【枯れた花に涙を】53話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 鉄平は、樹里が自分の元へ戻ってくると信じ込み、高圧的なメッセージを送るも無視され、苛立ちを募らせる。
  • 樹里は、蓮にメッセージを送りたいものの、自尊心の低さから「また体を求めたい」と誤解されることを恐れ、行動できずにいた。
  • 蓮は、あえて樹里に連絡をしない「沈黙」を貫くことで、彼女の気持ちを試すような行動に出る。
  • 鉄平の職場で、同僚たちが元妻とは知らずに樹里を褒め、他の男に紹介するよう求めたことで、彼の歪んだ独占欲に火がつく。

【枯れた花に涙を】第53話をネタバレありでわかりやすく解説する

前話で描かれた、樹里、蓮、鉄平の静かな心理戦。第53話では、その均衡が、鉄平の暴力的な暴走によって破られます。さらに、これまで謎に包まれていた蓮の兄・丈(じょう)がついにその姿を現し、蓮と直接対決。一ノ瀬家の壮絶な後継者争いが幕を開けます。そして、蓮からの沈黙に不安を募らせる樹里の元へ、ついに彼が訪れる、息もつかせぬ展開の連続です。

独善の暴発―鉄平の、職場での暴力沙汰と歪んだ独占欲

物語は、鉄平の職場で、同僚たちが樹里の噂話で盛り上がっている場面から始まります。その無神経な会話が、鉄平の心の奥底に眠っていた暴力性を呼び覚ましました。

職場で見せた、歪んだ独占欲

上司から、以前会社を訪れた樹里(彼の親戚だと思われている)を、同僚の田中くんに紹介してやってくれ、と頼まれた鉄平 。彼は、無能だと見下していた同僚に、自分が捨てたはずの女を品定めされる状況に、静かな怒りを燃やします。田中くんから直接「紹介してくださいよ」と頼まれた瞬間、鉄平はついに抑えが効かなくなりました。彼は田中くんの胸ぐらを掴んで壁に叩きつけ、「そんな生き方してて楽しいですか?」と、冷たく言い放ちます 。

「お前を汚すのは俺だけで十分だ」

鉄平は、樹里のことを「くたくたの下着をつけて愛嬌の一つもない」「あんなおばさんのどこがいいんだ?」と自ら貶めながらも、他人が彼女に価値を見出すことを許しません 。田中くんが「既婚者だったなんて知らなかった」と謝罪しても、鉄平の怒りは収まらず、彼を殴りつけます 。

あいつは旦那にしか目がない女なんでね」と自信ありげに同僚に向かって言うと、「他のものには目もくれずただ俺の手の平で静かに朽ちていくだけの花」「お前を汚すのは俺だけで十分だ」と心の中で嘲笑します。

そして、「二度と樹里の話はするな」と冷たく吐き捨ててその場を立ち去りました。

常軌を逸した独占欲を露わにした鉄平 。騒ぎの後、上司は鉄平が「コネ入社」であり、複雑な事情を抱えていることを部下たちに明かします 。

「あいつには深入りしないほうがいい」

その言葉が、昔の快活な彼から、今の矮小な彼へと至る、まだ明かされていない秘密を孕んでいる…そんな不穏な余韻を残すのでした。

兄弟の確執―丈と蓮、後継者争いの幕開け

場面は変わり、蓮の兄・の元へ、父である会長からの呼び出しが入ります。彼は、ついに自分が後継者として認められたのだと、勝利を確信していました。

愛する息子へ―会長からの呼び出し

は、父である会長が、ついに「愛する息子に全部を譲る気になった」のだと喜びます 。彼は、腹違いの弟である蓮を見下しており、「愛人の子じゃどんだけ努力したって無駄だよな」と嘲笑し、「俺が跡を継いだ暁にはまずお前の首から飛ばしてやるから」と、蓮を会社から追い出すことを宣言するのでした 。

エレベーターでの、運命の再会

が意気揚々と会長室へ向かうエレベーター。そのドアが閉まる寸前、一本の腕がそれをこじ開けます。そこに立っていたのは、彼が最も見下していた弟、蓮でした 。蓮は、会長に呼ばれたのは自分も同じだと告げ、「兄さんが使えないから俺にまでチャンスが回ってきたんだ」と、兄を挑発します 。怒りに震えるは蓮に対し、「後悔しても知らねぇからな」と冷たい言葉を浴びせ、静かにその場を去るのでした 。

沈黙の終わり―樹里の不安と、蓮の来訪

蓮からの連絡が途絶えて一日。樹里は、かつての自分では考えられないほど、彼の不在に心をかき乱されていました。

返信のない一日

たった一日、返信がないだけで、彼が怪我でもしているのではないかと心配し、何度も携帯を確認してしまう自分 。樹里は、そんな自分が「おかしい」と感じながらも、蓮がいなかった頃の日常が、いかに空虚なものであったかを痛感します。

今日はなぜか胸にぽつんと穴が開いたみたいだった」という彼女のモノローグは、蓮の存在が、すでに彼女の中でかけがえのないものになっていることを示していました 。

「家の前にいます」―深夜の訪問者

彼女が眠りにつこうとしていた、その時。ついに蓮からメッセージが届きます。

起きてたら少し会いませんか?

そして、そのメッセージに続くように、「家の前にいます」という、衝撃的な一文が 。彼女の心臓は激しく高鳴り、もう彼に夢中であることを誤魔化せないと悟ります 。ドアを開けると、そこに立っていた蓮からは、「いつもと違う香り」がしました 。そして彼は、何も言わずに樹里を抱き寄せ、深く激しいキスをするのでした。

【枯れた花に涙を】53話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、物語の三つの柱である「鉄平の執着」「蓮との確執」「樹里と蓮の恋」が、それぞれ劇的に進行する、非常に密度の濃い回でした。 鉄平の暴力シーンは、彼の歪んだ独占欲がもはや末期的なレベルに達していることを見せつけられ、ただただ恐怖を感じました。彼にとって樹里は、もはや一人の人間ではなく、自分の価値を証明するための「所有物」でしかないのでしょう。

そして、ついに姿を現した兄・。彼と蓮とのエレベーターでの対峙は、静かでありながら、火花が散るような緊張感に満ちていました。これから始まるであろう、血で血を洗う後継者争いを予感させる、素晴らしいシーンだったと思います。 しかし、そんな男たちの醜い争いとは対照的に、樹里が蓮を想う気持ちは、どこまでも純粋で切実でした。返信が来ないだけで不安になる彼女の姿は、恋をする誰もが経験する感情であり、強く共感しました。だからこそ、ラストの蓮の来訪シーンには、心から安堵し、そして彼の強引なキスには胸が高鳴りました。彼から香る「いつもと違う匂い」が、新たな波乱を呼ぶのか。それとも…。最高潮のドキドキの中で、次週を待ちたいと思います。

【枯れた花に涙を】53話のネタバレまとめ

  • 鉄平は、職場で樹里を他の男に紹介されそうになり、逆上して同僚に暴力を振るう。
  • 鉄平が「コネ入社」であり、会社内で特別な立場にあることが示唆される。
  • 蓮の兄・が登場し、蓮を「愛人の子」と見下し、会社から追放しようと画策していることが判明する。
  • 会長の呼び出しにより、と蓮は会社のエレベーターで鉢合わせ、後継者争いの火蓋が切って落とされる。
  • 蓮からの連絡が一日途絶えたことで、樹里は自分の気持ちが、もはや彼に完全に傾いていることを自覚する。
  • 深夜、蓮は樹里の家の前に突然現れ、何も言わずに彼女に激しいキスをする。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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