復讐モノ

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】5話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 愛する娘・優奈の死の真相が、沙織を中心としたママ友たちによる陰湿ないじめが引き起こした紛れもない「殺人」であったことを知った母・玲子は、静かながらも燃え盛る怒りを胸に、彼女たちへの完全な復讐を誓いました。
  • 彼女はまず、過去に介護士として誠心誠意尽くし、深い信頼関係を築いていた身寄りのない老人から、その死後に復讐計画の実行に不可欠な軍資金となる多額の遺産を、まるで天の導きであるかのように運命的に譲り受けます。
  • 娘を死に追いやった沙織たちへの完全な復讐を成し遂げるため、玲子は別人になりすまして彼女たちの懐深くへと潜入するという、あまりにも大胆な計画を立て、自らの過去も、親から与えられた顔も、その全てを捨てるという壮絶な覚悟で、大規模な全身整形手術を受けることを決断しました。
  • 過酷な手術は無事に成功し、過去の面影を一片たりとも残さない、全く新しい顔と身体を手に入れた玲子は、鏡に映る見知らぬ自分の姿を見つめながら、「あの人たちを許せない」と、復讐への揺るぎない、そして氷のように冷たい意志を再確認するのでした。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】第5話をネタバレありでわかりやすく解説する

前話において、復讐の女神として物理的にも生まれ変わり、敵陣である幼稚園への潜入という第一歩を成功させた玲子。第5話では、物語の焦点を沙織だけでなく、優奈を苦しめた別の人物にも当て、新たな復讐のターゲットが登場します。玲子がその人物を社会的に抹殺するため、自らの身を投じて夜の世界へと足を踏み入れる様子が描かれ、彼女の復讐計画が、より深く、そして後戻りのできない危険な領域へと進んでいく、新たな局面を迎えることになります。

新たなターゲット – 歪んだ夫婦の日常

家庭を顧みない夫と疑心暗鬼の妻

物語は、とある家庭の冷え切った日常を映し出す場面から始まります。深夜、夫がスマートフォンをいじっていると、妻が「こんな時間に誰?」と問い詰めます 。夫は「会社の同僚だよ」と素っ気なく答えますが、その言動が怪しいことを察しています。

一人になった妻は鬱憤を晴らすようにパソコンの画面に釘付けです。画面に表示されているのは、「既婚男性と不倫した女優 木下絵里を芸能界引退に追い込むスレ」という悪意に満ちたインターネットの掲示板 。彼女は、他人の不倫スキャンダルを執拗に追い、その誹謗中傷に加担することに愉悦を感じているようでした。

妻は夫の過去の過ちを決して許しておらず 、彼の浮気を常に疑っています。「若いママと知り合いたいだけでしょ」と、幼稚園の発表会に来たがる夫を牽制する言葉には、深い不信感が滲み出ていました 。そんな中、夫が亡くなった優奈のことを「いい人だなー」などと無神経に口にすると 、妻は心の中で「あんな泥棒猫 死んで当然よ」と、嫉妬と憎悪に満ちた言葉を吐き捨てる始末 。この、歪んだ日常を送る夫婦こそ、玲子の新たな復讐のターゲット、葛西夫妻に他なりませんでした。

夜の世界へ – 復讐のための新たな舞台

ガールズバーへの入店

玲子は、復讐計画の次のステップとして、ネオンが煌めく夜の街に佇むガールズバー「Cherry」 の重い扉を叩きます。ターゲットである葛西が、若い女性を何よりも好むという情報を事前に掴んでいた彼女は、彼に確実かつ自然に接近するために、自ら夜の世界に身を投じるという、あまりにも大胆な手段を選択したのです。

店の経営者であるママは、初めて店を訪れた玲子の、素人とは思えない完璧な容姿と、年齢不詳の落ち着いた雰囲気にすぐに興味を示します。そして、鋭い観察眼で「訳ありなんでしょ」 と見抜き、「ウチはミテコ(未経験者)でも気にしないから」 と、身分証すら持たない 玲子を、リスクを承知の上であっさりと受け入れました。

玲子はこの煌びやかでありながらも虚飾に満ちた世界で生きていくための新たな名前を尋ねられ、静かに、しかし、その奥に揺るぎない意志を込めてこう告げるのでした。

ユウナでお願いします

それは、この世からいなくなってしまった、愛する娘と同じ名前。自らの存在を、娘が生きた証と一体化させ、その無念を晴らすために全ての罪を背負うという、彼女のあまりにも悲しく、そして壮絶な覚悟の表れでした。

