【片田舎のおっさん剣聖になる】ネタバレ完全版|小説家になろうから愛読しているガチファンが最新話まで全て解説
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この記事を読んでいるあなたは、
「『片田舎のおっさん、剣聖になる』の今後の展開はどうなるんだろう?」
「アリューシアやミュイたちの関係はどう進展するの?」
「読む前に、面白いポイントや重要なネタバレを知っておきたいな」
といったことを考えているのではないでしょうか。その気持ち、とてもよくわかります。先の展開が気になったり、話題の作品の核心に触れてみたいと思うのは自然なことです。
この記事では、そんなあなたの疑問や好奇心に応えるため、「片田舎のおっさん、剣聖になる」という作品について、物語のあらすじから詳しい世界観、魅力的な登場人物たちの紹介、そして皆さんが特に気にされているであろう重要なネタバレ情報まで、幅広く解説していきます。この記事を作成するにあたり、コミカライズ版の情報や多くの読者の評価はもちろんのこと、原作である「小説家になろう」での連載も熱心に追いかけ、この記事では現時点で公開されている物語の核心部分まで、可能な限り詳しく解説しています。そのため、かなり先の展開まで含めて、物語の全体像を深く理解できるはずです。
この記事を読むメリットとしては、作品全体の流れやキャラクターたちの関係性、物語の核心となる重要な出来事を、かなり先の展開まで含めて効率よく把握できる点が挙げられます。これを読めば、作品への理解が深まり、他のファンとの会話もより楽しめるようになるかもしれません。
一方で、デメリットとしては、この記事には「片田舎のおっさん、剣聖になる」の結末に関わるような重要なネタバレが多数含まれているという点です。もし、これからご自身で作品を読み進め、純粋な驚きや感動を味わいたいと考えている場合には、この記事を読むことでその楽しみが少し減ってしまう可能性があります。ネタバレを避けたい方は、ここで読むのを止めるか、見出しなどを参考に注意深く読み進めることをお勧めします。
それでは、最強なのに控えめな主人公ベリルと、彼を取り巻く魅力的な人々の物語の核心に触れていきましょう。
- 『片田舎のおっさん、剣聖になる』の全体的なあらすじと主人公ベリルの人となり
- 物語の舞台となる世界観、国や組織、魔法などの基本的な設定
- アリューシアやミュイなど主要な登場人物の詳細とベリルとの関係性
- 物語の核心に触れる重要な出来事や今後の展開に関するネタバレ情報
【片田舎のおっさん剣聖になる】ネタバレの前に概要を紹介
- どんな話?あらすじをわかりやすく解説
- どんな世界観や設定?
- 登場人物を紹介
どんな話?あらすじをわかりやすく解説(ネタバレあり)
この物語は、片田舎で剣術道場を営んでいたベリル・ガーデナントという、ちょっと地味だけれど実はとんでもなく強いおっさんが主人公です。彼は若い頃に多くの弟子を育て上げましたが、自身は目立つことを嫌い、静かに暮らしていました。しかし、ある出来事をきっかけに、彼は故郷を離れて都へと赴き、そこで再び剣を振るうことになります。
物語が動き出すきっかけは、かつての弟子の一人であり、今やレベリオ騎士団の団長を務めるアリューシア・シトラスとの再会です。彼女はベリルの実力を高く評価しており、彼を騎士団の特別な指導役として首都バルトレーンへ招きます。さらに、実家からは「嫁を見つけるまで帰ってくるな」と言い渡されてしまい、ベリルは半ば追い出される形で首都での生活を始めることになりました。
首都での生活は、ベリルにとって驚きの連続です。 まず、彼は騎士団の特別指南役として、副団長のヘンブリッツとの模擬戦で見事な実力を見せつけ、騎士たちの信頼を得ます。 その後、冒険者ギルドの依頼で新人教育のためにダンジョンへ同行した際には、特別討伐指定個体である巨大なグリフォン「ゼノ・グレイブル」と遭遇し、これを討伐するという大活躍を見せました。この一件で彼の剣は折れてしまいますが、彼の強さはギルドにも知れ渡ることになります。 また、街で偶然再会した元弟子で魔法師団に所属するフィッセルや、鍛冶屋を営む元弟子バルデルなど、かつての教え子たちとの交流も描かれます。彼らは皆、ベリルを深く尊敬しており、彼の大きな支えとなるのです。
物語が進む中で、ベリルは死んだ姉を蘇らせるためにスリをしていた少女ミュイと出会い、彼女を騙していた悪党「宵闇」とその黒幕であるスフェン教の司教レビオスが関わる事件に巻き込まれます。彼はミュイを保護し、最終的には彼女の後見人となって一緒に暮らすことになりました。この出会いは、朴訥としたベリルの心に大きな変化をもたらします。 さらに、隣国スフェンドヤードバニアとの関係にも深く関わることになります。使節団の護衛任務中に暗殺未遂事件に遭遇し、その裏で暗躍していたのが、かつての弟子ロゼであったことが判明。ベリルは苦悩の末、師として彼女と対峙することになります。その後、ディルマハカでの婚姻の儀が襲撃される大事件が発生し、ベリルは再び剣を取り、黒幕であるモーリス教皇との決戦に臨むことになるのです。
このように、「片田舎のおっさん、剣聖になる」は、最強の実力を持ちながらも控えめな主人公ベリルが、次々と起こる事件や人々との出会いを通して、否応なく表舞台へと引き出されていく物語です。彼の卓越した剣技による戦闘シーンは爽快感がありますが、それだけでなく、弟子たちとの絆や、新たに保護することになった少女ミュイとの心温まる交流、そして騎士団長アリューシアとの少しずつ進展していく関係など、人間ドラマも見どころと言えるでしょう。
ただし、注意点として、主人公のベリルは非常に朴訥で、自分の実力や周囲からの評価に無頓着な面があります。そのため、彼の活躍が周囲に認められていく過程は描かれますが、彼自身が積極的に成り上がろうとするわけではありません。また、恋愛要素もゆっくりと進展していくため、派手なサクセスストーリーや急速なラブコメ展開を期待すると、少し物足りなく感じるかもしれません。
とはいえ、実力隠匿系の物語が好きな方や、主人公が周囲の人々との関わりの中で成長していく姿を見たい方、派手さだけでなく地に足の着いた人間関係や心理描写を楽しみたい方には、非常におすすめできる作品です。無自覚な最強おっさんの活躍と、彼を取り巻く魅力的なキャラクターたちの物語をぜひ楽しんでください。
どんな世界観や設定?
