復習モノ

【物語は鮮やかに縁は儚く】12話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 絶望の底にいた青梨(チンリー)は、医師から「妊娠6週目」であると告げられ、奇跡の妊娠に涙を流して喜びました。
  • 彼女は「神様がくれたプレゼント」であるお腹の子と共に「一人で生きる」と決意を固めます。
  • その矢先、夫・寒洲(ルー・ハンヂョウ)が病室に怒鳴り込み、姿を消した沈依依(シェン・イーイー)の居場所を問い詰めました。
  • 青梨が拒絶すると、寒洲は「がっかりしたよ」と暴言を吐いて去っていきます。
  • 一人残された青梨がエコー写真を見ていた瞬間、何者かが病室に侵入し、彼女の口を塞ぎました。

【物語は鮮やかに縁は儚く】第12話をネタバレありでわかりやすく解説する

前回、奇跡の妊娠という束の間の希望を、正体不明の襲撃者によって断ち切られた青梨。 第12話は、この物語において最も残酷で、最も痛ましい回となります。 青梨の最後の希望が、彼女が愛した男・寒洲の手によって、文字通り踏みにじられる地獄の展開を徹底解説します。

依依の巧妙な罠、寒洲の完全な掌握

物語は、暗く埃っぽい廃倉庫から始まります。 青梨は手足を縛られ、口をテープで塞がれ、麻袋に入れられて床に転がされていました。 顔や服には殴られたような跡があり、血が滲んでいます。 彼女は苦しげにうめき声を上げるしかありません。

その麻袋の外で、寒洲と沈依依の会話が聞こえてきます。 依依は頬に傷を作り、寒洲に泣きついていました。 「寒洲。怖かった。知らない人に殴られたの」 寒洲が依依の頬の傷に触れ、「怖がるな。おまえの仇は討つ」と誓います。

そこへ、部下の男がやってきました。 寒洲は「これが青梨が手配したモノか」と、床の麻袋(青梨)を冷たく見下ろします。 依依が部下に目配せをすると、部下は寒洲に嘘の報告をしました。 「はい、社長。我々が来なければ 沈秘書は流産してたかもしれません

この「流産」という言葉が、寒洲の理性を完全に破壊します。 青梨が、依依と、そのお腹の子の命を狙った。 彼はそう完全に思い込んでしまったのです。

「10倍にして返してやれ」― 麻袋の中の絶望

青梨は、麻袋の中でその会話を全て聞いていました。 寒洲は、部下(話者J)に冷酷な命令を下します。 「よし。徹底的にやれ」 「依依が受けた傷は 10倍にして返してやれ」

部下の男が青梨に近づき、麻袋の上から、彼女の腹部を激しく蹴りつけました。 「んー!」 テープで塞がれた口から、青梨の苦痛のうめき声が響きます。 (寒洲…!) 彼女は、必死に心の中で叫びます。

(触れないで…! やめて!) (子供がいるの

青梨の脳裏に、病院での医師の言葉がよみがえります。 「妊娠6週目です。順調ですよ」 (やめて…。寒洲…。私たちの子を傷つけないで…) (赤ちゃん…。あなたは神様がくれたプレゼント…)

彼女は、自分の命乞いではなく、お腹の子の命乞いを必死に続けていました。 しかし、その叫びが届くはずもなく、部下はさらに激しく青梨を蹴り続けます。

慈悲を装う悪魔と、夫の非情な選択

ついに、別の部下が報告します。 「出血してます」 その言葉を聞いても、寒洲は青梨を冷たく見下ろすだけでした。

すると、ここで依依が、慈悲深い女を演じ始めます。 「寒洲、もうやめましょう」 「奥様が手配した人ですもの。私のせいで 仲を裂きたくない」 この言葉は、青梨が「犯人である」ことを改めて寒洲に刷り込みながら、自分は寛大であると見せかける、あまりにも巧妙な罠でした。

案の定、寒洲は依依の嘘に、より深く囚われます。 「子供を失ってたかも。このままでは済まさん」 「続けろ」 非情な命令が再び下され、部下は青梨をさらに蹴りつけます。

