【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】11話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 同室の患者から「外泊」が退院のきっかけになると聞いた千夏は、退院という強い目標を持つようになりました 。
- 夫・涼太の許可を得て外泊した千夏は、久しぶりに家族との温かい時間を過ごしました 。
- 息子・翼との再会を通じ、千夏は「かわいい」という母性と「嫌悪感」という相反する感情を同時に抱きました 。
- 退院したい一心で、千夏は涼太に「一番の薬は涼ちゃんと翼」という嘘をつき、強引に退院を果たしました 。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第11話をネタバレありでわかりやすく解説する
退院したい一心で、偽りの回復を演じた主人公・千夏。第11話では、退院後の穏やかな日常と、その水面下で静かに進行する病魔の恐ろしさが描かれます。そして、ある些細な出来事をきっかけに、彼女の心は再び狂気の淵へと突き落とされてしまいます。
この記事では、「妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~」第11話のあらすじを、ネタバレありで徹底的に解説していきます。
偽りの平穏と、心の奥底の違和感
9月中旬、退院した千夏は実家で療養生活を送っていました。一見すると、そこには温かく、幸せな日常がありました。
「もう普通だもんね?」という自己暗示
家族と囲む食卓は、「あたたかく正常な世界」そのものでした 。夜に悪夢を見ることはあるものの、日中はごく普通に生活できています 。脚が勝手に動きそうになっても、薬を飲めば治まり、短時間であれば息子・翼のお世話もできるようになっていました 。
しかし、彼女の心は常に不安に揺れていました。「私もう入院しないよね?」「ここでずっとみんなと一緒にいられるよね?」。千夏は、まるで自分に言い聞かせるかのように、「私もう普通だもんね?」と何度も涼太に確認するのでした 。
消えない生理的嫌悪感
表面上は回復しているように見えても、千夏の心の奥底では、翼に対する生理的な嫌悪感が消えずにいました 。世間では「出産の苦しみすら忘れるほどのかわいさ」とよく聞きますが、自分の感情との間にある大きなギャップに、彼女は一人苦しんでいたのです 。
再燃する狂気の引き金
そんなある日、義母の計らいで、夫婦は久しぶりに二人きりで出かけることになりました 。このお出かけが、千夏の心の均衡を崩す引き金となってしまいます。
久しぶりのデートとパニックの兆候
夫婦でよく行っていたカフェを訪れ、穏やかな時間を過ごす二人 。しかし、千夏は涼太が席を外した隙にトイレで吐き気に襲われるなど、心は常に張り詰めた状態でした 。
「少女まんが家セット」というトリガー
気分転換に立ち寄ったホームセンターで、千夏は「少女まんが家セット」という商品に目を奪われます 。元漫画家だった彼女は、「これだ!」「私の原点はここだ」と、まるで救いを求めるかのようにそのセットを手に取ります 。**「これできっと自分を見失わずに済む 正気を保てる」**と信じて 。
赤ん坊の泣き声が呼び覚ます悪夢
希望を胸に、千夏は帰宅後さっそくペンを握ります。しかし、その希望は、息子の泣き声によって無残にも打ち砕かれました。
「すぐに黙らせてあげる」
久しぶりにペンを握るものの、思うように線が描けず、千夏は焦りを感じます 。その時、まるでタイミングを計ったかのように、翼が激しく泣き出しました 。
泣き止まない翼の声を聞きながら、千夏の表情からすっと光が消えていきます。心配した義母が「私にかして」と手を差し伸べると、千夏はそれを遮り、不気味なほど静かに、しかしはっきりとこう言いました。
「すぐに黙らせてあげる」 。
「ポーンって落としてあげようねぇ」
そして、千夏は翼を「たかいたかい」しながら、凍りつくような言葉を口にします。 「も…いやだよ…ポーンって落としてあげようねぇ」 。
その瞳に、母親としての愛情や理性はもはや存在しませんでした。
「赤い靴」と、地獄の5日間
この常軌を逸した言動を目の当たりにし、涼太と彼の母は、千夏と翼を一緒にさせておくことはできないと判断します。
翼との隔離
9月13日、千夏の症状は急激に悪化しました 。涼太は母に「翼を千夏の手の届かない所へ」と頼み、自身が千夏をアパートへ連れて帰り、二人きりで様子を見るという苦渋の決断を下します 。
「赤い靴」の幻覚
アパートに戻った千夏は、止まらない足の動きを、アンデルセン童話の「赤い靴」になぞらえ始めます 。「神様にバチを与えられて~ 眠ることも食べることもできず ひたすらに踊り狂うお話!」と、狂ったように笑い、踊り続けるのでした 。
「死」が救いにしか思えなくなる
「バチが当たったんだなぁ 私にも」 。彼女は、もはや自分の罪から逃れられないと確信していました。「早く木こりのおじさんに斬ってもらわないとね…この足」 。彼女の中で、「死」が唯一の救いと化していたのです 。
「私と夫の5日間が始まった」
このモノローグは、これから始まるさらなる地獄を静かに告げていました。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】11話を読んだ感想(ネタバレあり)
偽りの平穏が崩れ落ちる瞬間が、これほどまでに恐ろしいとは思いませんでした。特に、千夏が息子・翼をあやしながら「ポーンって落としてあげようねぇ」と呟くシーンは、背筋が凍るほどの恐怖を感じ、母性の愛情が狂気に反転する様を見せつけられたようで、ただただ戦慄しました。
「少女まんが家セット」に一縷の望みを託した千夏の姿が、非常に痛々しかったです。自分を取り戻そうとすればするほど、かえって自分を見失っていく。この病気の残酷さが、このエピソードに凝縮されているように感じました。
そして、止まらない足の動きを童話の「赤い靴」になぞらえる千夏。自分の身に起きている理解不能な現象を、物語に当てはめることでしか処理できなくなっている彼女の精神状態を思うと、胸が張り裂けそうになります。
「私と夫の5日間が始まった」という最後の言葉。これは、涼太にとっても地獄の始まりを意味します。愛する妻が狂気に囚われていく姿を、彼は二人きりでどう受け止めるのでしょうか。想像するだけで息が詰まるような、壮絶な展開でした。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】11話のネタバレまとめ
- 退院した千夏は、一見穏やかな生活を取り戻しましたが、息子への生理的嫌悪感は消えずにいました 。
- 気分転換に購入した「少女まんが家セット」が引き金となり、泣き出した息子に対して「ポーンって落としてあげようねぇ」と常軌を逸した言動を見せました 。
- 症状が急激に悪化したため、涼太は母に息子を預け、自身が千夏と二人きりで向き合うことを決意しました 。
- 千夏は止まらない足の動きを童話の「赤い靴」になぞらえ、「早く足を斬って」と懇願するなど、完全に正気を失ってしまいました 。
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