この物語の舞台は、剣や鎧が存在し、騎士や冒険者が活躍する、いわゆる中世ヨーロッパ風のファンタジー世界です。しかし、そこには私たちの知る歴史とは異なる、魔法や魔術、そしてモンスターといったファンタジーならではの要素が色濃く存在しています。
まず、この世界における特徴的な設定として、魔法と魔術の違いが挙げられます。 魔法は、一部の特別な才能を持つ者だけが使える、強力で神秘的な力として描かれています。作中では魔法師団長のルーシー・ダイアモンドなどが使い手として登場しますが、その使い手は非常に少ないようです。 一方、魔術は、才能があれば訓練によって習得可能な技術体系として存在しており、魔術師学院のような専門の教育機関も存在します。魔術は攻撃、防御、回復など様々な用途に用いられ、人々の生活や戦闘に深く関わっています。フィッセルが使う剣魔法のように、剣術と魔術を組み合わせた特殊な技術も存在します。 さらに、スフェン教という宗教組織は「奇跡」と呼ばれる特別な力を使うことがあります。これには治癒だけでなく、死者を一時的に操るような禁忌に近い力も含まれており、物語の重要な局面で関わってきます。
物語の主な舞台となるのはレベリオ王国です。首都はバルトレーンと呼ばれ、王城を中心に騎士団庁舎、冒険者ギルド、魔術師学院、商業地区などが広がっています。領土は広く、南には農業地帯、北には山脈地帯や辺境伯が治める領地などが存在します。 隣国としてスフェンドヤードバニア王国(エーデルディア王国とも呼ばれる)が登場します。こちらはスフェン教の総本山である教都ディルマハカを擁する宗教色の強い国家で、レベリオ王国とは同盟関係にありますが、国内では教皇派と王権派の内紛といった複雑な問題を抱えています。
世界には様々な組織が存在し、物語を動かしています。
レベリオ騎士団
王国の治安維持や国防を担う主要戦力。アリューシアが団長、ヘンブリッツが副団長を務め、ベリルは特別指南役として関わります。
冒険者ギルド
モンスター討伐やダンジョン探索などの依頼を斡旋する組織。ベリルの元弟子スレナは、最高位であるブラックランクの実力者です。
魔法師団
魔法使いが所属する組織。団長のルーシーは見た目に反して絶大な力を持っています。
魔術師学院
魔術師を育成する教育機関。ベリルは臨時講師として剣魔法科の生徒を指導することになります。
スフェン教
広範な影響力を持つ宗教組織。聖職者の中には「奇跡」を使える者がいます。物語後半では教皇が黒幕として登場します。
教会騎士団
スフェンドヤードバニアの騎士団。ガトガが団長、ベリルの元弟子ロゼが副団長を務めます。
人々が暮らす地域の外には、危険なモンスターが生息しています。ゴブリンのような比較的小型のものから、村を襲うサーベルボア、空を飛ぶグリフォン(中にはゼノ・グレイブルのような特別討伐指定個体も)、群れで襲ってくる一角狼、さらには禁術によって生み出された合成獣など、多種多様な魔物が登場し、ベリルたちの脅威となります。
また、特殊な効果を持つ魔装具と呼ばれるアイテムも存在します。これらは索敵に使われたり、魔法を使えない者が魔法のような現象を引き起こしたりするために用いられます。強力なモンスターから得られる素材(ゼノ・グレイブル素材やロノ・アンブロシアの核)は、エルヴン鋼のような希少金属と合わせて、非常に強力な武器や防具を作るために使われることもあります。
このように、「片田舎のおっさん、剣聖になる」の世界は、剣と魔法の王道ファンタジー設定を基盤としつつ、魔法と魔術の区別、多様な組織、国家間の情勢、特殊なアイテムなど、独自の詳細な設定が加えられています。これらの設定が、主人公ベリルの活躍や物語の展開に深みとリアリティを与えています。
読む上での注意点としては、特に中盤以降、国家間の関係や組織内の対立などが複雑に絡み合ってくるため、登場人物や組織名をしっかり把握しておくと、より物語を楽しめるでしょう。しかし、基本的には主人公ベリルの視点を通して語られるため、難解すぎるということはありません。魅力的なキャラクターたちと共に、この作り込まれた世界観を冒険してみてください。
主要な登場人物を紹介
「片田舎のおっさん、剣聖になる」には、魅力的なキャラクターがたくさん登場します。ここでは、物語の中心となる主要な人物たちを紹介いたしましょう。
ベリル・ガーデナント
本作の主人公であるベリルは、見た目はどこにでもいるような冴えない中年男性(おっさん)です。片田舎のビデン村で剣術道場を営んでいましたが、元弟子であるアリューシアの誘いと実家からの命令で、首都バルトレーンへ赴くことになります。彼は無自覚な最強剣士であり、若い頃に多くの弟子を免許皆伝に至らせたほどの達人です。
しかし本人は非常に控えめで朴訥な性格をしており、自身の強さや周囲からの評価にほとんど関心がありません。困っている人を見ると放っておけない優しさも持っており、その人柄と圧倒的な実力で、知らず知らずのうちに多くの人々を惹きつけていきます。物語を通して、彼は様々な事件に関わり、「剣聖」とまで呼ばれる存在になっていきます。
アリューシア・シトラス
物語のメインヒロインであり、レベリオ騎士団の若き団長です。彼女はベリルの元弟子の一人で、彼から免許皆伝を授かった数少ない人物の一人でもあります。剣の腕は超一流で「神速」とも呼ばれる速さを誇り、騎士団長として非常に優秀です。ベリルに対しては、師としての尊敬だけでなく、深い好意を抱いており、彼を首都に呼び寄せた張本人でもあります。真面目で責任感が強い性格ですが、ベリルが関わると少し感情的になったり、やきもちを焼いたりする可愛らしい一面も見せます。物語が進むにつれて、ベリルとの関係も変化していくことでしょう。
ミュイ・フレイア
物語の序盤でベリルが出会うことになるスリの少女です。死んだ姉を蘇らせるためのお金を稼ぐよう「宵闇」に騙されていましたが、ベリルやルーシーによって救出され、その後はベリルの保護下に入り、一緒に暮らすことになります。当初は警戒心が強かったものの、ベリルの優しさに触れて次第に心を開いていきます。健気で少し意地っ張りな性格です。後に魔術の才能を見出され、魔術師学院に入学します。彼女の存在は、ベリルの生活や心境に大きな変化をもたらす重要なキャラクターと言えます。
スレナ・リサンデラ