(やめて!) 青梨の心は、激しい苦痛と共に、絶望で満たされます。 出血は、もう止まりません。 あまりの惨状に、寒洲はゆっくりと目をそらしました。

絶望の底からの叫び「あなたを永遠に許さない」

その時、依依が寒洲に甘えるように言いました。 「寒洲。家に帰りたい。お腹がすいたわ」 あれほどの惨劇を引き起こしておきながら、「お腹がすいた」という依依。 寒洲は、目をそらしたまま、穏やかな表情で答えます。 「おまえか… それとも赤ん坊か?」 「行くか」

彼は、血を流して倒れている青梨を放置し、依依と共にその場を去ろうとします。 去り際、依依は振り返り、麻袋を冷たく見下ろしました。 (宋青梨。あんなに出血して きっと痛いでしょうね) (死ねばいいのに

二人が背を向けた、その瞬間。 青梨は、残された最後の力で、縛られていた縄をほどき、口のテープを外し、麻袋から這い出しました。 部下たちが慌てる中、青梨は、下半身を血まみれにしながらも、壁を伝って立ち上がります。 そして、去ろうとする夫の背中に、全ての憎しみを込めて叫びました。

「寒洲!」

寒洲と依依が、驚いた表情で振り返ります。 青梨は、涙を流しながら、彼らを睨みつけ、絶叫しました。

「私たちの子を殺した!」 「あなたを永遠に許さない!」

寒洲は、青梨の言葉の意味が分からず、ただ衝撃を受けた表情で立ち尽くすしかありませんでした。

【物語は鮮やかに縁は儚く】第12話を読んだ感想(ネタバレあり)

第12話は、あまりにも残酷で、読んでいて息が詰まりました。 これまでの地獄が、すべてこの瞬間のためにあったのかと思うほどの、絶望のフルコースです。

依依の策略は、もはや人間の所業ではありません。 自分で自分を傷つけ(あるいは部下に傷つけさせ)、青梨の仕業だと見せかける。 さらに「流産しそうになった」という嘘で寒洲の理性を奪い、青梨への憎しみを最大限に煽る。 そして、自分は「慈悲深いフリ」をして、寒洲の心を完全に掌握する。 完璧な悪魔です。

そして、寒洲。 彼はもう、擁護の余地が一切ありません。 青梨を「がっかりした」と罵倒しただけでなく、彼女の言葉を一切信じず、依依の嘘だけを鵜呑みにしました。 そして、妊娠中の(元)妻が「出血している」と聞いても、その腹部を「続けろ」と部下に蹴らせた。 これはもはや「騙された」のではなく、彼自身が青梨に対する「加害者」であり、「殺人者(胎児の)」です。 「お腹がすいた」という依依を優先し、血を流す青梨を見捨てて帰ろうとする姿は、人間の心を持っているとは思えません。

何よりも辛かったのは、麻袋の中で、必死にお腹の子を守ろうとした青梨の心の叫びです。 「神様がくれたプレゼント」だった、たった一つの希望。 それを、他ならぬ「父親」である寒洲自身に殺されてしまった。 最後の「私たちの子を殺した!」「あなたを永遠に許さない!」という叫びは、青梨の絶望の深さを表しています。 彼女は、夫に裏切られただけでなく、夫に「我が子」を殺されたのです。 ここから、青梨の本当の復讐が始まるのだと、強く確信した回でした。

【物語は鮮やかに縁は儚く】第12話のネタバレまとめ

  • 青梨は何者かに拉致され、廃倉庫で麻袋に入れられ縛られていました。
  • 沈依依は、自分が青梨に襲われ「流産しかけた」と嘘をつき、寒洲はそれを信じ込みます。
  • 寒洲は、部下に「依依が受けた傷の10倍にして返せ」と命じ、部下は妊娠中の青梨の腹部を何度も激しく蹴りつけます。
  • 青梨は麻袋の中で、必死に「私たちの子を傷つけないで」と心の中で叫びますが、出血が始まります。
  • 依依が「もうやめましょう」と慈悲深いフリをすると、寒洲は「続けろ」と非情な命令を下します。
  • 寒洲は、血を流す青梨を放置し、「お腹がすいた」という依依を連れて帰ろうとします。
  • 青梨は自力で脱出し、血まみれで立ち上がり、寒洲に向かって「私たちの子を殺した!」「あなたを永遠に許さない!」と絶叫します。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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