疑似親子のかけがえのない時間

これから足を踏み入れる夜の世界とは対照的に、玲子と、彼女が引き取った少年・陸との間には、疑似的でありながらも、確かな親子の絆が育まれていました。「幼稚園にはもう慣れた?」 と母親として優しく問いかける玲子に、陸は屈託のない笑顔で「うん 先生やさしいよ」 と答えます。玲子が仕事の面接に行くために着ていた、普段とは違うスーツ姿を見て、「お母さん、働くの?」 と尋ねる陸の、子供ながらの鋭い洞察力に、玲子は少し驚かされます。

陸は、過去の経験からか、「僕 留守番慣れてるもん」 と、幼いながらも新しい母親を気遣う健気さを見せます。玲子はその小さな体を、愛おしそうに、そして何かを確かめるように優しく抱きしめ、「ありがとうね」 と心からの感謝の言葉を伝えるのでした。

この穏やかで温かい時間は、これから彼女が足を踏み入れようとしている、嘘と欲望が渦巻く非情な世界とはあまりにも対照的です。そしてそれは、彼女が何を守るために戦っているのか、何を取り戻したいと願っているのかを象徴する、かけがえのない瞬間でもありました。

ターゲットとの接触 – 運命の夜

「ユウナ」としての初仕事

「ユウナ」という、娘の魂を宿したかのような名前を名乗り、玲子はガールズバーでの初出勤の日を迎えました。そしてその夜、まるで運命の糸に引き寄せられるかのように、店のカウンター席に、あの男、葛西が当たり前のように座っていました 。彼は店のママに「新しい娘 入ってる?」 と品定めするような視線を店内に送り、若い女性への尽きない欲望を隠そうともしません。

玲子、いや「ユウナ」は、店のママに促されるまま、葛西の席へと案内されます。彼は、初めて見る「ユウナ」の、他のキャストとは一線を画す美しさと儚げな雰囲気に、一瞬で心を奪われた様子でした 。玲子は、水商売の経験が全くないことを逆手に取り、客の扱いにも慣れていない、初々しく、そしてどこか影のある女性を完璧に演じ切ります。その危うげな魅力は、夜の世界の酸いも甘いも知り尽くし、経験豊富な女性には飽きていた葛西の、歪んだ独占欲を強く、そして深く刺激したのでした。

巧妙に仕掛けられた罠

玲子は、自らを大学の学費を稼ぐために、夜の世界で働くことを余儀なくされた健気な苦学生という設定で、巧みに演じます 。その作り上げられたストーリーは、葛西の同情と興味を引くのに十分でした。彼は、すっかり目の前の「ユウナ」という女性に夢中になり、まるで獲物を狙うかのように、粘着質に彼女を口説き始めます 。

店のママも、そんな葛西の様子をカウンター越しに見て、「葛西さん 興味があるなら彼女に話してあげてもいいわよ」 と、まるで玲子の背中を押すかのような言葉をかけます。しかし、これも全て、玲子が事前に周到に仕組んだ、完璧なシナリオ通りでした。

その夜、店の外で待ち合わせをした二人は、煌びやかなネオンが照らす夜の街を、まるで恋人同士のように歩き始めます。そして葛西は、何の下心も疑うことなく、玲子をラブホテルへと誘うのでした 。玲子の復讐計画は、いよいよ最終段階へと静かに移行しようとしていました。

覚悟の夜 – 復讐のための代償

恐怖と決意の狭間で

ラブホテルの簡素な部屋に入り、葛西から先にシャワーを浴びるよう促された玲子の心には、一瞬、これから行おうとしていることへの恐怖と、一人の女性としてのためらいが、暗い影のように よぎります。しかし、彼女は洗面所の冷たい鏡に映る、見知らぬ自分自身の顔に、まるで言い聞かせるかのように、強く、そして静かに語りかけるのでした。

覚悟ならできてるこんなことで怖じ気づいてどうするの…優奈の 娘の敵を討つためならなんだってできる

これは、恐怖に押しつぶされそうになる自らを奮い立たせるための、あまりにも悲痛なまでのマントラでした。愛する娘の復讐を成し遂げるためならば、自らの身体さえも、冷徹な駒として使う。その揺るぎない、そして狂気にも似た決意が、彼女の中から最後の恐怖を打ち消していくのでした。

