【枯れた花に涙を】16話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【枯れた花に涙を】第16話をネタバレありで解説する

「知り合い」として、少しずつ距離を縮め始めた樹里と蓮(れん)。しかし、蓮の真っ直ぐな好意から逃れるため、樹里は咄嗟に一つの嘘をついてしまいます。第16話では、その小さな嘘が引き金となり、蓮の秘めたる嫉妬心と、元夫・鉄平の樹里に対する歪んだ本性が、残酷なまでに暴かれていきます。

嫉妬―「俺だったら嫌だから」

樹里の日常に、蓮の存在はささやかな彩りを与え始めていました。彼は「これからは許可なく会いに来ますよ」と宣言し、再び花屋を訪れます 。

結婚記念日という名の壁

より積極的になった彼のアプローチに戸惑う樹里は、自分を守るため、そして彼を傷つけないために、「今週の水曜はダメよ。結婚記念日なの」と嘘をついてしまうのです 。

「本当に旦那さんなんですか?」

樹里の言葉に、蓮は表情一つ変えません。しかし、その静かな瞳の奥では、激しい嫉妬の炎が燃えていました。「俺だったら嫌だから。好きな人が別の男と連絡を取ったり、自分以外の誰かに迎えに来てもらったり…」 。そう語る彼の言葉は、彼が樹里の行動を全て知っていることを示唆しています。そして、彼は核心に迫る問いを投げかけます。

本当に旦那さんなんですか?

その真っ直ぐな問いに、樹里は「まだ子どもだからわからないのね」とはぐらかすことしかできませんでした

侮蔑―「感情のない人形みたい」

樹里が蓮との関係に心を悩ませている頃、鉄平は同僚の西野亜里沙とカフェで会っていました。彼女との会話から、鉄平の樹里に対する侮蔑に満ちた本心が明らかになります。

西野が描く理想の彼氏像

西野は鉄平に夢中で、彼の容姿や体力を無邪気に褒めそやします 。鉄平は、そんな彼女の純粋さを利用しながら、自分の価値を確認しているかのようです。

樹里を見下す鉄平の本心

鉄平のモノローグでは、樹里に対する侮蔑的な感情が赤裸々に語られます。彼は樹里のことを、「どうせ俺が捨てたとしても、あの場所から離れない」「ただ俺の帰りを待ち続けるだけだ」と、自分から決して離れることのできない存在だと見下しているのです 。

歪んだ喜び

さらに彼は、樹里のことを「いつも不愛想で愛嬌の欠片もなくて、俺が何をしてもまるで感情のない人形みたいに…」と感じていることを明かします 。しかし、その一方で、会社に押しかけてきた彼女の姿を思い出し、「本当は…結構いい気分だった」と歪んだ喜びを感じていたことも告白するのでした 。

決意―「どうしようかな」

物語の最後、視点は再び蓮に戻ります。彼の胸中には、樹里への想いと、ある確固たる決意が渦巻いていました。

届かないメッセージ

蓮は、樹里が鉄平のことばかりを気にして、自分の送ったメッセージを見ていないことに気づいています 。「どうしようかな」と呟く彼の表情には、苛立ちと焦りのような色が浮かびます。

「あのときもっと殴られておくんだった」

彼は「こうなるってわかってたら、あのときもっと殴られておくんだった」と後悔します 。樹里の同情を引くためなら、自らが傷つくことさえ厭わない。その一途さは、もはや狂気的ですらあります。

遂に動き出す影

そして、蓮は部下らしき男に「人を埋めたことはある?」と、再びあの不吉な問いを投げかけます 。その瞳には、もはや迷いはありませんでした。樹里を苦しみの根源から解放するための、冷徹な計画が、まさに実行に移されようとしていたのです。

まとめ【枯れた花に涙を】16話を読んだ感想

第16話は、登場人物たちの本性が次々と暴かれ、物語が破局に向けて大きく動き出したことを感じる、緊迫感に満ちた回でした。樹里が蓮についた「結婚記念日」という嘘が、彼の嫉妬と独占欲に火をつけてしまったようです。彼が口にした「俺だったら嫌だから」というセリフには、樹里への強い想いが感じられると同時に、どこか危うさも感じてゾクッとしました。

一方で、鉄平のモノローグには心底がっかりさせられました。樹里を「人形みたい」と見下しながら、彼女が自分に執着する姿に喜びを感じるという、彼の歪んだ精神構造には吐き気すら覚えます。彼にとって樹里は、自分の価値を再確認するためのサンドバッグでしかないのかもしれません。

そして、ついに最終決断を下したかのような蓮。彼が部下らしき男に投げかけた「人を埋めたことはある?」という言葉は、彼の本気度を示しています。彼の計画は、樹里を救うためのものなのか、それとも、彼自身の歪んだ愛情を満たすためのものなのか。その真意はまだ分かりませんが、物語がとんでもない方向へ進み始めたことだけは確かです。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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