ベリルの元弟子の一人で、現在は冒険者ギルドに所属するブラックランクの実力者です。二刀流を得意とし、快活で姉御肌な性格をしています。幼い頃に両親を亡くし、ベリルに救われた過去があり、彼に対して非常に強い憧れと尊敬の念を抱いています。ベリルを冒険者ギルドに引き入れようと画策するなど、行動力もあります。ミュイに対しては、当初やや対抗心のようなものを見せる場面もありました。
フィッセル・ハーベラー
ベリルの元弟子の一人で、現在は魔法師団に所属する魔術師です。剣と魔術を組み合わせた「剣魔法」という独自のスタイルを確立しています。クールで感情を表に出すのが苦手なタイプに見えますが、師であるベリルを深く尊敬しており、彼が関わることには協力を惜しみません。後に魔術師学院の講師となり、ベリルに臨時講師を依頼することになります。
ルーシー・ダイアモンド
魔法師団の団長を務める、見た目は幼い少女です。しかし、その見た目に反して非常に強力な魔法の使い手であり、年齢や素性には謎が多い人物です。好奇心旺盛で面白いことには首を突っ込みたがる性格をしており、ベリルの実力に興味を持って以降、何かと彼に関わってきます。ミュイを保護する際には大きな助けとなり、彼女の魔術師学院入学も後押ししました。
クルニ・クルーシ
レベリオ騎士団に所属する若い女性騎士です。努力家で真面目な性格ですが、やや思い込みが激しい面もあります。当初は自身の剣に悩んでいましたが、ベリルの助言とバルデルの協力でツヴァイヘンダー(両手剣)を扱うようになり、ベリルから直接指導を受けます。ベリルの故郷ビデン村への帰省にも同行しました。
ヘンブリッツ・ドラウト
レベリオ騎士団の副団長を務める、実直で経験豊富な騎士です。当初は特別指南役としてやってきたベリルの実力を訝しんでいましたが、模擬戦で完敗したことをきっかけに彼の実力を認め、良き理解者となります。騎士団の訓練を取り仕切る立場であり、厳しくも部下思いな一面を持っています。
ロゼ・マーブルハート
ベリルの元弟子の一人です。故郷を出た後、スフェンドヤードバニアの教会騎士団に入団し、若くして副団長にまで上り詰めます。しかし、国の現状を憂うあまり、過激な思想に染まり、使節団襲撃事件に関与してしまいます。最終的には、師であるベリルと剣を交えるという悲しい運命を辿ることになります。
これらのキャラクター以外にも、鍛冶屋のバルデル、ビデン村のランドリドやおやじ殿、スフェン教のイブロイ、フルームヴェルク辺境伯家のウォーレンやシュステ、北方大隊長のケニー(ケーニヒス)など、多くの個性的な人物たちが登場し、物語を豊かに彩っています。彼らとベリルとの関係性や、それぞれの成長や変化にも注目して読んでみてください。
【片田舎のおっさん剣聖になる】ネタバレ7選!
※文章の端で()で記載されている話数は「小説家になろう」の話数になります。
- ネタバレ①:特別討伐指定個体ゼノ・グレイブルとの遭遇と討伐、その後新しい剣を作成する
- ネタバレ②:スリの少女ミュイとの出会いと後見人になる展開
- ネタバレ③:スフェン教司教レビオスによる死者蘇生と黒幕事件
- ネタバレ④:使節団襲撃事件と元弟子ロゼとの師弟対決
- ネタバレ⑤:魔術師学院での封印された巨狼(ロノ・アンブロシアの核)との戦闘
- ネタバレ⑥:ディルマハカでの婚儀襲撃、合成獣との戦闘、そして教皇討伐
- ネタバレ⑦:アリューシアとの関係進展、ついに両想いへ
ネタバレ①:特別討伐指定個体ゼノ・グレイブルとの遭遇と討伐、その後新しい剣を作成する
この出来事は、主人公ベリルが首都バルトレーンでその並外れた実力を示す最初の大きな見せ場であり、後の彼の武器にも繋がる重要なエピソードです。
事の発端は、冒険者ギルドからの依頼でした。ベリルは、騎士団長のアリューシアや魔法師団長のルーシー、そして元弟子であるスレナの推薦を受け、新人冒険者チームの育成のためにダンジョンアタックに同行することになります。目的地はアザラミアの森にある洞窟(ダンジョン)です。新人たちの訓練は順調に進み、洞窟内のゴブリンたちを連携して掃討していきます。ベリルとスレナは基本的に手を出さず、彼らの戦いぶりを見守っていました。
しかし、ダンジョン探索を終え、外に出ようとしたまさにその時、事件は起こります。出口には、特別討伐指定個体に分類される巨大で凶暴な紅いグリフォン、「ゼノ・グレイブル」が待ち構えていたのです。不意を突かれた新人チームの一人、ポルタがゼノ・グレイブルに襲われ、重傷を負ってしまいます。
スレナがポルタの治療にあたる間、ベリルは単独でこの強大なモンスターに立ち向かうことになりました。ゼノ・グレイブルは見た目の巨体だけでなく、驚異的な硬さと速さを兼ね備えており、さすがのベリルも苦戦を強いられます。それでも彼は卓越した剣技で攻撃を凌ぎ、尻尾に一撃を与えるなど奮闘しました。さらに、ゼノ・グレイブルが放った火球攻撃も予期して回避してみせます。
ポルタの治療を終えたスレナが戦闘に加勢すると、状況は一変します。ベリルがゼノ・グレイブルの口内に剣を突き刺して動きを止めた隙に、スレナが自慢の双剣で両目を潰し、ついにこの強敵を討伐することに成功しました。
激闘の後、バルトレーンに戻ったベリルたちですが、この戦いでベリルの長年愛用してきた剣は根本から折れてしまっていました。討伐の功績はギルドにも認められ、ギルドマスターのニダスからは冒険者になるよう強く勧められますが、ベリルはそれをきっぱりと断ります。
新しい剣を探すため、ベリルは元弟子で鍛冶屋を営むバルデルの店を訪れます。しかし、店に並んでいるロングソードには、どうもしっくりきません。そこへ偶然(?)現れたのがスレナでした。彼女は、ゼノ・グレイブル討伐の報酬として得た素材(おそらく爪や牙など)を使って、新しい剣を作ることを提案します。当初ベリルは遠慮しますが、スレナが「剣を折った責任は自分にもある(加勢が遅れたため)」という名目も持ち出し、半ば強引に説得。結果として、ベリルはこの申し出を受け入れ、バルデルにゼノ・グレイブルの素材と希少なエルヴン鋼を使った特別な剣の製作を依頼することになりました。
こうして完成した新しい剣は、ベリルの新たな愛剣となり、後の戦いで大きな力となるのです。この一連の出来事は、ベリルの強さを周囲に改めて示すと同時に、彼がより強力な武器を手に入れるきっかけとなった、物語序盤における非常に重要なターニングポイントと言えるでしょう。
ネタバレ②:スリの少女ミュイとの出会いと後見人になる展開
