不倫モノ

【悪いのはあなたです】1話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【悪いのはあなたです】第1話をネタバレありでわかりやすく解説する

物語は、主人公の女性が子供の頃に思い描いていた理想の人生と、あまりにもかけ離れた現在の自分を嘆く場面から始まります。

理想とはかけ離れた現実

「小学生の頃は25歳くらいで結婚してると思ってた」

主人公、山本莉子(やまもとりこ)、29歳 。彼女は幼い頃、年収や見た目といった条件ではなく、自分の正しい目で選んだ素敵な人と結ばれる未来を夢見ていました

しかし現実は、29歳になっても結婚の気配すらありません。それどころか、他の女性に生涯を誓った、つまりは既婚者の男性と関係を持ってしまうような、満たされない日々を送っていました

場面は変わり、誰かが誰かを問い詰めているような不穏なシーンが描かれます 。ただ幸せになりたいだけなのに、なぜこんなことになってしまったのか 。物語の冒頭から、主人公が何らかの事件に巻き込まれてしまったことを予感させます。

突然の解雇通告

物語は、莉子の日常へと移ります。季節は6月

オフィスで上司に呼び出された莉子は、衝撃の事実を告げられます。

「残念だけど来月から人員を3分の1減らすことになりました」

それは、派遣社員である莉子たちにとって、事実上の解雇通告でした 。しかも、「今月で終わりね」という非情な言葉と共に 。あまりに突然の出来事に、莉子は「え…クビってことですか…」と呆然とするしかありません

いくら簡単にクビを切れる派遣社員とはいえ 、あまりにも急な通告に、莉子の心はパニックに陥ります 。29歳という年齢で、次の仕事がすぐに見つかるのか。不安に駆られた彼女の頭には、「29歳で風俗って働けるのかな…」といった最悪の選択肢までよぎるのでした

同僚との格差と孤独

失意の莉子に、同僚たちが声をかけます 。彼女たちも同じように解雇されたはずですが、その表情には莉子ほどの絶望は見られません。

「2人は不安じゃないの!?」

莉子が思わず尋ねると、同僚の一人は悪びれる様子もなくこう言いのけます。 「ダンナが今の仕事辞めたら専業主婦でいいって言ってくれたんだ〜」

もう一人の同僚も、「私もダンナに相談しよ〜」と明るく話します

彼女たちには、いざという時に支えてくれる夫という存在がいました。しかし、莉子には誰もいません。「私には養ってくれる人いないもんな…」と、自分の置かれた孤独な状況を改めて突きつけられ、涙をこらえるのでした

同僚たちの幸せそうな会話は、莉子の心を深くえぐります 。自分だけがこの世の不幸を一身に背負っているような孤独感。彼女は、「私も守られた安全な世界で生きたい」と、ただ静かに願うことしかできませんでした

運命の出会いは突然に

仕事からの帰り道、莉子は自販機で飲み物を買おうとしますが、百円玉がなく、千円札を崩すかどうかでさえ悩んでしまいます 。「選択ができるというのはとても贅沢なことだ」というモノローグは、今の彼女の金銭的な余裕のなさを象徴しています 。

自分には大したスキルもなく、言われたことしかできない 。だから、そこそこの給料の仕事にしか就けない 。そんな自分が人生を一発逆転するには、「玉の輿」か「宝くじ」しかない、と本気で考えてしまいます

「はぁ〜誰かお金持ちの男の人、飼ってくんないかなぁー…」

そんな自暴自棄な願いを胸に、クビになった自分へのせめてもの慰めとして、少し高い飲み物を買うことにした莉子

「悪いのはこんな世の中だ 強く生きよう!」と自分を奮い立たせます が、金曜日の夜の雑踏に酔いそうになってしまいます

その時でした。人混みの中でバランスを崩した莉子は、ハイヒールのヒールを折ってしまい、駅の階段から転げ落ちてしまったのです

しかし、倒れ込む寸前、誰かが彼女の体を優しく受け止めます。

「大丈夫…!!!」

顔を上げると、そこにいたのは見知らぬイケメンでした。

親切なイケメンの正体

助けてくれた男性は、「よかった…怪我はなさそうだね」と優しく声をかけてくれます 。突然の出来事と、イケメンの登場に戸惑う莉子

しかし、アクシデントは続きます。莉子が転んだ弾みで、男性が持っていたコーヒーが莉子のカバンにかかってしまいました

「僕が悪いし」と言って、全く莉子を責めない男性 。彼は汚してしまったお詫びがしたいと申し出て、もし時間があれば…と莉子を誘います

「ナンパ…?」と警戒しつつも、彼の綺麗な顔立ちに惹かれてついて行ってしまった莉子

連れてこられたブティックで、男性は莉子のために新しい服一式を選んでくれます。そして、合計3万5千円の服を「カードで一括で」とためらいなく購入してしまうのです

初めて会ったばかりの相手に、こんな高価なものを買ってもらうなんて絶対におかしい 。何か裏があるに違いないと、莉子は彼を問い詰めます

すると、男性は意外な言葉を口にしました。

「君クリムト好きなんでしょ?」

彼が指差したのは、コーヒーで汚れた莉子のカバン 。そこに描かれていた絵の画家(グスタフ・クリムト)のファンだと、彼は勘違いしていたのです 。クリムト好きの綺麗な女性を汚してしまったお詫びだった、と彼は説明します

