二人で暮らすため、結婚は「今週中」に急遽執り行われることになりました。
  • 祝言(結婚式)当日、決意を固めたふきは、三三九度の盃を一気飲みしてしまいます。
  • 新居に移り、ふきは女中頭からもらった『まめしき』(枕絵)や「夜具二人分」という言葉から、「初夜」を意識して大パニックに。
  • 緊張のあまり、ふきは勇吾の前で土下座してしまいますが、勇吾は「強引に進めた」と逆に謝罪。
  • 勇吾は「本当の夫婦になるのは、ねえやも俺と同じ気持ちになってくれるまで待つよ」と優しく告げ、ふきは安心して眠りに落ちました。

【大正學生愛妻家】第3話をネタバレありでわかりやすく解説する

勇吾の優しい言葉に包まれて眠った、新婚初夜。

第3話は、二人の「本当の新婚生活」が始まる、甘く穏やかな朝の台所から幕を開けます。

妻の務めと早起きの現実

新居での初めての朝。

ふきが目を覚ますと、隣で寝ていたはずの勇吾の姿がありません。

「あれ? 坊ちゃん…?」

次の瞬間、ふきは「ぱっ」と顔を赤らめ、布団から飛び起きます。

(!! そういえば私、いっしょ布団に!)

昨夜、勇吾の優しさに安心して熟睡してしまったふき。新妻としての自覚が、今頃になって彼女を襲います。

(い、いた…!)

ふきが寝室からこっそり覗くと、勇吾はすでに台所の窓辺に立っていました。

慌てて戸を閉めるふき。

(えぇ~… なんて声かければ…)

「おはよう、ねえや」

しかし、その戸はすぐに勇吾本人によって開けられてしまいます。

「おっ… はようございます」

「早いなあ。まだ寝てていいのに」

「坊ちゃんこそ…」

寝起きのままのふきは、恥ずかしさでしどろもどろ。

「そ、その恰好…? 着替えたら?」と慌てるふきは、心の中で絶叫していました。

雑誌で予習してきたのに…!

彼女が橋家で読んでいた雑誌には、「妻は必ず夫より先に起きるべし」「朝の寝起き姿を夫に見せるのは恥である」と書かれていたのです。

新妻としての「最初の務め」に、見事に失敗してしまったのでした。

坊ちゃんの作る「焼きおにぎり」

「坊ちゃんにお気遣いさす! あとは私が…」

ふきは急いで身支度を整え、台所の主導権を取り戻すべく戻ってきます。

しかし、そこで彼女が見たのは、七輪で焼きおにぎりを作っている勇吾の姿でした。

「焼きおにぎり…」

「うん」

勇吾は慣れた手つきで醤油を垂らし、香ばしい匂いを立てています。

ふきは思い出します。昨晩、残ったご飯を見て(もったいないので朝おじやにしましょう!)と自分が言っていたことを。

「なんか無性に食いたくなって」

照れくさそうに言う勇吾。

「本当はねえやが起きる前に作って 驚かそうと…」

その言葉に、ふきは胸を打たれます。

「…すごい…」「坊ちゃんが お料理してる…」

「いや お料理って… 大袈裟だな」と謙遜する勇吾に、ふきは満面の笑みで返します。

「いーえ 立派ですよ! すごく美味しそうです!」

(私を驚かそうとしてたなんて 坊ちゃんは優しいですね)

