【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】2話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 主人公の河井優奈は、夫と愛する息子と暮らす23歳の若き母親ですが、その穏やかな日常は少しずつ崩れ始めていました。
- 彼女は幼稚園のママ友グループ内で、年若いことを理由に巧妙に孤立させられ、厄介な雑用を押し付けられるなど、陰湿ないじめの標的となっていました。
- ママ友のリーダー格である沙織の息子の誕生日パーティーで、優奈は不慮の事故により高価な特注バースデーケーキを台無しにしてしまい、事態は最悪の方向へ転がります。
- 激怒した沙織は、大勢のママ友や子供たちの前で優奈に土下座を強要し、ストレスが原因でできていた円形脱毛症を嘲笑うという、人の尊厳を踏みにじる非道な仕打ちを行いました。
- 最終的に、優奈は法外な金額の弁償と理不尽な反省文を要求された上、ママ友グループから一方的に追放され、社会的に完全に孤立した状態で第2話の物語は続きます。
【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】第2話をネタバレありでわかりやすく解説する
前話において、ママ友という閉鎖的な社会から理不尽に追放され、心身ともに深い傷を負った主人公・優奈。しかし、彼女を待ち受けていたのは、安息の時間ではなく、さらなる絶望が幾重にも連なる悪夢のような現実でした。物語は、彼女の苦悩が家庭や経済状況にまで暗い影を落とし、新たな局面へと突入するところから静かに始まります。
息子の告白と閉ざされた相談先
明らかになるいじめの実態
ある日の午後、優奈が愛息子・圭太を幼稚園に迎えに行くと、園の先生から圭太が園庭で転んでしまったと報告を受けます 。しかし、その些細な怪我の裏には、見過ごすことのできない深刻な問題が隠されていました。帰宅後、優奈が優しく問いかけると、圭太は堰を切ったように真実を語り始めます。「祐介君がドンって押したんだよ」 。祐介とは、あの優奈を地獄に突き落とした沙織の息子です。圭太はこれまでずっと、祐介から執拗ないじめを受けていたことを、小さな体を震わせながら涙とともに母親に打ち明けたのです 。
息子の悲痛な告白は、優奈の心を鋭い刃物で引き裂くような痛みを与えました。母親として、何よりも大切な我が子を守らなければならない。その一心で、彼女は藁にもすがる思いで幼稚園の園長先生に相談を持ちかけます。しかし、園長から返ってきたのは、「イジメなんて大袈裟な…」 「些細な子供のケンカでしょう」 という、あまりにも無責任で冷淡な言葉でした。優奈が必死に食い下がっても、園長はただ困ったように曖昧な表情を浮かべるだけで、問題を解決しようとする姿勢は微塵も見せません 。大人の世界の力関係や保身を前に、子供のSOSがいかに無力であるか。優奈は、相談すべき場所さえも閉ざされているという現実に、深い絶望感を味わうことになります。
迫りくる経済的困窮
闇金からの執拗な催促
圭太が抱える問題に心を痛める優奈に、容赦なくさらなる追い打ちがかかります。前話で沙織への弁償金を用意するために手を出してしまった消費者金融。その実態は、「トイチ」と呼ばれる法外な金利で金を貸し付ける、悪質な闇金業者だったのです 。業者からの電話に出ると、佐藤と名乗る男が事務的かつ冷酷な口調で告げます。「返済日を3日過ぎていますので、現在の返済額は25万です」 。
「トイチ」とは、10日間で1割の利息が付くという違法な貸付システムを指します。つまり、優奈が借りたわずか10万円は、瞬く間に雪だるま式に膨れ上がっていたのです 。優奈が「滞納金の話はうかがっていなかったのですが…」 と弱々しく抗議しても、佐藤は「サイトにちゃんと書いてありますよ」と冷たく一蹴します 。そして、電話の最後には、「ご返済いただけないならご自宅にお伺いして、ご主人にご相談させていただきますが…」 と、優奈が最も恐れている「家庭への介入」をちらつかせ、精神的に追い詰めてくるのでした。これは単なる借金の催促ではなく、彼女の平穏な家庭生活そのものを人質に取った、悪質な脅迫に他なりません。
頼れない実母への想い
誰にも相談できず、完全に八方塞がりとなった優奈の脳裏に、唯一の肉親である実の母親の顔が浮かびます 。しかし、彼女はスマートフォンの連絡先をただ見つめるだけで、助けを求める電話をかけることができませんでした 。女手一つで自分を育ててくれた母の苦労を知っているからこそ、頼ることはできないのです。
貧しい母子家庭の暮らしの中、「ウチは貧乏だけどあんたひとりを大学にやるくらいなんとか…」 と言ってくれた母の深い愛情。その母の想いを振り切る形で、高校卒業後すぐに明彦との結婚を選んだのは、他の誰でもない自分自身でした 。決して楽ではない暮らしをしている母親に、これ以上心配や金銭的な迷惑はかけられない。優奈は、一人でこの底なしの苦境を乗り越えるしかないと、唇を強く噛みしめるのでした。