罠にかかった男

シャワーから上がってきた葛西は、すっかり油断しきっていました。彼は、玲子の純粋で優しげな態度に完全に心を許し、「やっぱりユウナちゃんはやさしいねえ」 「俺はユウナちゃんのそういうところが好きなんだ」 と、完全に玲子の術中にはまっていました。彼は、家庭では満たされない自らの欲望を満たすため、妻との関係が冷え切っていることを示唆し、玲子へのあからさまな好意を隠そうともしません。

玲子は、そんな愚かな葛西に対し、営業トークではなく、心から彼に惹かれているかのように完璧に振る舞います。「私、葛西さんといるとホッとするんです」 。その一言は、葛西の理性の最後のタガを外すのに十分でした。

物語のラスト、玲子から「今度、家に行っていいですか?」 と、さらなる関係を匂わせるように尋ねられた葛西は、「家はちょっと…」 と口ごもりながらも、「俺はかわいいユウナちゃんひと筋だから♡」 と、妻以外の女性の存在を否定する、あまりにも軽薄で自己中心的なメッセージを送ります。彼が、玲子の仕掛けた甘く、そして恐ろしい罠に、完全に囚われてしまったことを明確に示す場面で、第5話は静かに幕を閉じます。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】5話を読んだ感想(ネタバレあり)

第5話は、玲子の復讐計画が、ついに具体的な行動として実行に移される最初のステップであり、その冷徹さと、どこまでも計算され尽くした計画性の高さに、改めて戦慄を覚えました。特に、亡き娘と同じ「ユウナ」という名前を自ら名乗り、夜の世界にその身を投じる彼女の覚悟には、胸が締め付けられるような思いがします。それは、娘が生きていた証と、その無念を自らの身に深く刻み込み、復讐の業火を決して絶やさないための、あまりにも悲しく、そして壮絶な儀式のようにも見えました。

今回の復讐のターゲットである葛西という男の、絵に描いたような下劣さも、物語に深みを与えている重要な要素です。家庭を顧みることなく、インターネットの匿名性に隠れて他人の不幸を娯楽として誹謗中傷し、若い女性にだけ執拗に執着する。彼の人間性は、玲子が行おうとしている復讐行為に、ある種の正当性、いわば「天罰」としての意味合いを与えてしまっているように感じます。だからこそ、彼が玲子の仕掛けた、あまりにも古典的なハニートラップにいとも簡単に、そして喜々として落ちていく様は、滑稽でありながらも、これから彼を待ち受けるであろう破滅的な運命を思うと、ぞっとせざるを得ません。

そして、ラブホテルの部屋で、言い知れぬ恐怖に震えながらも「娘の敵を討つためなら」と、鏡の中の自分に言い聞かせるシーンは、本作屈指の名場面だと思います。これは、一人の優しかった女性が、悲しみにくれる母親という存在を超え、自らの目的のためなら、己の魂や肉体さえも犠牲にすることを厭わない、冷徹な復讐の化身へと完全に変貌を遂げた、決定的で、そしてあまりにも悲しい瞬間だったのではないでしょうか。玲子は、この愚かで救いようのない男を、一体どのような手口で社会的に、そして精神的に抹殺するのか。その巧妙な手口に、今はただ目が離せません。

【娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか】5話のネタバレまとめ

  • 新たな復讐のターゲットとして、家庭を顧みず、亡き優奈を「泥棒猫」と罵るなど、悪意に満ちた言動を繰り返していた葛西夫妻が登場します。
  • 玲子は、若い女性を好むという弱点を持つ葛西に計画的に接近するため、ガールズバーで働き始め、その際の源氏名を、亡き娘と同じ、あまりにも悲しい響きを持つ「ユウナ」に設定しました。
  • 玲子は、自らが引き取った、虐待されていた少年・陸との間に、疑似的ながらも温かい、確かな親子の関係を築いており、そのかけがえのない存在が、彼女の過酷な復讐計画を遂行する上での、唯一の心の支えとなっている様子が描かれます。
  • 玲子は「ユウナ」として、店の客として現れたターゲットの葛西に計画通り接触し、その清純で初々しい魅力を完璧に演じきることで、いとも容易く彼を虜にすることに成功します。
  • 復讐計画の最終段階として、玲子は自らの身体を代償に差し出す覚悟で葛西とラブホテルに行き、彼を油断させ、その心を完全に手中に収めることで、破滅へと続く甘い罠にかけることに成功するのでした。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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