ふきの心は、朝から温かい気持ちで満たされました。

北海道での六年間と二人の食卓

「でも 焼きおにぎりなんて どこで… お屋敷では出ませんよね」

ふきが尋ねると、勇吾は「寮? 北海道でよく食ったんだ」と答えます。

「あっちじゃ冬は みんなでストーブに集まって… 握り飯や団子やら 炙って食っただから」

勇吾の口から語られる、ふきの知らない「六年間」の生活。

ふきが「冬はすごく寒いんでしょうねぇ…」と言うと、勇吾は「まあ 慣れたけどな 六年もいたら」と静かに笑います。

「六年間…」「確かに… 長いよね」

二人の間に流れた、空白の六年間。

その時間を感じつつ、勇吾は「よし 食おうか」と焼き上がったおにぎりを差し出します。

「じゃ 居間に運びましょうか」

「いいよ このままで」

行儀が悪いとためらうふきに、勇吾は笑いかけます。

「ははっ 気にしなくても。俺とねえや 二人きりだし」

「運んであげるから」―甘い新婚生活の幕開け

台所の小さな食卓で、二人きりの朝ごはん。

ふきは、熱々のおにぎりを頬張ります。

「はふっ… おいし~~~!!」「お醤油の焦げたパリパリがもう… 最高… 熱いけど」

「最高 熱いけど。そこが一番うまいよな」

同じようにおにぎりを頬張りながら、勇吾も笑います。

(六年間分の知らない坊ちゃんを ゆっくり知っていきたいな)

ふきは、目の前にいる「夫」のことを、これから時間をかけて知っていけることに幸せを感じていました。

「ねえや 最後の一つ 食べたら?」

勇吾に勧められますが、ふきは「い、いえもう… これ以上満腹になると眠くなっちゃうので…」と慌てて断ります。

すると、勇吾は「にこっ」と、いたずらっぽく笑いました。

なんだ。いいよ 寝たら。 運んであげるから

「は、運…!」

その言葉に、ふきは昨夜の出来事を思い出します。

(やっぱり… ゆうべ… 申し訳ありません~~~!!)

(あははっ 意外と軽かったよ)

昨夜、勇吾の優しさに安心して眠ってしまったふきを、彼はすでにお布団まで「運んで」くれていたのです。

契約から始まった二人の生活は、勇吾のさりげない優しさによって、甘い新婚生活の色を帯び始めていました。

【大正學生愛妻家】3話を読んだ感想(ネタバレあり)

甘い! 甘すぎます、第3話!!

前回のラストで「同じ気持ちになるまで待つ」という超絶紳士なセリフを言った勇吾ですが、今回の彼はもう、優しさでふきを(そして読者を)包み込みに来ていますね!

まず、ふきの朝の慌てっぷりが最高に可愛かったです。

「いっしょ布団に!」でパニックになり、「妻の務め」に失敗して絶望する姿(笑)。真面目だからこそ空回りするふき、本当に応援したくなります。

そして、そんなふきをよそに、朝から焼きおにぎりを作って待ってる夫・勇吾。

スペック高すぎませんか!?

しかも、その理由が「驚かそうと…」ですよ。もう、この時点で「契約」とかどうでもよくなってますよね? 完全に新婚の夫の行動です。

北海道の寮の話も良かったですね。

ふきの知らない「六年間」を、こうして食卓で少しずつ共有していく。まさに「夫婦になる」ってこういうことだな、とほっこりしました。

「俺とねえや 二人きりだし」というセリフも、お屋敷での「坊ちゃん」と「女中」の関係から、対等な「二人」の関係に変わったことを象徴していて、キュンとしました。

そして、とどめの一撃。

「寝たら 運んであげるから」

これはもう、反則です!

昨夜、彼がどれだけ優しくふきを扱ったかが分かる、破壊力抜群のセリフでした。

ふきが「軽かったよ」と昨夜の(であろう)会話を思い出して赤面しているラスト、ごちそうさまでした!

「契約結婚」という名目ですが、勇吾はもう「ねえやが同じ気持ちになる」のを待つ気満々のようです。ふきが彼の本心に気づいて、この甘い生活に慣れるのはいつになるのでしょうか?

【大正學生愛妻家】3話のネタバレまとめ

  • 新婚初日の朝、ふきは「夫より後に起きる」という「妻の務め」に失敗したとパニックになる。
  • しかし、勇吾はすでに起きており、台所で「焼きおにぎり」を作っていた。
  • 勇吾は「ねえやを驚かそうと思った」と明かし、北海道の寮で覚えた味だと語る。
  • 二人は台所の食卓で焼きおにぎりを食べ、「二人きりだし」と勇吾は新婚生活の気楽さを楽しむ。
  • ふきは「六年間分の知らない坊ちゃんをゆっくり知っていきたい」と幸せを感じる。
  • ふきが「眠くなる」とおにぎりを遠慮すると、勇吾は「寝たら 運んであげるから」と優しく微笑む。
  • 昨夜、眠ってしまったふきを勇吾が布団まで運んでくれていたことが暗示され、二人の甘い新婚生活が始まった。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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