このエピソードは、主人公ベリルの運命を大きく変えることになる、少女ミュイとの出会いから始まる一連の出来事です。単なる剣士としてだけでなく、保護者としての一面が描かれる重要な転換点となります。
最初の出会いは偶然でした。ある夜、宿へ帰る途中のベリルは、スリをしようとした小柄な少女に襲われます。もちろんベリルは難なくこれを撃退しますが、少女が反撃に使った魔法のような爆炎に驚き、取り逃してしまいました。現場には、少女が落としたと思われるペンダントが残されていました(第40話)。
翌日、騎士団の同僚にスリ事件を報告したベリルは、拾ったペンダントを騎士団庁舎に届けます。その帰り道、道端で必死に何かを探している少女を見かけます。それが昨日取り逃がしたスリの少女、ミュイでした。彼女が探していたのは、やはりあのペンダントだったのです。ベリルはペンダントを騎士団に届けたことを伝え、彼女を庁舎へと連れて行きました(第42話~第43話)。
応接室で話を聞くと、ミュイは衝撃的な告白をします。彼女がスリを働いていたのは、亡くなった姉を生き返らせるためのお金、五百万ダルクというとんでもない大金が必要だったからだ、と。そして、その蘇生話を持ち掛け、お金を要求してきたのが「宵闇」と名乗る人物であることも明かしました(第44話~第45話)。
そこへ現れたのが、魔法師団長のルーシー・ダイアモンドです。彼女は死者蘇生などという魔法は存在しないと断言し、幼いミュイを騙した宵闇に対して激しい怒りを見せます。ミュイの話から、宵闇の正体は盗賊団「宵闇の魔手」のリーダーであり、彼らが多数の魔装具(魔法の効果を持つ道具)を持っていることも判明しました。情報漏洩を恐れたルーシーは即時行動を主張し、騎士団を動かせない状況の中、結局ベリルとルーシー、そして道案内役のミュイの三人で、中央区にある宵闇のアジトへ乗り込むことになったのです(第46話~第48話)。
アジトでは激しい戦闘となりましたが、ルーシーの強力な魔法とベリルの圧倒的な剣技によって、宵闇一味は制圧されました。捕らえられた宵闇のリーダーは多数の魔装具を身に着けており、彼らに魔装具を流していた黒幕の存在が示唆されます(この黒幕は後の事件で明らかになります)(第49話~第50話)。
事件は解決しましたが、身寄りのないミュイの処遇が問題となります。様々な話し合いの結果、一時的にルーシーが彼女を預かることになりました(第52話)。そして後日、ルーシーはミュイに魔術の才能があることを見抜き、彼女を魔術師学院へ入学させることを提案します。しかし、入学には後見人が必要でした。ルーシーはその役目をベリルに依頼します。ミュイ自身もベリルが後見人になることを望んだため、ベリルは戸惑いながらもこれを承諾し、書類にサイン。こうして、おっさん剣士ベリルと、元スリの少女ミュイの、奇妙な同居生活が始まることになったのです(第73話)。
このミュイとの出会いと共同生活は、これまで他者と深く関わることを避けてきたようなベリルの人生観に大きな影響を与えます。朴訥ながらも優しくミュイを見守る保護者としての一面が描かれるようになり、物語に新たな深みと温かみをもたらしました。ミュイ自身も、ベリルとの生活の中で少しずつ過去の傷を乗り越え、成長していくことになります。二人の関係性は、この物語の重要な魅力の一つと言えるでしょう。
ネタバレ③:スフェン教司教レビオスによる死者蘇生と黒幕事件
このエピソードは、以前の「宵闇事件」の背後に隠されていた、より大きな闇と禁忌に触れる衝撃的な展開です。主人公ベリルが、倫理的に非常に重い決断を迫られる場面でもあります。
まず、宵闇の一味が多数の魔装具(魔法の効果を持つ道具)を所持していたことから、彼らに資金や物品を供給している黒幕の存在が疑われていました(第50話)。その真相は、ベリルが魔法師団長ルーシーの家に招かれた際に明らかになります。そこで待っていたのは、スフェン教の司祭であるイブロイという人物でした。
イブロイは驚くべき事実を告白します。宵闇に魔装具を流し、彼らを利用していた真の黒幕は、同じスフェン教の聖職者であり、彼の上司にあたるレビオス・サルレオネ司教である、と。レビオスの目的は「奇跡の探求」と称する、死者を蘇らせるという禁断の研究でした。宵闇には魔装具を与える見返りに、魔法の素質を持つ子供たちを誘拐させていたのです(第59話、第61話)。イブロイは教会内部の事情で自ら動けないため、この非道な行いを止めるべく、ベリルにレビオスの捕縛を依頼したのでした。ミュイを騙した張本人でもあり、彼女のためにもなると考えたベリルは、この危険な依頼を引き受けます(第59話~第60話)。
依頼を受けたその夜、ベリルはレビオスがいるとされる北区の教会へ張り込みに向かいます。すると、レビオスが重騎士を含む手下と共に、大量の荷物を運び出し、まるで夜逃げのように立ち去ろうとしている場面に遭遇します。ベリルが声をかけると、レビオスは即座に配下の教会騎士シュプールにベリルの排除を命令。こうして戦闘が開始されました(第63話~第64話)。
教会騎士たちは身体能力を高める魔法を使っており、ベリルは苦戦を強いられます。しかし、そこへ駆けつけたのが、ベリルの元弟子である魔術師フィッセルと、騎士団の同僚クルニでした。二人の加勢によって状況は有利になったかと思われました。ところが、追い詰められたレビオスは、ついに最後の切り札である禁断の「奇跡」を発動させます。彼は用意していた木箱から複数の死体を取り出し、まるで人形のように操り、ベリルたちに襲いかからせたのです(第65話~第66話)。
さらに衝撃的なことに、操られる死体の中には、ベリルが保護している少女、ミュイの亡くなった姉らしき姿も含まれていました。姉を生き返らせるという嘘でミュイを操っていたレビオスは、その姉の亡骸をも冒涜していたのです。これにはベリルも激しく動揺し、剣を振るうことをためらいます。しかし、仲間を守るため、そしてこれ以上の冒涜を許さないために、ベリルは苦渋の決断を下します。彼は涙を呑み、姉らしき死体を含む全ての動く死体を、自らの手で斬り伏せたのでした(第66話)。
その後、ベリルはクルニに騎士団への応援要請を託し、フィッセルと共に逃走したレビオスとシュプールを追跡します。フィッセルの援護を受けながらシュプールを打ち破り(命までは奪いませんでした)、ついにレビオス本人を追い詰め、捕縛することに成功します(第67話~第68話)。
