【枯れた花に涙を】13話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【枯れた花に涙を】第13話をネタバレありで解説する

蓮(れん)の強引ながらも優しい誘いで、コンビニの店先で束の間の休息をとる樹里。第13話では、蓮の手首に隠された傷の謎と、元夫・鉄平が語る身勝手な夢を通して、それぞれの登場人物が抱える心の闇と過去が描かれます。そして、樹里を救うため、ついに蓮が静かに動き出します。

タトゥーの下に隠された傷跡

樹里は、蓮に食事を奢るという申し出を受け入れ、二人の間には穏やかな時間が流れます。しかし、彼女は彼の体にある痛々しい痕跡を見つけてしまいます。

「どうしてこんな傷があるの?」

蓮の手首に彫られたタトゥー。その下に、うっすらとリストカットを思わせる古い傷跡があることに樹里は気づきます 。彼の言う「不遇な家庭環境」と何か関係があるのではないか。心配になった樹里は、思わず「

どうしてこんな傷があるの?」と尋ねてしまうのです。

嬉しくて、もっと追いつめたい

樹里からの純粋な心配の眼差しを受け、蓮の心には一瞬、サディスティックな喜びが芽生えます。「

あなたが今にも泣きそうな顔で俺を見るのが…嬉しくて」「もっと追いつめて、俺を憐れむその顔を思う存分楽しみたい。彼の愛情が、単純な庇護欲だけではない、複雑で歪んだ側面を持っていることがうかがえる瞬間です。

「事故ですよ」―優しい嘘

しかし、蓮はその黒い本心を隠し、「事故ですよ。今あなたが思っているようなことではありませんから心配しないでください」と優しく嘘をつきます 。その言葉に、樹里はひとまず安堵するのでした。

鉄平が描く「偽りの家族像」

その頃、鉄平は同僚の西野亜里沙とベッドの中にいました。彼女との会話から、彼の自己中心的で身勝手な人間性がさらに明らかになります。

西野が夢見る未来

西野は鉄平に完全に心を奪われ、「もうこのまま金子さんと結婚したいな」と幸せな未来を夢見ています 。しかし、鉄平は「

若い女の子が相手に合わせて結婚したせいで、せっかくの楽しい時期を無駄にすんのがあんまりいいことだとは思わねぇんだよ」と、結婚を望まない本心を隠しながら、もっともらしい言葉で巧みに彼女を言いくるめるのです

「なりたかった」理想の家庭

西野に促され、鉄平は自らの理想の家庭像を語ります。暖房の効いたマンション、家族で乗れる車、そして自分たちに似たかわいい子ども 。しかし、それはかつて樹里と共に夢見たものの、彼自身が「

現実を見て諦めた」未来でした 。彼は子どもができにくい樹里のせいにしながら、経済的な理由で夢を捨てた自分を正当化していたのです。

蓮の決意「すべての苦しみの根源は…」

物語の視点は、夜景を見下ろす蓮へと移ります。彼のモノローグによって、彼の真の目的と、内に秘めた強い決意が明かされていきます。

「やっぱり無理みたいだ」

樹里が自分のタトゥーよりも先に、その下にある深い傷に気づいたこと 。その事実は、蓮にとって計画を超える衝撃でした。彼は、樹里が自らの力で鉄平との不幸な関係に終止符を打つのを待っていましたが、もはや限界だと判断します。「

できることなら静かに待っていたかった。彼女が今の不幸な関係に終止符を打つまで。…でも、やっぱり無理みたいだ

怯えるパワハラ社長との再会

ラストシーン、夜道を歩く樹里は、以前自分に土下座を強要したあのパワハラ社長と偶然すれ違います。しかし、社長は樹里の顔を見るや否や、何かにひどく怯えた様子で一目散に逃げ去っていくのでした 。蓮が彼女のために、裏で既に動いていたことは明らかでした。

まとめ【枯れた花に涙を】13話を読んだ感想

第13話は、蓮の心の闇の深さと、鉄平のどうしようもないほどの自己中心的な性格が浮き彫りになり、物語のサスペンス性が一気に高まった回でした。蓮が樹里の心配する顔を見て「嬉しい」と感じる倒錯した愛情表現には、彼の壮絶な過去を想像させられ、ゾクッとさせられました。

一方で、鉄平が語る理想の家庭像は、聞いていて本当に腹が立ちました。自分が諦めた夢の責任を全て樹里に押し付け、それを別の女性に語る。彼の無神経さと身勝手さには、もはや呆れるほかありません。西野さんが彼に夢中であればあるほど、彼女の未来が心配になります。

そして、ついに動き出した蓮。パワハラ社長が樹里に怯えて逃げるシーンは、彼の行動力と影響力の大きさを物語っており、今後の展開への期待を煽ります。彼が言う「すべての苦しみの根源」とは、やはり鉄平のことなのでしょうか。彼の計画が、樹里を本当の意味で救うことになるのか、それとも新たな悲劇の引き金となるのか。物語の核心に迫る、非常に重要な一話だったと感じます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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