【枯れた花に涙を】56話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 鉄平は同棲相手に樹里の料理と比較するような発言をし、口論の末に家を飛び出す 。
- 樹里は蓮に香水のことを尋ねるが、蓮は「変えてません」と嘘をつく 。
- 蓮は、樹里を自分から遠ざけるために意図的に香水をつけていたことがモノローグで明かされる 。
- 別れ際、蓮は突然「今夜は泊まらせてください」と告げ、彼の心の中では鉄平を破滅させるという復讐計画が最終段階に入っていた 。
【枯れた花に涙を】第56話をネタバレありでわかりやすく解説する
前話、樹里を守り、鉄平への復讐を完遂するため、彼女の家に泊まることを決意した蓮。第56話は、その直後の二人のぎこちなくも、心温まる一夜を描きます。一方で、樹里からの連絡が途絶えた鉄平は、過去の記憶に囚われ、暴走寸前の状態に。穏やかな時間と、すぐそこまで迫る脅威が交錯する、息をのむ回です。
「一緒にいたかっただけ」―蓮の、穏やかな一夜
蓮からの「泊まらせてください」という衝撃的な申し出から、物語は始まります。体を求める言葉だと勘違いした樹里でしたが、蓮の真意は全く違うところにありました。
戸惑いの告白と、優しい笑顔
蓮の言葉に、樹里は恥ずかしそうに「その…あれの日なの…」と、生理中であることを打ち明けます 。しかし、その告白を聞いた蓮は、怒るでもがっかりするでもなく、ただ優しく微笑むのでした 。
彼は、体を求めていたわけではなく、「俺はただ…久しぶりに一緒にいたかっただけですから」と、純粋な気持ちを伝えます 。翌日は仕事も休みで、着替えも持ってきているという彼の周到な準備と、ただそばにいたいという一途な想いは、樹里の心をじんわりと温めていきました 。
執着の原風景―鉄平の、歪んだ愛情の記憶
蓮と樹里が穏やかな時間を過ごす一方、鉄平は樹里への連絡が一切つかないことに、苛立ちと不安を募らせていました。彼の脳裏に蘇るのは、彼が樹里へ抱く執着の原点となった、過去の記憶でした。
連絡の取れない元妻への苛立ち
鉄平は、何度電話をかけても繋がらない樹里の状況を訝しみます。
「樹里が俺に連絡をよこせない状況って…いったい何があったんだ?」 。借金の取り立てか、それとも病気か 。彼は、樹里が体を壊したことなどほとんどなかった、と過去を思い出します 。しかし、一度だけひどく体調を崩した時のことを、鮮明に思い出していくのでした。
不器用な優しさの記憶
回想シーン。冬の寒い日、風邪を引いた樹里の手は「雪だるまみてえに冷たい」状態でした 。ぶっきらぼうな態度を取りながらも、鉄平は「俺があっためてやるよ」と、彼女の手を自分の服の中に入れさせます 。
さらに、彼は「道で拾ったんだ」と嘘をつきながら、彼女にプレゼントを渡します 。中身は、お世辞にもお洒落とは言えない「ベージュの肌着」 。しかしそれは、寒さに弱い彼女を気遣う、彼なりの不器用な優しさの表れでした。
歪んだ愛情の芽生え
肌着姿の樹里を見て、笑いを堪えきれない鉄平。しかし、そのみすぼらしいはずの姿が「なんでこんなにかわいく見えるんだ?」と、彼は自分の感情に戸惑い、激しく動揺します 。この時、侮蔑と愛情が入り混じった、樹里への歪んだ執着が、彼の中で決定的に芽生えたのでした。回想を終えた鉄平は、家を飛び出し、どこかへと向かいます。
「俺は喜んで受け入れる」―絶対的な愛と、迫り来る脅威
場面は再び、樹里の部屋へ。蓮の優しさに触れ、少しずつ心を開いていく樹里。それに応えるように、蓮は彼女の全てを受け入れる、絶対的な愛を告げます。
ダサいパジャマと、蓮の想い
シャワーを終えた蓮に対し、樹里はパジャマがないため着替えられないと躊躇します。鉄平に「ダサいから」「みすぼらしい」と罵られた古い服を見られるのが嫌だったのです 。
しかし、蓮は優しく「そんなふうに思いませんけど」と、彼女の不安を打ち消します 。そして、彼はこう続けるのです。「それくらいのことで嫌になるなら最初から始めてなかった」「そんなに薄っぺらい感情だったら奪おうとすらしなかった」と 。
全てを受け入れる覚悟
蓮の愛は、それだけでは終わりません。彼は、傷つきやすい樹里の心を全て受け入れる覚悟を、静かに、しかし力強く語ります。
「あなたはあなたがしたいようにすればいい」「あなたの手で俺の愛をめちゃくちゃにしても 俺の心を傷つけても 俺は喜んで受け入れる」
その言葉は、彼が過去に彼女を救えなかった後悔と、今度こそ彼女の全てを守り抜くという、固い誓いそのものでした。
静寂を破る、招かれざる客
穏やかな時間が流れる中、物語は急転直下、最悪の事態を迎えます。鉄平が、いつの間にか樹里の部屋の前に立っていたのです。彼が合鍵を使い、ドアを開けると、その先には、穏やかな表情で食卓に座る蓮の姿が。ついに、危険な二人が一つ屋根の下で遭遇してしまったのでした。
【枯れた花に涙を】第56話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、あまりにも対照的な二人の男の「愛の形」が描かれた、圧巻の回でした。蓮が樹里に告げた「俺は喜んで受け入れる」という言葉は、この漫画のテーマを象徴するような、重く、そして美しい名セリフだと思います。過去のトラウマに囚われる樹里の心を、ただひたすらに、無条件の愛で包み込もうとする彼の姿に、涙が出そうになりました。
その一方で、鉄平の回想シーンには、人間の複雑さを見せつけられました。彼が樹里にしたことは決して許されることではありませんが、その根底には、不器用で、歪んではいるものの、確かに「愛情」と呼べる感情があったのだとわかります。だからこそ、彼は今も樹里に執着し、自分の元へ戻ってくると信じている。
彼の行動原理が少し見えたことで、キャラクターに深みが増し、今後の対決がより一層恐ろしく感じられます。 そして、あの衝撃的なラストシーン。穏やかな蓮と樹里の空間に、土足で踏み込んできた鉄平。次週、この三人がどのような言葉を交わし、どのような行動に出るのか。一週間、眠れない夜が続きそうです。
【枯れた花に涙を】56話のネタバレまとめ
- 蓮は、樹里が泊まりを断った理由(生理)を知ると、体を求めていたわけではなく、ただ一緒にいたかっただけだと優しく伝える。
- 連絡のつかない樹里に苛立つ鉄平は、過去に風邪を引いた彼女に不器用な優しさを見せた記憶を回想する。
- 回想の中で、鉄平が樹里のみすぼらしい服装にさえ強い性的興奮を覚えたことが、彼の歪んだ執着の原点であることが示唆される。
- 樹里は蓮の前で、鉄平に罵られた古い服を着ることを躊躇するが、蓮は「あなたの全てを受け入れる」と絶対的な愛を告げる。
- 鉄平が樹里の部屋に合鍵で侵入し、中にいた蓮と遭遇してしまう、という最悪の状況で幕を閉じる。
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