レビオスは騎士団に引き渡され、後に司教の位を剥奪され、不慮の死を遂げたと伝えられました。一方、レビオスの悪事を告発したイブロイは、司教へと昇格します(第70話)。この事件は、スフェン教という大きな組織が抱える闇の一端を垣間見せると同時に、死者蘇生という倫理的に重いテーマを投げかけました。そして何より、ミュイの姉かもしれない亡骸を斬らなければならなかったという事実は、ベリルの心に深い傷を残すことになったでしょう。この経験は、彼の今後の行動や考え方にも影響を与えていくことになります。
ネタバレ④:使節団襲撃事件と元弟子ロゼとの師弟対決
このエピソードは、隣国スフェンドヤードバニアとの関係にも関わる大きな事件であり、主人公ベリルがかつての教え子と剣を交えなければならなくなる、非常に重く悲しい展開を含んでいます。
物語は、スフェンドヤードバニア王国の第一王子グレンらが使節団としてレベリオ王国を訪れるところから始まります。レベリオ騎士団の一員として、ベリルもこの使節団の警護任務に就くことになりました。この使節団には、スフェンドヤードバニアの教会騎士団長ガトガと、その副団長であるロゼ・マーブルハートも同行していました。実はこのロゼ、かつてベリルの道場で剣を学んだ元弟子の一人だったのです(第84話、第88話)。
首都バルトレーンでの御遊覧(街の見学や観劇など)が行われる中、ベリルは不穏な空気を感じ取っていました。そして御遊覧二日目、観劇予定だった劇場の前で、ついに黒ずくめの暗殺者集団(後にヴェルデアピス傭兵団と推測される組織)による大規模な襲撃が発生します。彼らは毒を仕込んだダガーを使う手練れであり、護衛の騎士たちは激しい応戦を強いられました。ベリルや騎士団長のアリューシア、副団長のヘンブリッツらの活躍で刺客は撃退されますが、この時、ロゼが躊躇なく相手にとどめを刺す姿や、団長のガトガが一部の敵を取り逃がすなど、いくつかの不審な点が見られました(第91話~第93話)。
そして御遊覧最終日、南区の農業地域を訪れていた一行は、再び刺客の襲撃を受けます。今回の刺客は前回よりも練度が低いものの、数が非常に多く、警護にあたっていたスフェンドヤードバニアの教会騎士団の兵士たちが、あまりにも簡単に突破されていることにベリルは強い疑念を抱きます。この状況から、ベリルは教会騎士団の一部が裏切り、襲撃に加担していると確信しました(第97話~第98話)。
ベリルはアリューシアとヘンブリッツに王子たちを連れて安全な場所へ撤退するよう指示し、自らは殿(しんがり)、つまり最後尾で敵を食い止める役目を引き受けます。次々と襲い来る刺客を斬り伏せていくベリルの前に、ただ一人、動かずに立ちはだかった人物がいました。それが、元弟子であるロゼだったのです(第99話)。
対峙したロゼは、祖国スフェンドヤードバニアの腐敗した現状を憂い、国を正すための「救世」として、王子暗殺(未遂に終わりましたが)を含む今回の凶行に及んだのだと語ります。しかしベリルは、たとえどのような理由があろうとも、彼女のやり方は間違っている、独り善がりだと断じ、元師匠として、一人の剣士として、彼女に勝負を挑みました(第100話)。
ロゼは優れた防御技術でベリルの猛攻を防ごうとします。しかし、ベリルは以前バルデルに作ってもらったゼノ・グレイブル素材の特注の剣を用い、その圧倒的な力と技で、ロゼの構える大盾ごと、彼女が身に着けていた鎧をも両断するという、壮絶な一撃で勝負を決めました(第100話)。
致命傷を負いながらも、ロゼはベリルに「師匠の手でとどめを」と請います。しかし、ベリルはかつての弟子に手を下すことを拒否します。そこへ、教会騎士団長のガトガが現れました。彼はスフェン教の「奇跡」とされる力でロゼの止血を行い、彼女が自身の義理の妹であることを告白。彼女の身柄は自分が責任を持って預かると申し出ました。ベリルは複雑な思いを抱えながらも、彼らに後を託し、静かにその場を去るのでした(第101話)。(この後、ベリルはガトガから、ロゼの罪を別の人物になすりつけて彼女を救う計画を持ち掛けられ、逡巡の末に協力することになります – 第103話)
この事件は、単なる戦闘ではなく、かつての師弟が互いの信念のために剣を交えるという、非常にドラマティックで悲しい物語でした。国の未来を憂うあまり過激な手段に走ってしまった弟子と、それを力で止めなければならなかった師匠。ベリルの心の痛みや、ロゼの悲壮な覚悟が描かれる、物語の中でも特に印象深いエピソードの一つと言えるでしょう。
ネタバレ⑤:魔術師学院での封印された巨狼(ロノ・アンブロシアの核)との戦闘
このエピソードは、主人公ベリルが臨時講師として関わることになった魔術師学院を舞台にした、ファンタジー色の強い大事件です。緊迫した戦闘だけでなく、後の物語に繋がる重要なアイテムが登場する点も見逃せません。
事件は、ベリルが剣魔法科の生徒シンディの誕生日会に参加している最中に起こりました。和やかな雰囲気の中、突然、学院の学舎の方から異常な叫び声が聞こえてきたのです(第127話)。ベリルと、同じく講師であり元弟子のフィッセルが様子を見に行くと、教師たちが何かに怯えて逃げ惑っており、直後に狼の形をした影のようなものに襲われます。さらに、駆けつけた教師キネラから、学院内では魔法が使えなくなっているという異常事態を知らされました(第127話~第128話)。
原因を突き止めるため、ベリルとフィッセルは魔法が使えない危険な状況の中、学舎へと乗り込みます。地下へと進むと、そこで錯乱状態にあるブラウン教頭を発見しました。彼が事件の原因でした。ブラウン教頭は、学院に施されていた魔法封印の効果を打ち消す特殊な魔装具(魔法の効果を持つ道具)を密かに作成し、それを使って地下深くに施されていた古の封印を解いてしまったのです(第129話)。
フィッセルに教頭の保護と魔装具の停止を任せ、ベリルは単身で地下の最奥へと向かいます。そこに居たのは、太い鎖で厳重に封印されていた巨大な狼――学舎を襲っていた影たちの親玉でした。ベリルが到着した時には、無数の影たちが鎖を破壊しており、まさに巨狼が解放される寸前の危機的状況だったのです(第130話)。
解放された巨狼は圧倒的な力を持っていましたが、影のように実体が掴みづらく、ベリルの剣でも決定的なダメージを与えられません。そこへ、教頭を保護し魔装具を停止させたフィッセルが合流します。二人は連携して戦うことを決意。フィッセルが最大級の剣魔法<カーテナ>を放つ準備をする間、ベリルが囮となって巨狼の猛攻を引きつけ、時間を稼ぐ作戦に出ました(第131話~第132話)。