悪魔の囁きと母の決意
隠された幼稚園の闇
そんな絶望の淵をさまよう優奈の元へ、意外な人物が訪ねてきます。ママ友の一人であった由紀子です。彼女はまず、沙織から優奈と話すことを固く禁じられていたと申し訳なさそうに明かしました 。そして、圭太のいじめ問題について、園長が決して動くことができない、根深い理由を語り始めます。実は、園長は沙織の夫が有力な支持者である後援会の会員だったのです 。
さらに、過去に幼稚園が近隣との境界線を巡るトラブルを抱えた際、政治家である沙織の夫の力添えによって問題を解決してもらったという大きな恩がありました 。そのため、園長は沙織に対して全く頭が上がらないという力関係が出来上がっていたのです 。この事実は、幼稚園という閉鎖的な社会の中で、沙織がいかに絶対的な権力を持ち、その権力が子供たちの安全さえも脅かしているという恐ろしい構造を浮き彫りにします。
息子の傷と危険な取引
由紀子は、事情を話しながらも優奈を深く心配し、なけなしのお金を「これくらいだけど…」と差し出します 。そして、ためらいがちに、まるで悪魔の囁きのようなある提案を持ちかけました。「沙織さんご主人の仕事を手伝ってくれる人を探してるみたい」 「…若い女性が必要みたい」 。その言葉の響きは、どう考えてもまともな仕事とは思えない、不穏な空気をまとっていました。
優奈がその危険な申し出を断ろうとした、まさにその時です。幼稚園から帰ってきた圭太の腕に、痛々しく赤黒い痣があるのを見つけてしまいます 。問い詰めると、またしても祐介から暴力を振るわれたことがわかりました 。泣きじゃくりながら母親にすがる我が子を強く抱きしめながら、優奈の心に一つの決意が、まるで硬い鋼のように固まります。「私が圭太を守ってやらなきゃ」 。
それまでの迷いや恐怖が、燃え上がるような怒りと、どんな犠牲を払ってでも我が子を守り抜くという母性へと変わる瞬間でした。愛する息子のためなら、どんな汚い世界に足を踏み入れることも厭わない。母親としてのあまりにも純粋で強い想いが、皮肉にも彼女を最も危険な道へと突き動かしたのでした。
踏み入れた夜の世界
政治家たちの醜い宴
由紀子の手引きで優奈が向かった先は、ネオンが煌めく雑居ビルの一室にある、薄暗い高級スナックでした 。そこで行われていたのは、沙織の夫である政治家と、その支援者である年老いた男たちによる、日本の未来を憂うとは思えない醜い密談の宴です。沙織は悪びれる様子もなく、初めて見る夜の世界に戸惑う優奈に「地方政治の重要な政策は議会じゃなくてこういう場所で決まるんだよ」と、歪んだ現実を誇らしげに語ります 。
優奈に与えられた「仕事」とは、下品な笑い声を上げる年老いた政治家たちの隣に座り、お酌をして回ることでした 。沙織は、「素人っぽさがいいのよ」 「もちろんアルバイト代は出すわ。お金、必要なんでしょ?」 と、優奈の経済的な弱みと経験のなさを的確に突き、支配者として振る舞います。そして、優奈が逃げられないように、決定的な一言を告げました。「それに、圭太くんに祐介がちょっとヤンチャなことしてるって?それもよく言って聞かせるわ」 。愛する息子の安全を人質に取られた今、優奈に残された選択肢は、この屈辱的な状況を受け入れること以外にありませんでした。
逃走と闇金業者との遭遇
しかし、宴の席で優奈を待っていたのは、単なるお酌では済みませんでした。酒に酔った政治家の一人が、その醜い欲望を剥き出しにし、優奈の体に触れてきたのです 。恐怖と嫌悪感に耐えきれなくなった優奈は、必死の思いでその男の手を振り払い、店を飛び出しました 。しかし、一つの地獄から逃れた先に、別の地獄が口を開けて待ち構えていました。店の外で彼女を待ち受けていたのは、あの闇金業者の佐藤だったのです 。
佐藤は、「借金を返すために水商売ですか?」 と嘲笑い、「手っ取り早く稼げる店、ご紹介しますよ」 と、さらに深く、抜け出すことのできない闇の世界へと優奈を引きずり込もうとします。言い知れぬ恐怖に駆られた優奈は、佐藤の腕を振り払い、当てもなく夜の街を必死に逃げるしかありませんでした 。
絶望の連鎖、そして悲劇へ
沙織の非情な言葉と晒されたプライバシー
翌日、優奈は震える声で沙織に昨夜のことを謝罪しますが 、沙織は「主人は赤っ恥をかかされたって激怒していたわ」 と氷のように冷たく突き放します。なおも圭太のいじめについて懇願する優奈に、沙織は人間性を疑うような、信じられない言葉を吐き捨てました。「くたばりゃいいのよ、あんたのガキなんて」 。この一言は、優奈の中に僅かに残っていた最後の希望の光さえも、無慈悲に吹き消すのに十分でした。