もしここでファンじゃないと知られたら、この親切はなかったことになるかもしれない… 。そう考えた莉子は、とっさに「わ…私も…クイムト大好きなんです〜〜〜」と嘘をついてしまうのでした

予期せぬ一夜と明かされる真実

嘘が功を奏し、男性は「話せる人が全然いないからうれしいなー!!」と大喜び 。すっかり意気投合した(ように見えた)二人は、高級そうなバーへと向かいます。

生まれて初めて経験するような豪華な食事とワイン 。知らない女性に服を買い与え、1万円のワインを平気で開ける男性の姿に、莉子は「世界が違いすぎる」と感じます

クビになったこと、お金がないこと、最近何も良いことがなかったこと… 。お酒の力も手伝って、莉子は自分の不幸な身の上を彼に打ち明けます。

すると彼は、「莉子ちゃんは優しい子だからダメ男を引き寄せちゃうんだろうな…」と、全てを包み込むように優しい言葉をかけます 。そして、「コレよかったら…」と、1万円札を差し出すのでした 。

この親切すぎる申し出に、莉子の心のダムは決壊します。この人は、私を励ますために現れてくれた神様のような存在なのだと

もはや、彼を疑う気持ちはどこにもありませんでした。 「お金なんてもらったら帰れないよね…」

莉子は彼の優しさに身を任せ、その夜、彼と一夜を共にしてしまいます

翌朝、莉子が目を覚ますと、隣にはもう彼の姿はありません

しかし、彼の薬指に指輪が光っていたのを、莉子は見てしまいました 。そう、彼は既婚者だったのです 。

騙されたとショックを受ける莉子でしたが 、昨夜の楽しかった時間を思い出し、「楽しんだからいいか…」と自分を納得させようとします

しかし、莉子が抱いた淡い期待は、もろくも崩れ去るのでした。

完璧な男の裏の顔

場面は変わり、莉子と別れた男の自宅が映し出されます。彼は双子の娘を持つ、優しい父親を演じていました

しかし、家族が寝静まった後、彼の表情は一変します。

「いい父親でいるのも疲れるな」

彼がパソコンで見ていたのは、昨夜の莉子との情事を隠しカメラで録画した映像でした

彼は、約束をドタキャンされた腹いせに、たまたま見かけた莉子をターゲットにしたのです

「少しエサやるとすぐシッポ振って喜ぶんだからかわいいよな…」

彼は莉子の純粋さをあざ笑い、録画した映像を見ながら高笑いするのでした

そして、「めちゃくちゃ懐かせてから捨てたくなるなぁ…」と、さらなる悪意を口にするのです

莉子が夢見た救世主は、人の心を弄ぶことを楽しむ、恐ろしい男だったのです。

【悪いのはあなたです】1話を読んだ感想(ネタバレあり)

第1話から、主人公・莉子さんの不幸のオンパレードで、読んでいて胸が苦しくなりました。仕事もお金も愛する人もいない29歳というリアルな設定が、彼女の焦りや孤独を一層引き立てています。同僚との何気ない会話でさえ、自分だけが取り残されていくような感覚に陥る場面は、多くの人が共感できるのではないでしょうか。

そんな絶望の淵に立たされた彼女の前に現れた、まさに王子様のようなイケメン。あまりに完璧すぎて怪しいとは思いつつも、莉子さんと同じように「この人が救ってくれるかも」と、つい期待してしまいました。特に、クリムトのくだりや、ダメ男を引き寄せると言う場面のセリフは秀逸で、どんどん彼の術中にはまっていく莉子さんの心情が痛いほど伝わってきます。

だからこそ、最後の数ページで明かされた彼の本性には、本当にゾッとしました。優しさも、お金も、全てが莉子を弄ぶための「エサ」だったなんて…。人の純粋な気持ちを踏みにじる彼の歪んだ笑顔は、まさに悪魔そのものです。この出会いは、莉子さんにとって救いとなるのか、それともさらなる地獄の始まりなのか。1話から読者の心を鷲掴みにする、衝撃的な展開でした。

【悪いのはあなたです】1話のネタバレまとめ

  • 主人公の山本莉子(29)は、理想と違う現実に悩み、派遣の仕事をクビになる 。
  • 同僚は結婚しており、支えてくれる人がいない莉子は強い孤独を感じる 。
  • 駅の階段から落ちたところを、見知らぬイケメンに助けられる 。
  • イケメンは莉子を不憫に思い、服を買い与え、高級な食事をご馳走するなど、過剰なほど親切にする 。
  • 優しさに心を許した莉子は、彼と一夜を共にする 。
  • 翌朝、彼が既婚者であったことが発覚する 。
  • 男の正体は、女性を騙して弄ぶことを楽しむサイコパスで、莉子との一夜も隠しカメラで録画していた 。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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