ベリルは驚異的な反応速度で巨狼の攻撃を避け続けますが、その猛攻は凄まじく、次第に限界が近づいてきます。まさに頬を掠められ、絶体絶命かと思われた瞬間、フィッセルの準備が完了しました。彼女が放った渾身の剣魔法<カーテナ>は、巨大な狼の影を完全に消し飛ばすことに成功します(第132話~第133話)。
しかし、それで終わりではありませんでした。影が消え去った後には、黒く輝く奇妙な結晶(核)が残されていました。これが巨狼の本体、後に「ロノ・アンブロシアの核」と呼ばれる非常に希少で強力な魔力を持つ物質だったのです。ベリルは、かつてゼノ・グレイブルを討伐した際に作られた特注の剣(ゼノ・グレイブル素材製)で、この核を真っ二つに両断。こうして、魔術師学院を襲った未曽有の危機は、ベリルとフィッセルの師弟コンビの活躍によって完全に終息したのでした(第133話)。
この事件は、魔術師学院が抱える秘密の一端を明らかにすると共に、ベリルとフィッセルの見事な連携を示すものでした。そして、この時手に入れた「ロノ・アンブロシアの核」は、ただの戦利品ではありません。後に、騎士団長アリューシアのための新しい剣を製作する際に、非常に重要な素材として使われることになる、物語の重要な伏線となるのです(第222話~)。
アリューシアのための新しい剣
ディルマハカでの大事件の後、主人公ベリルは、騎士団長アリューシアの剣が彼女の卓越した実力、特に「神速」と呼ばれるほどの速さに完全には追いついていないと感じていました。そこで、彼女の力を最大限に引き出すための、全く新しい特別な剣を作ることを決意します(第222話)。
最適な素材を探す中で、ベリルは以前魔術師学院で遭遇した事件で手に入れた、強大な魔力を持つ希少な物質「ロノ・アンブロシアの核」を使うことを思いつきます。このアイデアは非常に斬新でした。彼は魔法師団長のルーシーに頼み込み、この貴重な核を譲り受けます(第223話、第226話)。
そして、元弟子であり信頼する鍛冶屋バルデルの元へ核を持ち込み、これと最高級の希少金属であるエルヴン鋼を組み合わせて剣を製作するという、前代未聞の依頼を行いました。核は非常に硬く加工が困難でしたが、バルデルは自身の持つ最高の技術を注ぎ込み、この難題に挑戦します(第226話)。
約二週間後、ついに新しい剣が完成しました。出来上がったのは、刀身が薄墨色に輝く、見た目にも美しいロングソードでした。試し斬りをしたアリューシアは、その驚異的な切れ味と自身の動きに完璧に追従する感覚に感嘆の声を上げます。これまでの剣とは比較にならない性能を持っていたのです(第227話)。
こうして、魔術師学院の事件で得られた特別な素材と、一流の鍛冶屋の技術、そして師匠であるベリルの想いが合わさって、アリューシアにとって最高の、まさに唯一無二の剣が誕生したのでした。この新しい剣は、今後の彼女の戦いにおいて、かけがえのない力となるでしょう。
ネタバレ⑥:ディルマハカでの婚儀襲撃、合成獣との戦闘、そして教皇討伐
このエピソードは、物語の大きなクライマックスの一つと言えるでしょう。隣国スフェンドヤードバニアの教都ディルマハカを舞台に、国家間の政略結婚が、街全体を巻き込む大事件へと発展します。主人公ベリルは、これまでにない規模の陰謀と強大な敵に立ち向かうことになります。
物語の舞台は、スフェンドヤードバニアの第一王子グレンと、レベリオ王国の第三王女サラキアの婚姻の儀が行われる、壮麗なサン・グラジェ大聖堂です。ベリルはレベリオ王国からの使節団の一員として、騎士団長のアリューシアらと共にこの儀式に参列していました。しかし、儀式の開始時からスフェン教の最高指導者であるはずのモーリス教皇の姿が見えず、不穏な空気が漂っていました(第208話~第209話)。
そして、儀式がクライマックスに差し掛かったまさにその時、静寂は破られます。大聖堂の扉が破壊され、おびただしい数の動く死体(アンデッド)と武装した暗殺者たちがなだれ込んできたのです。かつてレビオス司教が見せた光景を遥かに上回る規模の襲撃に、聖堂内は大混乱に陥ります。ベリルとアリューシアは即座に王族を守るために応戦。そこへ、仮面をつけた謎の女性(その正体は、以前ベリルと対決した元弟子ロゼ)も加勢し、激しい乱戦が繰り広げられました(第211話~第212話)。
混乱の中、さらに予想外の人物たちが現れます。以前ベリルたちを襲ったヴェルデアピス傭兵団のハノイたちです。しかし、今回は敵ではなく、スフェン教のイブロイ司教(かつてレビオスを告発した司祭)の指示で味方として加勢に来たと言うのです。ハノイは衝撃的な情報を伝えます。この一連の襲撃の黒幕は、スフェン教のトップであるモーリス教皇本人であること、そして教皇はディルマハカの都に凶悪な合成獣(ゴセイジュ)を複数解き放ったことを。ロゼもまた、教皇が全ての元凶であると証言しました(第213話)。
事態の深刻さを理解したベリルたちは、王族たちを安全な宮殿へ避難させるグループと、街で暴れる合成獣を討伐するグループに分かれることを決断します。ベリルはアリューシア、ハノイ、そして傭兵団の魔術師プリムと共に、合成獣の討伐へ向かうことになりました。ロゼは「純白の乙女」として、グレン王子の護衛に残ります(第214話)。
馬を借りて現場へ急行すると、そこには巨大で異形の合成獣が四体も暴れ回っていました。ハノイとプリムが一 体を引き受け、ベリルとアリューシアもそれぞれ一体ずつと対峙します。ベリルは一体を倒しますが、その敵の尾から現れた大蛇に不意を突かれ窮地に陥ります。しかし、そこへグレン王子の命令で駆けつけたロゼに救われました。三人は合流し、アリューシアが苦戦していたもう一体の合成獣も協力して撃破。さらにそこへ、冒険者のスレナ一行が現れ、別行動していた三体目の合成獣を仕留めたことを報告します。残る合成獣はあと一体となりました(第216話~第218話)。
しかし、最後の一体を追う中で、彼らはついに黒幕であるモーリス教皇本人と対峙することになります。教皇はスフェン教の「奇跡」とされる強力な自己強化魔法によって、人間離れした圧倒的な戦闘能力を発揮。ベリル、アリューシア、ロゼ、そして合流した仲間たちは連携して挑みますが、その強さに苦戦を強いられます(第219話~第220話)。