そして、優奈をさらなる奈落の底へと突き落とす出来事が起こります。自宅マンションのエントランスにある掲示板に、昨夜のスナックで政治家たちと写っている写真と、あの闇金からの督促状が、見せしめのように貼り出されていたのです 。一体誰がこんなことを。全てのプライバシーを暴かれ、悪意あるゴシップの対象とされた優奈は、もはや正常な精神状態を保つことができず、その場に崩れ落ちてしまいました 。
逃避の果ての転落
その夜、静まり返った部屋に、けたたましくインターホンが鳴り響きます 。モニターに映し出されていたのは、悪夢の象徴、闇金業者の佐藤の顔でした 。事態を飲み込めていない夫の明彦が、訝しげに玄関へと向かう中、優奈の心は恐怖で完全に壊れてしまいます。「ここにいたら捕まる」 「逃げなくちゃ」 。
正常な判断能力を失った優奈は、まるで何かに憑かれたように、パジャマ姿のままベランダの窓を開け、柵を乗り越えようとします 。その常軌を逸した行動にいち早く気づいたのは、他でもない息子の圭太でした。「ママ…?」 。愛する息子の声に、優奈は一瞬、我に返ります。
しかし、時すでに遅く、彼女の体はバランスを崩し、重力に従ってベランダから真っ逆さまに転落していきました 。息子の圭太が呆然と見つめる前で、優奈は冷たいコンクリートに叩きつけられ、おびただしい量の血を流して動かなくなります。その直後、何も知らない優奈の母親が「何かあったみたいでふさぎ込んでて…」 と心配して訪ねてくるという、あまりにも皮肉で残酷な場面で、物語の第2話は幕を閉じます。
【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】2話を読んだ感想(ネタバレあり)
第2話を読み終え、ただただ言葉を失いました。前話のラストで感じた息苦しさが、今回は絶望的なまでの閉塞感となって、読者である私の心に重くのしかかってきます。優奈が助けを求めようとする先はことごとく厚い壁に阻まれ、まるで出口のない迷路を永遠にさまよっているかのようです。幼稚園という小さな社会に巣食う権力構造、法を無視した闇金の非道な脅迫、そして何よりも母親として息子を守りたいという切実な想い。これら全てが複雑に絡み合い、彼女を逃れることのできない巨大な蜘蛛の巣へと捕らえていく様は、読んでいて戦慄を覚えずにはいられませんでした。
特に私の心に深く突き刺さったのは、優奈が危険な仕事に足を踏み入れることを決意するシーンです。それまで理不尽な仕打ちに耐えに耐えてきた彼女が、愛する息子の腕にある痛々しい痣を見た瞬間に、全てを捨ててでも息子を守る覚悟を決める。その姿は、母性の計り知れない強さと、それが時として人を狂わせ、破滅へと向かわせてしまうほどの危うさを内包していることを見せつけられた気がします。
そして、沙織が放った「くたばりゃいいのよ、あんたのガキなんて」 というセリフ。これは単なる暴言ではなく、人の心に巣食う最も醜い悪意そのものが具現化したような、恐ろしい言葉でした。この一言が、優奈の心を完全に破壊し、最後の悲劇的な転落への引き金を引いてしまったのかもしれません。
衝撃的としか言いようのないラストシーンは、まさに悲劇そのものです。彼女は一体、何から逃げようとしていたのでしょうか。闇金業者から?夫に全ての真実が知られてしまうことから?それとも、自分自身を容赦なく追い詰める、この残酷な現実そのものから?その答えは、冷たいアスファルトの上で血を流して横たわる彼女の姿の中に、静かに沈んでいったように思えます。この物語がこれから一体どこへ向かうのか、今はただ、祈るような気持ちで次の展開を見守るしかありません。
【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】2話のネタバレまとめ
- 優奈は、息子の圭太が沙織の息子である祐介からいじめを受けている事実を知り、幼稚園に相談しますが、権力者である沙織に忖度する園側は問題を黙殺します 。
- 沙織への弁償金のために借りた金は「トイチ」という法外な金利の闇金であり、返済額はあっという間に25万円に膨れ上がり、執拗な催促と脅迫を受けます 。
- 息子の圭太をいじめから守るという一心で、優奈は沙織の夫の「仕事」を手伝うことを決意しますが、それは政治家たちへの屈辱的な接待でした 。
- 接待の場でセクハラ行為を受け逃げ出した優奈は、待ち構えていた闇金業者に遭遇し、さらに精神的に追い詰められることになります 。
- 後日、優奈のプライバシーを暴露する写真や督促状がマンションの掲示板に貼り出され、彼女は精神的に限界を迎えました 。
- 自宅に闇金業者が押しかけてきたことによるパニックから、優奈はベランダから逃げようとして足を滑らせ転落し、息子の目の前で血を流して倒れるという衝撃的な結末を迎えます 。
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