【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】20話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 絶望の淵にいた千夏でしたが、男性看護師の「治りますよ」という力強い言葉によって、心に変化が訪れました。
  • 息子・翼の成長に思いを馳せる中で、「治りたい」「あの子の母親になりたい」と、回復への強い意志を固めました。
  • 宇田川医師は千夏の話に真摯に耳を傾け、12種類あった薬を1種類に絞るという、治療方針の大きな転換を行いました。
  • その「言葉という優しい薬」によって、千夏の閉鎖病棟での日々に、少しずつ変化が訪れ始めていました。

【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第20話をネタバレありでわかりやすく解説する

前回、回復への強い意志と周囲の支えによって、心に確かな変化が訪れた主人公・千夏。第20話では、その決意を行動に移すべく、彼女自身が大きな一歩を踏み出します。看護師から提案された荒療治「暴露療法」、そして試練の場となる再入院後初めての外泊。恐怖との対峙の先で、彼女が見つけたものとは一体何だったのでしょうか。

この記事では、「妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第20話のあらすじを、ネタバレありで徹底的に解説していきます。

回復への試練「暴露療法」

10月初旬、千夏の身体拘束はすべて解除され、個室から大部屋へと移動していました 。しかし、彼女の心にはまだ大きな悩みが残っていました。

母性の欠落という悩み

食欲は依然として完全には戻らず、高カロリーの流動食に頼る日々 。それでも、息子の写真を見つめる時間は以前より長くなっていました 。しかし、彼女は自分の中に「母性」の気配を全く感じられず、「赤ちゃんって普通かわいいものですよね?」と看護師に問いかけるなど、深く思い悩んでいたのです

看護師・高坂からの提案

そんな千夏に、看護師の高坂は「いっそのこと息子さんに会っちゃうってのも手だと思うけどね」と、ある治療法を提案します 。それは、恐怖を感じる対象にあえて向き合うことで、その恐怖を克服していく「暴露療法」という認知行動療法の一種でした 。

再入院後、初めての外泊へ

「認知の歪み」を克服できるかもしれない。そのわずかな可能性に賭け、千夏は自ら動くことを決意します。

夫への打診と承諾

千夏は夫の涼太に電話をかけ、延期になっていた翼の「お食い初め」に参加したいと、勇気を出して打診しました 。病棟内での異常行動が目立たなくなってきたという主治医からの報告も後押しとなり、涼太は意外なほどすんなりとその提案を承諾してくれたのです

3週間ぶりの外の世界

10月14日、再入院後初めての外泊の日を迎えました 。薬は増量されたものの、吐き気などの副作用はなく 、秋風が気持ちよく感じられるほど、千夏の心は穏やかでした 。義実家へ向かう車中、彼女はこの2日間を無事に過ごせることを、ただただ強く願っていました

1ヶ月ぶりの再会、そして甦る恐怖

義実家では、家族が温かく二人を迎えてくれました。そして、千夏は1ヶ月ぶりに我が子・翼と再会します。

「人間になってる」息子との対面

翼はキリンのぬいぐるみと同じポーズで気持ちよさそうに眠っていました 。1ヶ月ぶりに見る我が子は少し大きくなり、千夏は「なんかちょっと人間になってる」と感じるほどでした

お食い初めの儀式、甦る「異物」の感覚

いよいよお食い初めの儀式が始まります。涼太が慣れた手つきで翼に食べさせる真似をする姿を見て、千夏は彼が完全に「親」になっていると感じます 。そして、いよいよ自分の番がやってきました。

大丈夫、イメージトレーニング通りにやればいい。そう自分に言い聞かせ、翼を抱きかかえた瞬間、あの悪夢が甦ります。 「ああこの感覚…不規律な伸び縮み」「胎動を思い出す…」。 なまぬるく、得体のしれない感触。翼は、再び彼女の中で**「受け入れがたい異物」**と化してしまったのです。

母性の在り処

しかし、ここで千夏は逃げませんでした。

「この子のことをあまりにも知らないから」

涼太が心配して「代わろうか」と声をかけますが、千夏は「ううん」「もう少しこのままでいい…?」と、翼を抱きしめ続けることを選びます 。そして、こう呟くのです。

私はこの子のことを あまりにも知らないから

「教えてほしいな、母性の在り処を」

欠陥だらけで、まともに機能していない、こんな母親だけど、それでもあなたを愛したい。千夏は心の中で、腕の中にいる小さな翼に必死に語りかけます。

ねえ翼…これからママにたくさんのことを教えてほしいな

あなたを愛するということ 母性の在り処を

【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】20話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、主人公・千夏が母親として、そして一人の人間として、大きな一歩を踏み出した、非常に感動的な回でした。自らの恐怖と向き合う「暴露療法」に挑むことを決意した彼女の勇気に、まず胸を打たれます。

そして、お食い初めのシーン。一度は過去のトラウマが甦り、強い拒絶反応を示してしまいますが、そこで逃げずに「もう少し抱っこしていたい」と向き合い続ける姿に、彼女の母親としての強い意志を感じずにはいられませんでした。

「私はこの子のことをあまりにも知らないから」。このセリフが、今回の物語のすべてを象徴しているように思います。母性とは、生まれながらにして完璧に備わっているものではなく、我が子と関わり、知ろうと努力する中で、少しずつ、ゆっくりと育まれていくものなのかもしれない。そのことに、千夏自身が気づいた瞬間だったのではないでしょうか。

ラストの「母性の在り処を教えてほしい」というモノローグは、涙なしには読めませんでした。完璧な母親でなくてもいい。欠陥だらけでもいい。ただ、ひたむきに子どもを愛したいと願うその心こそが、「母性」そのものなのだと、この物語は優しく、そして力強く教えてくれている気がします。

【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】20話のネタバレまとめ

  • 身体拘束が解除された千夏は、自分に母性がないことに悩みつつも、回復への道を歩み始めていました 。
  • 看護師の提案を受け、恐怖の対象(息子)と向き合う「暴露療法」として、お食い初めのための外泊を決意しました 。
  • 1ヶ月ぶりに再会した息子を抱いた瞬間、千夏は再び胎動の記憶から強い拒絶反応に襲われました 。
  • しかし、彼女は逃げずに息子と向き合い続け、「この子のことをもっと知りたい」「母性の在り処を教えてほしい」と、母親としての一歩を踏み出しました 。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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