絶望的な状況の中、ベリルは一瞬の勝機を見出すための策を講じます。ロゼがその身を盾にして教皇の視界を塞いだ一瞬の隙を突き、ベリルが渾身の一撃を叩き込み、ついに教皇を剣で貫くことに成功します。致命傷を負いながらも自らの行いを正当化しようとする教皇に対し、最後はロゼがとどめを刺し、ディルマハカを襲った大事件はようやく終結したのでした(第220話)。
事件後、ベリルたちの活躍はグレン王子に報告され、彼らは「救世主」として称えられます。ベリルはロゼの今後の処遇について、彼女の義兄である教会騎士団長ガトガに託し、彼女が更生することを願いました。ロゼはベリルに対し、いつか必ずこの恩を返すと誓うのでした(第221話)。
このディルマハカでの一連の出来事は、物語全体を通しても最大級のスケールで描かれた激戦であり、スフェンドヤードバニアを巡る長年の陰謀に一つの決着が着く重要なターニングポイントです。多くのキャラクターが入り乱れる総力戦、そして強大なラスボスである教皇との最終決戦は、まさに圧巻と言えるでしょう。
ネタバレ⑦:アリューシアとの関係進展、ついに両想いへ
この物語の大きな魅力の一つである、主人公ベリルとメインヒロインであるアリューシアの関係性は、数々の出来事を経て少しずつ変化していきます。そして、物語の後半、ついに二人の関係が決定的な進展を迎える瞬間が訪れます。
当初、二人の関係はあくまで元師匠と元弟子でした。アリューシアは早くからベリルに対して尊敬以上の特別な好意を抱いていましたが、ベリルは長らくその気持ちに気づかないか、あるいは気づかないふりをしていました。しかし、首都での再会以降、共に過ごす時間が増え、様々な事件を乗り越える中で、ベリルの中にもアリューシアを一人の魅力的な女性として意識する気持ちが芽生え始めていたのです。
その関係が大きく動いたのは、新人騎士たちを連れて北方都市ヒューゲンバイトへ遠征した後でした(第240話~第251話)。遠征を終えた最終日、アリューシアはベリルを現地の温泉へと誘います。ベリルが一人で湯に浸かっていると、後からアリューシアもやってきました。そして彼女は、そこで改めて、ベリルへの真剣な想いを、はっきりと告白したのです(第252話)。
アリューシアの真摯な言葉を受け、ベリルもまた、これまで胸の内に秘めていた、あるいは無自覚だった自身の気持ちと向き合います。そして、彼女を一人の女性として心から大切に思っていることを認め、アリューシアへ自身の好意を伝えました(第252話)。
この温泉での出来事によって、長年にわたる師匠と弟子という関係性は終わりを告げ、二人は互いの気持ちを確かめ合い、ついに両想いとなったのです。朴訥で恋愛には奥手に見えたおっさん剣士と、彼を一途に想い続けてきた騎士団長。二人の関係が新たなステージへと進んだこの瞬間は、物語の中でも特に感動的で、多くの読者が待ち望んだ展開と言えるでしょう。
ネタバレ⑧:ベリルの宿敵にしてスレナの仇、イド・インヴィシウスとの決着(小説最新巻)
このエピソードは、物語の中でも特に重要な因縁に決着がつく、大きなクライマックスとなります。主人公ベリルにとっては過去の自分を、そして彼の弟子スレナにとっては両親の仇を乗り越えるための、壮絶な戦いが描かれます。
物語は、ベリルの元弟子であり、今や最強の冒険者として名を馳せるスレナ・リサンデラが、長期の危険な依頼から戻らず消息不明になったという報せから始まります。ベリルはスレナを救い出すため、騎士団長アリューシアや冒険者ギルドの助けを借り、彼女が最後に訪れたとされる険しいアフラタ山脈へと急行します。
慣れない山道を進んだベリルは、なんとか洞窟で負傷し籠城していたスレナとその仲間たちを発見します。彼らを襲っていたのは、自在に姿を消し、攻撃の瞬間だけ現れるという非常に厄介な能力を持つ怪物でした。そして、その怪物の正体こそが、かつて若き日のベリルが自信過剰から挑み、敗北を喫した特別討伐指定個体(ネームド)「イド・インヴィシウス」であり、さらにスレナの両親を殺した仇でもあったのです。二重の因縁を持つ強大な敵の存在が明らかになります。
ベリルたちは、まず全員で生きて山を脱出することを試みます。しかし、その戦闘の最中、ベリルはイド・インヴィシウスの攻撃を受け、剣士にとって致命的ともいえる左腕の重傷を負ってしまいます。それでも仲間たちの助けでなんとか都市ヴェスパタまで帰り着きますが、ベリルは意識を失ってしまいました。
絶望的な状況かと思われましたが、そこへ魔法師団長のルーシー・ダイアモンドが駆けつけます。彼女の強力な回復魔法によって、ベリルの左腕は奇跡的に再生し、再び剣を握れる状態になりました。回復したベリルは、過去の敗北を雪辱するため、そしてスレナは両親の仇を討つため、改めてイド・インヴィシウス討伐を決意します。騎士団長のアリューシアも(半ば強引に)討伐隊に加わり、ルーシーも含めた強力なメンバーで、再びアフラタ山脈へと向かうことになりました。
決戦の地で、ルーシーはその卓越した魔術により、イド・インヴィシウスの最大の武器であった姿を消す能力を封じます。さらに、かつてベリルの道場にいた実力者ジョシュアとその相棒ミスティも偶然(?)合流し、討伐隊の戦力はさらに強化されました。ルーシーは味方の武器に魔力を付与し、硬いイドの体にもダメージを与えやすくします。
しかし、戦闘の最中、ベリルとスレナはルーシーに対して、あえてその武器強化を解除してほしいと申し出ます。それは、魔術の力に頼るのではなく、自分たち自身の純粋な剣士としての技と誇りで、この長年の因縁に決着をつけたいという強い想いからでした。
強化が解かれた剣で、ベリルとスレナは己の持てる最高の剣技を駆使してイド・インヴィシウスに立ち向かいます。アリューシアやジョシュア、ミスティ、そしてルーシーの的確な支援を受けながら、激しい攻防が繰り広げられます。そしてついに、仲間たちとの見事な連携の末、イド・インヴィシウスを完全に討伐することに成功しました。
この勝利は、単に強大なモンスターを倒したというだけではありません。ベリルにとっては若き日の敗北と劣等感を乗り越えるための戦いであり、スレナにとっては二十年越しの復讐を果たし過去の呪縛から解放されるための戦いでした。剣士としての誇りを貫き、仲間との絆を力に変えて掴んだこの勝利は、彼らにとって大きな意味を持つ、感動的なクライマックスとなったのです。
【片田舎のおっさん剣聖になる】ネタバレを含む感想など
- なぜ人気?読者の評価と感想をまとめてみた
- 何巻までありますか?最新刊は?
