【灼灼風流】10話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 慕灼華は詩会で男性受験者からの偏見に堂々と反論し、駆けつけた柔嘉公主に助けられました。
  • 柔嘉公主は偏見に満ちた男たちを叱責し、慕灼華の公正な立場を守ります。
  • 詩会のお題「牡丹」で、慕灼華は劉衍の名を騙る奇策を用い、見事一位となって褒美の稀書『滄陵志』を手に入れました。
  • 劉衍は宮廷の陰謀の調査を続け、事件の鍵を握る亡き太医の存在にたどり着きます。

【灼灼風流】第9話をネタバレありでわかりやすく解説する

会試を見事突破した慕灼華に、いよいよ官吏登用への最終試験「殿試」の日が訪れます。第9話は、彼女のこれまでの努力の全てが試される、まさにクライマックス。しかし、その晴れの舞台で、彼女は卑劣な罠にはめられてしまいます。絶体絶命のピンチを、彼女はどのように乗り越えるのでしょうか。そして、全てを仕組んだ意外な人物の正体とは…。

母への誓いと見えざる手

殿試を目前に控え、さすがの慕灼華も緊張を隠しきれません。その様子を察した侍女の郭巨力は、彼女を亡き母の位牌の前へと導きます。母の面影に向き合うことで、慕灼華は平静を取り戻しました。「10年以上勉学に励んできたのだから大丈夫。必ず合格します」。母に捧げるその誓いは、彼女自身の心を奮い立たせるための、力強い約束でした。

一方で、劉衍のもとには、皇太后が慕灼華の身辺を調査しているという報告が届いていました。彼はすでに先手を打ち、彼女の経歴を偽装させていましたが、宮廷の黒い影がすぐそこまで迫っていることを改めて感じます。

汚された答案と不屈の魂

ついに始まった殿試。皇帝陛下が見守る厳かな雰囲気の中、慕灼華は冷静に筆を進めていきます。しかし、その時、信じられない事態が発生しました。誰も触れていないはずの硯(すずり)が突然倒れ、書き上げたばかりの答案用紙が無残にも墨で汚れてしまったのです。

それは、明らかに誰かが仕組んだ卑劣な妨害工作でした。周囲のライバルたちがほくそ笑む中、一瞬、慕灼華の心は絶望に包まれます。しかし、彼女の脳裏に、母の力強い言葉が蘇りました。

自分の運命を他人に委ねてはいけない

その言葉が、彼女の心に再び火を灯します。諦めない。こんなことで、私の道を終わらせはしない。彼女は震える手で筆を握りしめ、汚れた答案用紙のわずかに残された余白に、渾身の力で答えを書き連ねていくのでした。

逆転の口頭試問と皇帝の評価

答案用紙の不備。それは、本来であれば即刻落第となってもおかしくない失態です。しかし、彼女の並外れた才能を惜しんだ皇帝は、特別に御前での口頭試問の機会を与えました。

ライバルであるはずの沈驚鴻からも「君なら大丈夫だ」と励まされ、慕灼華は皇帝の前に進み出ます。彼女は、汚された答案に書ききれなかった自らの考えを、淀みなく、そして堂々と述べ始めました。人道と天道の真理、そして会試でも論じた革新的な「共栄策」について。

「戦わずして天下統一は可能か」という皇帝からの鋭い問いにも、彼女は臆することなく答えます。

国力増強は戦に勝つため。しかし、真の教えは戦を回避させるもの。戦とは、対話の場を作るための一つの方法に過ぎません

その若さに見合わぬ深い洞察力と、揺るぎない信念に、皇帝はいたく感心し、満足げな笑みを浮かべるのでした。絶体絶命の淵から、彼女は自らの言葉の力だけで、見事に這い上がったのです。

探花の栄誉と衝撃の告白

そして、運命の結果発表の時。状元(主席)に沈驚鴻、榜眼(次席)に孫雲謙の名が呼ばれます。そして、第三席である「探花(たんか)」として、劉衍の口から高らかに読み上げられたのは、慕灼華の名でした。女性が探花に選ばれるのは、国の歴史上、前代未聞の快挙です。彼女の努力が、ついに最高の形で報われた瞬間でした。

その夜の祝宴の後、慕灼華は劉衍に呼び出されます。そして、彼から衝撃の事実を告げられました。殿試で硯を倒すよう細工したのは、劉衍自身だったというのです。

官界はただでさえ厳しい。ましてや女人のそなたが生き抜くには、これくらいの逆境を乗り越える胆力がなければ務まらない。試させてもらった

あまりにも過酷な試練。しかし、そこに込められた彼の真意を知り、慕灼華は怒りよりも先に、彼の深い人間性を理解します。劉衍は、自らの行いを丁重に謝罪しました。

そして、彼は懐から一つの玉佩(ぎょくはい)を取り出します。それは、以前、会試の合格を賭けて第一皇子から勝ち取ったものでした。「約束通り、合格祝いだ」と、彼はそれを慕灼華の手に握らせます。それは、ただの褒美ではありませんでした。

これからは、私と距離を置くか、私の配下となるか、そなたが自由に選べ

その言葉は、彼女の未来を共に背負う覚悟を示唆する、不器用な彼からの、最大の信頼の証だったのです。

【灼灼風流】9話を読んだ感想(ネタバレあり)

第9話、息をするのも忘れるくらい見入ってしまいました!慕灼華のこれまでの努力が「探花」という最高の形で報われた瞬間は、本当に感動的で、思わず涙がこぼれました。特に、答案を汚されるという絶体絶命のピンチから、母の言葉を胸に見事這い上がっていく姿には、彼女の不屈の精神力の全てが凝縮されていて、胸が熱くなりました。

そして、なんといっても劉衍!まさか硯を倒した黒幕が彼だったとは!正直、告白された瞬間は「なんてひどいことを!」と思いましたが、その理由が彼女の未来を案じての「試練」だったと知り、彼の愛情の深さと複雑さに唸らされました。厳しいけれど、誰よりも彼女の力を信じている。そんな彼の不器用な優しさが、謝罪の言葉と玉佩に込められていて、本作屈指の名シーンだったと思います。

沈驚鴻が公主のために縁談を辞退する場面も素敵でしたね。彼の誠実さと、公主への深い敬愛が伝わってきました。

最後に劉衍から突きつけられた「配下になるか」という選択。これはもう、実質的なプロポーズですよね!?慕灼華がどちらの道を選ぶのか、そして官吏となった彼女がどんな活躍を見せてくれるのか、次回の展開が楽しみで仕方がありません!

【灼灼風-流】9話のネタバレまとめ

  • 殿試に臨んだ慕灼華だが、何者かの妨害によって答案用紙を墨で汚されるという絶体絶命のピンチに陥る。
  • 彼女は母の言葉を胸に諦めず、皇帝陛下の前での口頭試問で見事な弁舌を披露し、実力を証明する。
  • 結果、女性として史上初の第三席「探花」に選ばれるという快挙を成し遂げる。
  • 祝宴の後、劉衍から硯を倒したのは自分であり、彼女の覚悟を試すためだったと告白され、謝罪を受ける。
  • 劉衍は合格祝いとして約束の玉佩を贈り、「自分の配下になるか、それとも距離を置くか」という選択を慕灼華に迫る。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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