【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】26話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 産後2度目の生理を機に、千夏の心身の調子が劇的に良くなっていることに気づきました。
  • 回復したことで、テレビを観たり、他の患者と買い物に行ったりと、閉鎖病棟での「日常」を取り戻し始めました。
  • 過去の体調の波と生理周期が連動していることに気づき、千夏は自分の症状の原因が「生理前の精神症状」の強烈なものである可能性を考え始めました。
  • 千夏は、自分を狂わせていた怪物の正体が、妊娠・出産・生理すべてに関わる「女性ホルモン」だったのではないかという、一つの結論に至りました。

【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第26話をネタバレありでわかりやすく解説する

前回、自らの力で病の正体が「女性ホルモン」にあるのではないかと突き止めた主人公・千夏。第26話では、その仮説が確信へと変わり、ついに彼女の長く苦しい戦いに「病名」という名の光が差し込みます。そして、初めて一人で踏み出す外の世界で、彼女は失われたはずの「過去の自分」と再会を果たすのです。

この記事では、「妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第26話のあらすじを、ネタバレありで徹底的に解説していきます。

「任意入院」への切り替え―回復への大きな一歩

千夏の症状は、安定の兆しを見せていました。

医師からの提案

ウォーキング中、主治医の宇田川医師から「医療保護入院から任意入院に切り替えてもいいかなって思ってるんですけど」と提案されます 。それは、本人の意思でいつでも退院できるという、回復に向けた大きな信頼の証でした

院内外出という自由

任意入院に切り替わったことで、千夏にはもう一つの大きな変化がありました。それは、院内であれば30分間、一人で自由に出歩けるようになったことです 。彼女はその時間を利用して、院内にある小さな図書室へよく足を運ぶようになりました

自分自身で掴んだ「手掛かり」

図書室に通う中で、千夏は自分の症状について、ある仮説を立てます。

「レストレスレッグス症候群」という仮説

自分の足の症状が「レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)」の症状とそっくりだと気づきます 。しかし、医師はそれを「不安」からくるものだと診断しており、彼女はその診断に違和感を覚えていました

基礎体温表という決定的証拠

そんな中、夫の涼太が差し入れてくれた荷物の中に、妊活中に記録していた基礎体温表を見つけます 。そこに記されていたのは、体温が切り替わる「排卵期」(生理の2週間前)になると、決まって精神状態が悪化するという、動かぬ証拠でした 。この発見が、彼女の仮説を確信へと変えさせます。

初めての単独外出と、過去との再会

11月11日、千夏は初めて単独での院外外出を許可されます 。それは、彼女にとって大きな挑戦であると同時に、自分自身を取り戻すための重要な旅となりました。

「怖い」けれど「進む」

外の世界は、やはり刺激が強すぎました 。しかし、今の彼女には対処法があります。「ゆっくり深呼吸」「胸の鼓動 足音に意識を向けよう」 。一歩ずつ、一歩ずつ、彼女は恐怖と向き合いながら、懸命に前に進みます。

ひとり旅の記憶

歩き続けるうち、千夏の脳裏に、妊娠前の記憶が鮮やかに蘇ります。ひとり旅が好きで、地図もなく南の離島を巡っていた、かつての自分 。「この足で歩けてた?ひとりで…普通に?」。信じられない思いでしたが、そこには「怖い」という気持ちはなく、「わくわく」と「感動」に満ちていたことを思い出すのでした

ついに見つけた「病名」

過去の自分との再会は、千夏に大きな勇気を与えました。

怖いままでも、前へ

今の自分と、かつての自分。その胸の鼓動は、全く同じものでした。「怖いままでもいい 前へ進んでいけば また浴びられるかな あの風を」 。彼女の心に、確かな希望が灯ります。

「産褥期精神病」

外出先の本屋で、千夏は「産前産後の精神疾患」という本を手に取ります 。そして、そのページの中に、ついに自分の症状に完全に合致する病名を見つけるのです。

「新生児に対して不安、妄想を抱き、殺児念慮を抱くこともある」 。

あの日の、翼を「ポーンって落としてあげようねぇ」と言ってしまった自分 。それは、「産褥期精神病」の典型的な症状そのものでした。

「私の産後そのものだった」

たった半ページの情報量ではありましたが、そこに書かれていたのは、間違いなくここ数カ月の自分自身の姿でした 。ようやく、彼女の長く原因不明だった苦しみに、「病名」という光が差し込んだ瞬間でした。

【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】26話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、主人公・千夏が自らの力で希望を掴み取る姿に、深く感動させられました。医師にただ頼るだけでなく、自分で調べ、考え、仮説を立て、そして真実にたどり着く。その知的で力強い姿に、心からの拍手を送りたいです。

ひとり旅の記憶を思い出すシーンは、特に印象的でした。未知の世界に「わくわく」していた、かつての自分。その記憶は、今の彼女が完全に失ってしまったものではなく、心の奥底に大切に眠っているだけなのだと、優しく教えてくれるようでした。「怖いままでもいい、前へ進めばいい」という彼女の決意は、同じように不安や恐怖を抱える多くの人々の背中を、そっと押してくれるに違いありません。

そして、ついにたどり着いた「産褥期精神病」という病名。原因がわからず、「自分の性格が悪いからだ」と責め続けてきた彼女にとって、この病名との出会いは、何よりの救いになったはずです。ようやく自分の苦しみが、治療可能な「病気」なのだと認識できた。ここから、本当の意味での彼女の回復が始まるのだと、強く感じさせられる、希望に満ちた素晴らしい回でした。

【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】26話のネタバレまとめ

  • 千夏の症状が安定してきたため、「医療保護入院」から、いつでも退院できる「任意入院」へと切り替えられました 。
  • 院内の図書室や、妊活中の基礎体温表から、千夏は自分の症状の原因が「女性ホルモン」の周期と連動しているという確信を深めました 。
  • 初めての単独外出に挑戦した千夏は、恐怖と向き合う中で、かつての好奇心旺盛だった自分を思い出し、前に進む勇気を取り戻しました 。
  • 外出先の書店で、千夏は自らの症状が「産褥期精神病」という病気によるものであることを知り、ついに自分の苦しみに名前を見つけました 。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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