なぜ人気?読者の評価と感想をまとめてみた
「片田舎のおっさん、剣聖になる」は、多くの読者から支持を集めている人気の作品です。その理由はどこにあるのでしょうか。読者の評価や感想をまとめると、いくつかの魅力が見えてきました。
まず最も多く挙げられるのが、主人公ベリル・ガーデナントの魅力です。見た目は冴えない中年男性なのに、実はとんでもなく強い剣士であるという、その大きなギャップが多くの読者を惹きつけています。普段の頼りない雰囲気と、いざという時に見せる圧倒的な強さ、そして研ぎ澄まされた剣技の格好良さの差がたまらない、という声が多く聞かれます。また、非常に強いにも関わらず、自分の実力を全く分かっていない(あるいは低く評価しすぎている)点や、謙虚で朴訥とした人柄も、好感を持って受け止められているようです。
次に、迫力のある戦闘シーンも高く評価されています。特にコミカライズ(漫画版)では、ベリルの剣技のすごさや戦闘の躍動感が非常に上手く描かれており、読んでいて爽快だ、かっこいい、という感想が目立ちます。静かな普段の姿との対比で、戦闘シーンの格好良さがより際立っていると感じる読者も多いようです。
さらに、魅力的な登場人物たちと、彼らが織りなす人間関係も人気の理由です。騎士団長となったアリューシアをはじめ、冒険者のスレナ、魔術師のフィッセルなど、かつてベリルに師事した弟子たちが、師匠を深く尊敬し、慕っている様子が丁寧に描かれています。また、ひょんなことから保護することになった少女ミュイとの心温まる交流や、アリューシアとの少しずつ進展していく関係(恋愛要素)も、物語の大きな魅力となっています。
物語全体のテンポの良さや、最強主人公による爽快感がありつつも、どこかほのぼのとした優しい世界観も、多くの読者に支持されている点です。分かりやすいストーリーで読みやすい、という評価も見られます。
一方で、主人公の自己評価の低さや、特に恋愛方面での鈍感さに対して、少しもどかしい、あるいはイライラすると感じる読者も一部いるようです。また、都合の良い設定(例えば、大成した弟子が美少女ばかりである点など)が気になるといった意見も少数ながら存在します。
とはいえ、全体としては、「主人公が実は最強」という設定が好きな読者や、キャラクターたちの魅力的な関係性、そして迫力あるアクションと心温まるドラマのバランスを楽しみたい読者にとって、非常に満足度の高い作品として受け入れられていると言えるでしょう。
何巻までありますか?最新刊は?
漫画版「片田舎のおっさん、剣聖になる」は、現在(2025年4月10日時点)、ヤングチャンピオン・コミックス(秋田書店)から第7巻まで発売されています。
最新刊はどんな内容?
最新刊である第7巻は、2025年3月27日に発売されました。 この巻では、前の巻から続いていたスフェン教の事件が決着し、囚われていた少女ミュイを主人公ベリルが無事に助け出すところから始まります。その後、魔法師団長ルーシーの勧めもあり、ベリルがミュイの後見人となることを決意し、二人の同居生活がスタートするまでが描かれています。物語の大きな区切りと、新しい日常の始まりが描かれる巻となっています。
今後の巻の発売予定は?
第8巻の発売については、現時点(2025年4月10日)で出版社からの正式な発表はありません。 漫画の続刊は、通常数か月から半年以上の間隔で発売されることが多いですが、連載の状況や出版社の都合によって変わることがあります。 一部のウェブサイトでは発売予想日が掲載されている場合もありますが、これはあくまで予想です。 正確な発売日を知りたい場合は、秋田書店の公式サイトや作品の公式SNS、オンライン書店などで発表される公式情報をこまめに確認することをおすすめします。
『片田舎のおっさん剣聖になる』ネタバレ情報を含む総まとめ
- 主人公ベリルは片田舎に住む無自覚な最強剣士である
- 元弟子で騎士団長のアリューシアに請われ首都で特別指南役となる
- 冒険者ギルドの依頼で強敵ゼノ・グレイブルと遭遇し討伐する
- 討伐で得たゼノ・グレイブルの素材でベリルの新たな愛剣が作られる
- スリの少女ミュイと出会い、彼女を保護して後に後見人となり同居する
- ミュイを騙した盗賊団「宵闇」とその黒幕であるスフェン教のレビオス司教を討つ
- レビオス司教は禁忌である死者蘇生の研究を行い、戦闘で死体を操った
- 隣国スフェンドヤードバニアの使節団護衛中に大規模な襲撃事件が発生する
- 事件の裏で暗躍していた元弟子ロゼと、師として悲しい対決をすることになる
- 臨時講師を務める魔術師学院の地下で、封印されていた巨狼(ロノ・アンブロシアの核)と戦う
- この巨狼の核は後にアリューシアの特別な剣の重要素材となる
- 隣国の教都ディルマハカでの王族婚儀が襲撃され、黒幕モーリス教皇と対峙する
- 都に放たれた合成獣との激戦を経て、仲間との連携により教皇を打倒する
- 北方への遠征後、温泉でアリューシアと互いの想いを告白し、ついに両想いになる
- 漫画版は現在(2025年4月時点)7巻まで刊行、第8巻の正式な発売日は未定である






